ファイナンス2017年11月号 Vol.53 No.8
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コラム 経済トレンド41(注)文中、意見に関る部分は全て筆者の私見である。個人消費も持ち直し・過去の回復局面との比較においては、個人消費の伸びは力強さに欠け、所得と消費の伸びに乖離が生じていたが、足元では持ち直しの動きがみられる。(⑥、⑦)・所得の改善に比して消費の伸びが弱かった背景としては、今次回復局面における消費性向の低下が考えられるが、足元の消費性向は前期比で上昇に転じている。(⑧)・ただし、17年4-6月の消費性向の水準は14年1-3月を除くと00年以降のピーク近傍となっており、消費の伸びを更に加速するためには所得の底上げが重要となる。(⑨)⑥家計最終消費支出901001101201301401501601四半期510152025(景気回復に入った四半期=100)※実質季節調整系列バブル景気第14循環今次回復局面いざなぎ景気(経過四半期数)⑦所得と消費※季節調整値。矢印内の数値は景気拡張期間の谷から山における伸び率。表中は当該四半期の伸び率(%)+3.280859095100105110000204060810121416(年)※シャドーは景気拡張期間実線:実質雇用者報酬点線:消費総合指数(2014年=100)所得消費16/4Q17/1Q17/2Q▲0.30.40.80.10.40.8+3.8+6.5+2.7⑧足元の消費性向▲3▲2▲10123ⅠⅡⅢⅣⅠⅡⅢⅣⅠⅡ151617(前期比、%)⑨消費性向の長期推移※季節調整値、二人以上の世帯のうち勤労者世帯(%)68707274767880000204060810121416(年)景気回復の継続・拡大に向けて・先述したように、経済の好循環を拡大・深化させていくためには、安定した一層の賃金上昇が不可欠となってくる。・企業収益は高水準で推移しているが、現在の労働分配率の水準は第14循環の景気拡張期間の水準を下回っており、企業の賃上げ余地はまだ大きい可能性。(⑩、⑪)・就業形態別の一人あたり賃金をみると、労働需給のタイト化等により、パートタイム労働者の賃金の伸びは加速している一方で、一般労働者の賃金の伸びは高まっていない。(⑫)・好調な企業部門を起点として、設備投資や人材投資の活発化を通じて労働生産性を高めること等により、賃金や個人消費が持続的に上昇・拡大していくことが期待される。⑩企業収益024681012141618202220000204060810121416営業利益経常利益(年)(兆円)※季節調整値、金融保険業を除く※シャドーは景気拡張期間⑪労働分配率556065707520000204060810121416(%)※シャドーは景気拡張期間(年)※原数値の後方4四半期移動平均、金融保険業を除く※グラフ内の点線は景気拡張期間の平均値労働分配率(=人件費/(人件費+営業利益+減価償却費+受取利息)として計算)⑫一人あたり賃金0.01.02.03.04.01357911135791113520151617一般労働者(所定内給与)パートタイム労働者(時間給)(前年比、%)※時間給=所定内給与/所定内労働時間として計算(出典)内閣府「国民経済計算」「景気動向指数」「消費総合指数」「平成29年度年次経済財政報告」、総務省「労働力調査」「家計調査」「人口推計」、厚生労働省「毎月勤労統計」「一般職業紹介」、財務省「法人企業統計」ファイナンス 2017.1141連 載|経済トレンド

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