ファイナンス2017年11月号 Vol.53 No.8
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国2位(73,180人)、ネパール3位(15,761人)、インドネシア4位(11,762人)、フィリピン5位(9,942人)、台湾6位(9,194人)。わざわざ受験料を払って(国内で一律5,500円)日本語能力試験を受けるのは、日本語学習者の中でも相当勉強した人。中国は学習者数と同様、試験を受ける人も圧倒的に多いが、海外と国内の合計だとベトナムが2位。学習者数では2位のインドネシア、4位のオーストラリアがそれほど多くないのは、試験を受験するレベルでない初級レベルの学習者が多いため。現状、試験は、読解と聴解のマークシートで、採点が大変なスピーキングやライティングはない。かつて1級から4級とされていたのが、2010年から始まった新形式の試験では、最高難度をN1(新聞の論説や評論、まとまりのある会話やニュース・講義といった、論理がやや複雑で抽象度の高い日本語を理解できる)、一番やさしいレベルをN5(初歩的な語や文が理解でき、ゆっくりした短い会話であれば内容がほぼ理解できる)としている。日本語学習者にとって一つの壁は漢字。パックンも、漢字には苦労したという。ただ、パックンによると「ある程度覚えると、逆に語彙力を上げるのがすごく簡単になる、基本の数を覚えると応用が利き、100覚えれば、次の100覚えるのがさらに早くなり、500覚えたら、その次の500、1000が倍、3倍速くなる」というし、また、「新しく聞いた単語を漢字で分析すれば、意味も分かる」という。試験の中身をみると、一番やさしいN5のレベルだと、漢字はほとんど出てこないか、出てきてもルビ入り。単純な表記の問題から、電車とバスの時刻表が与えられていて、電車とバスを乗り継いで目的地に着くにはどの電車に乗るとよいかを選択させるという日本語を使った課題遂行力を問う問題。一番難しいN1になると、漢字が普通に出てきて、ルビはなくなるので、日本人にはかえって簡単。聴解になると、かなり長い会話文を聞いて、意味を理解しているかを問う問題。日本人でもメモを取らないと正解は難しい。この試験は、日本語の実力測定のためという理由に次ぎ、日本で就業する際など重要な資格要件のため、自国での仕事や就職・昇給・昇進に役立てるためといった実利的な目的で受験する人が多い。2016年 海外での国・地域別応募者数上位10国中国217,720台湾80,168韓国78,947ベトナム69,587タイ27,549インド17,841インドネシア17,167香港・マカオ13,998ミャンマー13,099フィリピン11,625その他51,853出典:国際交流基金受験者の受験目的海外国内日本語の実力測定のため37%自国での仕事や就職・昇給・昇進に役立てるため25%日本の大学や大学院留学に必要なため9%日本での仕事やこれからの就職・昇給・昇進に役立てるため8%自国の大学や大学院入学に必要なため7%自国での他の教育機関入学や能力証明に必要なため5%日本での他の教育機関入学や能力証明に必要なため4%その他5%(2016年)日本語の実力測定のため50%就職のため18%大学学部入試のため11%専門学校入試のため9%大学院入試のため6%奨学金申請のため1%短期大学入試のため0.3%その他4.7%出典:海外 国際交流基金国内 公益財団法人日本国際教育支援教会ファイナンス 2017.1133厚切りジェイソンやパックンも受けた日本語能力試験と日本語教育 世界中から87万人が応募!SPOT

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