ファイナンス2017年11月号 Vol.53 No.8
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1プロローグ「岐阜!!? どこにあるの???」「ギフ??? …書けない。」岐阜県での勤務が決まったことを友人・知人に話すと、散々な反応であった。しかし私は、内心でガッツポーズをしていた。岐阜県と言えば、3000m級の槍ヶ岳や穂高連峰を擁し、また、知る人ぞ知る奥美濃の山々のある「山の国」。若いころは、GWに越美南線で石徹白から入り、石川県とまたがる白山連峰を縦走したり、春に福井県境の三周ヶ岳、三国岳をカンジキを履いて歩きまわったり、冬に滋賀県境の伊吹山で山スキーの練習をしたり、夏に長野県境の双六岳や三俣蓮華岳を経て雲ノ平、薬師岳(富山県)に至ったりした。いずれも素晴らしい思い出である。(なぜか県境ばかりである)私は、勇躍、家族4人(私、妻、小学生男子×2)で岐阜に移り住んだ。そこで、全く知らなかった岐阜の魅力を体感することになる。本稿では、そうした岐阜の素晴らしさ、そして奥深さについて、少しでもお伝えできればと思う。なお、岐阜に来てまだ1年余りの経験しかないことから、岐阜の魅力を余すことなくお伝えできないこと、また、アウトドアに偏っていることはご容赦いただきたい。本稿中、意見にわたる部分は、私の個人的な見解である。2清流岐阜県を象徴するのは「清流」である。これは、文字通り「水がきれい」ということを、まずは意味する。実際、岐阜で暮らし始めてから、ミネラルウォーターを買ったことがない。普通の水道水がおいしいのである。しかし、それ以上に「清流」が含意するものは奥深く、幅広い。岐阜県は、飛騨の国と美濃の国を併せた県である。飛騨は3000m級の山々を有する「木の国」「山の国」、美濃は木曽三川(長良川、木曽川、揖斐川)を有する「水の国」。これらを指して「飛ひ山ざん濃のう水すい」とも言われる。豊かな森が清流を育み、その流れが県内の田畑や街々をあまねく潤し、人々は、鮎など清流の恵みをいただきつつ、また、それを守りながら、清流とともに生きていく。飛騨の山岳地帯で生まれた流れは、美濃の海抜0m地帯までを貫いていく。「清流」は、まさに岐阜県を象徴する言葉と言えよう。清流長良川と、それを生かし、また、それに生かされる人々のシステム全体が評価され、「清流長良川の鮎」が一昨年、世界農業遺産に登録された。シベリアのように、誰も住んでいないところの川がきれいだということは、特に驚くに値しない。(シベリアに他意はない)しかし、例えば長良川で言えば、郡上市(住民約4万人)の大日ヶ岳に源流を持ち、郡上八幡(宗祇水が有名)、美濃市(2万人、曽代用水(世界かんがい施設遺産)が有名)、関市(9万人、小瀬鵜飼が有名)、岐阜市(41万人、長良川鵜飼が有名)と、多くの市街地を流れ下ってくるにもかかわらず、岐阜市内でも泳ぐことができるほどSpot02「清流の国ぎふ」から岐阜県総務部長  坂口 和家男12ファイナンス 2017.11SPOT

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