ファイナンス 2017年10月号 Vol.53 No.7
41/60

夏季職員トップセミナー りやすいBtoC系の事例を御紹介します。こちらはスペインのバルセロナのお笑い劇場のビデオで、お笑いというアナログ量をデジタル化したものです。入場料は無料、1回笑うごとに課金するシステムとなっており、1回笑うと30セントで、80回まで課金されていく。これを聞いたときにはやられたという感じでした。それはどういうことかというと、今現在、テクノロジーはある。各椅子の背面にタブレットを設置して、カメラを使って笑顔認識をするのです。言われてみればテクノロジーはあるわけです。これを使ってみて、リアルタイムでお客さん一人一人が何回笑ったかというのを把握していくものです。若いスタッフからこういうPay‐Per‐Laughみたいなものをやりたいと提案があったときに私が支配人だったら、結構リスクを感じてしまうかなと思いました。お客さんは笑いにいらしていただいているのに、1回笑うごとに課金されてしまうと笑わなくなってしまうのではないかということで、いわゆる顧客満足度を下げる方向に行ってしまうのではないかと思ってしまいそうです。IoTとかAIは一見おもしろいけど、本当に効果があるのかどうかというのはやってみないとわからない、そういうところがあろうかと思いますので、経営者はとにかくやらせてみることが重要なのかなと思っています。2年間ぐらい実験したのですが、その間、お客さんの満足度が上がり、売り上げも10%、20%アップした結果となっています。②欧米のスポーツ業界の例こちらのビデオは、アメフトになりますが、選手のウエアにタグをつけて、位置をリアルタイムに把握するものです。そうすると一人一人の選手がどういう移動をしていったのかとか、映像に選手の名前をリアルタイムでスーパーインポーズしたりとか、あるいはこの選手と選手は何ヤード離れているとか、今までこの選手はどういうプレーをしてきたのかなど、全てデジタル化していくというものです。スポーツの業界は、もともとはアナログの世界だったのですが、アナログの世界にこういった形でデジタルが入ることによって、何かしら新しいことが生み出されるのではないか、そういうチャレンジをしていると思っております。こちらはバスケットボールの事例です。天井に設置したカメラで選手の動きを全てデジタル化して把握して、この選手は何ヤードくらい後ろからシュートを打って、シュートの成功確率は何%なのかとか、そういったものが全てデジタルデータとして得られるようになるということです。このように今までアナログの世界だったところにデジタルが入ることによって、例えば監督とかコーチがどういうふうに選手にフィードバックしたらいいのか、あるいは観客に対してどういう見せ方をしていけばいいのかというのをいろいろと試行錯誤しながら進めているのが欧米でのスポーツ業界になります。半年前ぐらいにこの業界の人と話をしたら、彼らはデジタル化をすることで儲かり始めていると言っておりました。これはどういうことかというと、デジタル化することによって集めたデータを、今インターネット上にアップロードするのですね。そうするといろんな方々が、このチームのアプリとか、あの選手のアプリとかをつくり始めているというのです。アプリがヒットすることで、若年層のファンが結構増え始めています。アメリカは特にスポーツのファンの高齢化が進んでいるのですが、デジタル化をすることを通じて若いファンの人が少しずつ増え始め、それで放映権料がぐっと上がり始めているとのことです。最終的にはこういった形で売り上げや利益につながったようですけど、恐らく始めたときはそこまで考えておらず、走りながら売り上げや利益に結びつけようと画策していったのかなと思っております。③スマートごみ箱こちらはスマートごみ箱です。これは非常に簡単なもので、センサーを設置してごみの量を量ることができます。それを携帯電話回線で教えてあげる。そうすることによって回収事業者は、いかなるタイミングで、いかなるルートで回収しに行けばいいかがわかりますから、回収コストはぐっファイナンス 2017.1037連 載|セミナー

元のページ  ../index.html#41

このブックを見る