ファイナンス 2017年10月号 Vol.53 No.7
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エコノミスト養成プログラムの特徴このプログラムの特徴のひとつは、受講生に対して単発のセミナーを行うことに留まらず、セミナー受講後にどのように今後の学習を進めるべきか、どのように将来のキャリアパスを構築していくのか等のアイデアを提供することである。具体的には、オンライン研修システム「edX」においてIMFが提供する各コースについて、本セミナーの講義とのリンクについて紹介し、また、キャリアパスに関しても、「OAPのインターンプログラム」や「奨学金プログラム」などについて紹介するものである。また、講師については、IMFのエコノミストまたは元エコノミストを招聘し、テクニカルなFPなどの説明を自らの体験を踏まえて解説してもらう。本プログラムの狙いは、受講生によりリアルな形で国際機関の現場を伝えることで、彼らの国際機関業務への理解を深めるとともに、本プログラムを通じて、国際機関等で働く将来のエコノミストが育っていくこと、また、IMFが提供するさまざまな経済分析ツールが国内でも幅広く理解され、かつ活用されていくことに繋げていくことである。以下では、8月9日~10日に開催したエコノミスト養成プログラムの第1回セミナーの模様を紹介したい。2第1回セミナーの模様日時:2017年8月9日(水)~10日(木)場所:JICA東京(東京国際センター)対象:大学院生(主に修士課程レベルの学生が対象だが、若手研究者、博士課程の学生、学部生等の応募も受付)講師:Dr. Jerry Schi元IMFアジア太平洋局次長。IMFで25年以上勤務した後、現在はアメリカン大学で教鞭をとるほか、東京大学公共政策大学院の非常勤講師を務める。8月9日~10日の2日間にかけて、エコノミスト養成プログラムの第1回目のセミナーを開催した。第1回セミナーのプログラム今回のセミナーは2日間の泊り込みのプログラムで行われ、最終的に18名の受講生が参加した。それぞれ大学において修士課程もしくは博士課程で学んでいる学生達であり、そのうちおよそ半数が日本人、残りは国内の大学で学んでいるアジアやアフリカからの留学生であった。第1日目には今回のセミナーの講師であり、様々な国々に対するIMFミッションでミッションチーフを務めた元IMF職員のDr. Jerry Schiによる講義が行われた。ここでは講師より、IMFの成り立ちやその業務について、そしてFPやDSAなどを用いたIMFのマクロ経済分析について、自身の経験も踏まえつつお話し頂いた。そして1日目の講義終了後、受講生たちはそれぞれ4つのグループに分かれ、課題として与えられたブラジルの経済状況について、実際にIMFのスタッフレポートに掲げられているデータを基にグループディスカッションが行われた。そして、第2日目の冒頭、グループディスカッションの結果を踏まえ、各グループによるプレゼンテーションが行われ、続けて全体での質疑応答の時間が設けられた。プログラムの最後には国際協力機構(JICA)及び国際協力銀行(JBIC)よりそれぞれ講師をお招きし、IMFの経済分析ツールが日本の両機関でどのように活用されているかについてご紹介頂いた。メイン講師のJerry Schi氏16ファイナンス 2017.10SPOT

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