ファイナンス 2017年8月号 Vol.53 No.5
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IMF財政局は、持続可能な成長に資する財政運営を支援するため、50年以上にわたり、財政に関する専門的知見を世界に提供してきた。財政に関する新たな展開の調査・分析とともに、政策への助言、時代の要請に沿った財政運営に向けた実践的な技術支援を、各国の実情を踏まえて提供している。本フォーラムは、アジアの政策担当者の間で喫緊の財政上の課題に関して意見交換を行う良い機会と考えている。今回のフォーラムでは、人々の長寿化とそれに伴う健康状態の変化については明らかでないことも多い中で、将来の財政コストに関する慎重な見通しと積極的なコミュニケーションが重要であること、健康・教育・インフラへの政府支出が社会全体に成長を行き渡らせる上で重要である一方、低い水準の税収と地方政府における非効率な支出が大きな制約となっていることが理解された。最後に、財務省とADBIのご協力に感謝するとともに、会議開催に当たっての財務総合政策研究所の方々のホスピタリティに厚く御礼申し上げる。このフォーラムでの議論がアジア各国におけるより効果的な財政政策の策定に貢献することを願っている。TFFへの期待Sanjeev Gupta IMF財政局次長IMF財政局はアジア諸国の財政制度や財政の透明性等の改善をサポートする技術支援(TA)の一環として、アジア諸国の政策担当者(課長クラス)向けのアジア地域セミナーを、第1回は2011年3月にマレーシア、第2回は2012年5月に韓国、第3回は2013年10月に東京で開催してきた。このような状況の中、これまで開催されてきたアジア地域セミナーの運営趣旨を踏襲しながら、①アジア諸国からよりハイレベルな政策担当者を招聘し、財政当局のリーダーが財政制度の現状や直面する課題を共有する、②アジア地域外からの専門家・研究機関職員や大学教授等の有識者を加え、政策担当者が有識者と意見交換できる場を提供する、③継続的に日本において開催する、との趣旨で、財務総合政策研究所・IMF財政局・ADBIが連携し、名称をTokyo Fiscal Forumとして2015年6月に開催するに至った。以後、2016年6月、今回(2017年6月)と3機関において開催してきた。これまで、アジアにおける高齢化社会と財政の持続可能性を大きな柱に掲げ、第1回フォーラムでは、アジアの成長、社会保障支出(医療・介護)、必要な歳入の確保、公共投資マネジメントというテーマをとりあげた。昨年の第2回フォーラムでは、国民医療制度の対象範囲、持続可能な医療制度、公的年金制度の設計と課題というテーマをとりあげた。次年度以降の開催については、3機関の調整により決定される予定となっている。Tokyo Fiscal Forum開催の経緯と実績Column1ファイナンス 2017.85PRI×FAD×ADBITokyo Fiscal Forum 2017を開催特集

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