ファイナンス 2017年7月号 Vol.53 No.4
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談で、インドの高速鉄道案件において日本の新幹線方式を採用することで合意しており、日印関係は極めて良好な関係を構築していると言える。現在その新幹線システムを導入するに際して、両国関係者で合同委員会を設立・開催しており、資金、技術及び人材育成面での協力に関して詳細を議論している。具体的には、日本が受注するのは、インドに複数ある高速鉄道計画のうち、インド最大の都市ムンバイと工業都市アーメダバードを結ぶ、約500キロメートルのルート(最高速度は時速320キロメートル)であり、所要時間は現在の約8時間から2時間程度へ大幅に短縮される大型プロジェクトになる。1958年以降インドに対して継続的に円借款供与を行っているが、本件は更なる関係強化に繋がる主要なツールとして期待されている。更に17年度からのGST導入により、企業の事業環境は大肌に改善することが見込まれ、投資及び輸出増による経済成長率の押し上げ効果が期待される。州による税率や異なる手続きが簡素化されるので、外資企業の同国への更なる進出も期待でき、モディ首相の目指す「メイク・イン・インディア」構想を後押しすることが見込まれている。4財務総研のインドにおける取組み前述した日本の官民の取組みの他に、財務総研が行っている活動を紹介したい。(1)省内インドワークショップ財務総研では、インドの経済や政策に関する知見を獲得することや、省外の日本のインド関係の有識者等との人脈形成を目的とし、2011年度より省内でインドワークショップ(WS)を毎年開催している。2016年度は、インドの政治・経済、労務問題、ビジネス環境等をテーマとした4回のWSを開催した。各回の講師、要旨は以下の通りである。座長:浦田 秀次郎 早稲田大学大学院アジア太平洋研究科 教授【第1回】インド政治・経済【図表2】インド政策金利の推移4.04.55.05.56.06.57.07.58.08.59.0(%)Nov-16Jun-16Jan-16Aug-15Mar-15Oct-14May-14Dec-13Jul-13Feb-13Sep-12Apr-12Nov-11Jun-11Jan-11Aug-10Mar-10Oct-09May-09Dec-08Jul-08Feb-08Sep-07Apr-07Nov-06Jun-06Jan-06(出所:RBI)30ファイナンス 2017.7SPOT

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