ファイナンス 2017年6月号 Vol.53 No.3
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中でどのように存在しうるかを絵画を通して問うているという、岡村美紀の作品、「御岩山雲龍図」。イ 山側山側はアナログな感じ。A 旧家和楽青少年の家かつての青少年の家を使った展示。まずは、何といっても、ザドック・ベン=デイヴィッド(イエメン)の「ブラックフィールド」。《ブラックフィールド》体育館のドアを開けると、一面にオーストラリアの真っ白い砂が広がり、その上に2.7万個の金属製の植物の黒いシルエットが敷き詰められている。その周りを歩いている人達から喚声が上がる。黒い植物の裏側はきらびやかな色彩で彩られる。一面だけではみることができないという構造が特徴のアーティストの作品。ロンドンから持ち込んだ大量の植物のシルエットをアーティストが地元の人に指示して配置し、体育館一杯に並べたという壮大な作品。余りにきれいな白い砂を触りたくなる人が続出。作品が傷まないよう、砂をいじれるスペースを後から設けた。人気の作品のため地元ボランティアも嬉しそうに案内してくれた。「うちに皆が良いといってくれる作品が来てくれて良かった。東京の人は『チームラボは他でも見られるけど、これはここでしか見られないよ。』」と言ってくれる。また芸術祭をやって欲しい。」と県の人にアピールしていた。次いで、「No.85」という台湾のアーティスト、ワン・テユの作品。建物の中の広い空間一杯に半透明のバルーンが膨らんで、生き物のように蠢く。昔、どこかの遊園地で遊んだような記憶が甦る。地元ボランティアによると、「子供が入ってはしゃぐんですよ。」とのことだったが、こっそり、一緒にはしゃいでしまう。B 鯨ヶ丘地域元フレンチレストラン。中に入ると、カラフルなプラスチックのパネルが整然と並ぶ、何これ?という空間。入り口で色のサンプルを渡される。睡眠、食事、くつろぎ、仕事といった一日の行動が21色でパネルに塗り分けられている。最初の作品は、随分仕事時間が長い人。とても忙しいこの人は誰かと思ってタイトルを見ると「知事」。少し進むと、人間離れして寝てるか食べているかばかりのパネル。誰かと思えば、「猫」、には納得。イマジネーションが膨らむこの作品は、「Life Stripe」というSPREAD(日本)というアーティストの作品。《Life Stripe》、2004 - 2016 photo 木奥恵三北海道で成功した地元出身の実業家が寄附した旧市役所の2階の議会跡の部屋いっぱいに広がる立体的な真っ白い地図。架空の地域の地図をベビーパウダーで表現。思わず触ってみたくなるのか、入口に「触らないで下さい」と注意書。「本当に触る人がいるのか?」と思いつつ入ると、いきなり、地図にはしっかりと手形が。ゆえに毎日補修しているとのこと。うっかりくしゃみをすると、霞ヶ浦がすっ飛んでしまう。このインパクトのある作品は、「イ/バ/ラ/キ」という、東京藝大で版画を学び、様々な素材で作品を展開する、ファイナンス 2017.621茨城県北部に80万人来訪!~はじめての茨城県北芸術祭にてSPOT

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