ファイナンス 2017年6月号 Vol.53 No.3
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も重要である。グリーンブックは、ADB総会ロジ全般について意思決定や調整を担う担当官(財務官室補佐が担当)の任命を求めている。そこで、コングレやJTBが担当するテクニカルな論点以外は、ほぼ全て日・ADBの担当官の間で連絡を取り合っていた。ADB官房のカウンターパートDavidからは、「妻よりもHiro(津田)と連絡を取り合っているので、妻が嫉妬している」と笑い話をされたほどであるが、こうした緊密な連携が成功の最大の秘訣である。2.次世代育成出張講座『中学生と考える日本、アジア開発銀行の途上国支援』本総会では広報にも力を入れ、財務官室としても、ポスターの掲示や日経新聞等のメディアパートナーとの連携、日本人記者向けADBサイト視察ツアー等を主体的に進めた。また、広報室が進める財政教育の番外編として、東京学芸大学附属国際中等教育学校にて、出張講座『中学生と考える日本、アジア開発銀行の途上国支援』を行った。中学生120名に対して、映像や生徒間のグループワークを通じて、絶対的貧困と経済成長による生活の改善の具体例、貧困削減の背景にある日本やADBの取組みなどについて紹介した。次世代育成については、ADBや横浜市も、柱の一つとして力を入れた。例えばADBは、180人に上る国内外の若者とノーベル平和賞受賞者モハメドユヌス等の講師を招聘し、次世代育成プログラム「Asia Youth Forum」を開催した。また、横浜市は、横浜市内の大学と連携して、次世代をテーマに学生参加型のセミナーを開催した。財務官室は、これらADBや横浜市主催イベントとも連携し、上記出張講座参加者を送り込んだところ、大学生顔負けの素晴らしい若者だったと、ADBも舌を巻いていた。国際中等教育学校恐るべし。また、財務省政策説明会でもADB総会を紹介し、希望者にはADB、横浜市主催イベントに参加してもらった。大変な好評を博したので、財務省採用戦略として有効だと、秘書課採用担当補佐に進言したほどである。出張講座の様子3.政府展示Japan Booth財務省主催の国際会議での政府展示は、IMF世銀総会に続き2回目である。ADB総会で展示の前例はないので、当初、展示は横浜市にお任せの予定であったが、国際会議ロジや政府展示の経験が豊富な中尾副財務官の「地元任せでいいのか!」との声が決め手となり、秋口から急ピッチで準備を進めた。ADB総会として前例がなく、そのための予算も人員もないため、IMF世銀総会のように電通を使うことは論外。展示の企画や企業への声掛けはじめ、出来る限り自前でやる必要があった。そこで、日本企業のADB案件入札率向上を念頭に、優れた技術を持つ日本企業から展示を募集することとし、企業への声掛けは経産省、国交省、環境省を通じて行った。また、JICA、JBIC、JETRO、JFPR(貧困削減日本基金)にも、それぞれの取組みを展示していただくようお願いした。いかんせん金がないので、財務省は展示スペースと最低限の備品を用意し、展示に要する費用は出展者に負担していただくこととした。にもかかわらず、1月末の展示説明会には45企業・団体に参加していただくほどの人気を博した。最終的に35企業・団体が展示を希望した。単ファイナンス 2017.611 第50回 アジア開発銀行(ADB)年次総会を横浜で開催特集

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