ファイナンス 2017年6月号 Vol.53 No.3
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①経済情勢に関する政策対話についてASEAN+3地域の経済は、堅調な成長を維持し、世界経済を牽引する役割を果たし続けるとの認識で一致した。世界経済については、成長が上向くと予想するものの、政策を取り巻く不確実性を背景とした下方リスクが残存しているとの認識を共有した。その上で、地域金融協力へのコミットメントを確認するとともに、金融・財政・構造改革などあらゆる政策ツールを用いて、持続的で均衡ある包摂的な成長を促すことの重要性を強調した。第20回ASEAN+3財務大臣・中央銀行総裁会議の ファミリー・フォト②地域金融協力についてⅰ. Chiang Mai Initiative Multilateralisaton(CMIM)金融危機の地域的な連鎖・拡大を防止するための枠組みであるCMIMについては、IMFデリンク部分(IMFのプログラム無しで発動可能な部分)の発動要件明確化のための運用ガイドラインの改訂を歓迎した。IMFデリンク割合の30%から40%への引上げについては、潜在的な引き上げに向けたこれまでの努力や進展を評価し、さらなる進展を期待することとされた。また、グローバル金融セーフティ・ネットを補完するというCMIMの役割に着目し、CMIMとIMFとの連携を強化していくこととされた。ⅱ. ASEAN+3 Macroeconomic Research Ofce(AMRO)域内経済の監視(サーベイランス)・分析を行うとともに、CMIMの実施を支援するAMROについては、AMROの能力強化に貢献する中期戦略の策定、AMROのサーベイランス能力の向上を示す「ASEAN+3地域経済報告」の公表や「AMRO国別サーベイランスの指針」の策定等を歓迎した。ⅲ.Asian Bond Market Initiative(ABMI)アジア通貨危機を教訓として、アジアにおける貯蓄をアジアに対する投資への活用する観点から、ASEAN+3域内における現地通貨建て債券市場を育成する取組みであるABMIについては、信用保証・投資ファシリティ(CGIF:Credit Guarantee and Investment Facility)の増資提案に留意し、早期の保証能力拡充の重要性を認識するとともにASEANの国債市場における成功例をまとめた「債券市場育成のグッド・プラクティス」の公表を歓迎した。③横浜Vision2017年がアジア通貨危機から20周年の節目にあたることも踏まえ、今後の地域協力を推進するにあたって、(A)様々なショックに備えた域内強靭性の向上、(B)ASEAN金融統合を支援する現地通貨利用の促進、という2つの柱を指針として示した「横浜Vision」を共同声明の付属文書として採択した。8ファイナンス 2017.6

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