ファイナンス 2017年5月号 Vol.53 No.2
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1.農林水産業をめぐる状況我が国の農林水産業の生産額の推移を見てみると、平成7年に10.4兆円あったものが、平成27年には8.8兆円となり16%減少しています。中でも、米については、平成7年に3.2兆円であったものが、平成27年には1.5兆円とこの間の20年でおよそ半分になっています。こうした中、基幹的農業従事者の平均年齢は67.0歳で、65歳以上が65%を占めているのに対して、50歳未満は10%にとどまっており、高齢化が著しく進展しています。日本の各地で広く生産されている米について見てみると、主業農家は4割しかおらず、準主業農家、副業的農家が主体となっています。主業農家では総所得のおよそ8割が農業所得となっている一方で、準主業農家や副業的農家では農業所得は総所得のおよそ1割となっていて、農業所得でもって生活が支えられているということにはなっているものではありません。このような準主業農家や副業的農家が、生産性が高くて効率的な強い農業の中心的な担い手になるのは難しい面があり、米については零細で高コストの生産体制が大きな変化なく続いてしまっています。それが農業全体の生産性向上にとっては大きな阻害要因ともなっています。また、高齢化・人口減少によって国内の食市場が縮小していくことを考えると、海外の需要を取り込み、農林水産物の輸出に積極的に取り組んでいくことが重要です。そのためにも、担い手への農地集積・集約化などコスト削減に取り組み、日平成29年度農林水産関係予算について主計局主計官 岩元 達弘資料1:我が国の農業総産出額の推移資料:農林水産省「生産農業所得統計」注1:耕種のその他は、麦類、雑穀、豆類、いも類、花き、工芸農作物及びその他作物の合計である。注2:乳用牛には生乳、鶏には鶏卵及びブロイラーを含む。注3:四捨五入の関係で内訳と計が一致しない場合がある。単位:億円耕種78,513(75%) 畜産25,204(24%)米31,861(30%)野菜23,978(23%)果実9,140(9%)その他13,536(13%)肉用牛4,494(4%)乳用牛7,917(8%)豚5,059(5%)鶏7,011(7%)その他724(1%)その他724(1%)加工農産物781(1%)加工農産物781(1%)平成7年10兆4,498億円(100%)耕種59,396(70%) 畜産25,057(29%)米19,469(23%)野菜20,327(24%)果実7,274(9%)その他12,326(14%)肉用牛4,730(6%)乳用牛7,834(9%)豚4,987(6%)鶏6,889(8%)その他619(1%)その他619(1%)平成17年8兆5,119億円(100%)加工農産物666(1%)加工農産物666(1%)耕種56,245(64%) 畜産31,179(35%)米14,994(17%)野菜23,916(27%)果実7,838(9%)その他9,498(11%)肉用牛6,886(8%)乳用牛8,397(10%)豚6,214(7%)鶏9,049(10%)その他634(1%)その他634(1%)加工農産物555(1%)加工農産物555(1%)平成27年8兆7,979億円(100%)2ファイナンス 2017.5特集

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