ファイナンス 2017年5月号 Vol.53 No.2
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2.防衛力整備に関する中長期的枠組み(1)平成26年度以降に係る防衛計画の大綱昨今の安全保障環境を踏まえた、おおむね10年程度にわたる我が国の防衛の在り方の指針として、平成25年12月に「平成26年度以降に係る防衛計画の大綱」(以下「大綱」という。)が決定された。大綱では、今後の防衛力については、特に重視すべき機能・能力についての全体最適を図るとともに、シームレスかつ状況に臨機に対応して機動的に行い得る実効的なものとしていくことが必要であり、ハード及びソフト両面における即応性、持続性、強靱性及び連接性も重視した統合機動防衛力を構築するとされている。あわせて、日米安全保障体制は我が国自身の努力とあいまって我が国の安全保障の基軸であり、①「日米同盟の抑止力及び対処力の強化」のため、日米防衛協力のための指針の見直しを進め、日米防衛協力を更に強化していくこと、②海賊対処、人道支援・災害救援といった分野のほか、海洋・宇宙・サイバー分野など「幅広い分野における協力の強化・拡大」を進めていくこと、③「在日米軍駐留に関する施策の着実な実施」として、在日米軍再編を着実に進め、米軍の抑止力を維持しつつ、地元の負担を軽減していくこと等が明記されている。特に、沖縄県については、安全保障上極めて重要な位置にあり、米軍の駐留が日米同盟の抑止力に大きく寄与している一方、在日米軍施設・区域の多くが集中していることを踏まえ、普天間飛行場の移設を含む在沖縄米軍施設・区域の整理・統合・縮小、負担の分散等により、沖縄の負担軽減を図っていくとしている。このような方針に基づき、大綱においては、将来の主要な編成、装備等の具体的規模について、図表2のとおり定めている。(図表2:平成26年図表2 平成26年度以降に係る防衛計画の大綱(別表)区 分現状(平成25年度末)将 来陸上自衛隊編成定数  常備自衛官定員  即応予備自衛官員数約15万9千人約15万1千人約8千人15万9千人15万1千人8千人基幹部隊機動運用部隊中央即応集団1個機甲師団3個機動師団4個機動旅団1個機甲師団1個空挺団1個水陸機動団1個ヘリコプター団地域配備部隊8個師団6個旅団5個師団2個旅団地対艦誘導弾部隊5個地対艦ミサイル連隊5個地対艦ミサイル連隊地対空誘導弾部隊8個高射特科群/連隊7個高射特科群/連隊海上自衛隊基幹部隊護衛艦部隊潜水艦部隊掃海部隊哨戒機部隊4個護衛隊群(8個護衛隊)5個護衛隊5個潜水隊1個掃海隊群9個航空隊4個護衛隊群(8個護衛隊)6個護衛隊6個潜水隊1個掃海隊群9個航空隊主要装備護衛艦(イージス・システム搭載護衛艦)潜水艦作戦用航空機47隻(6隻)16隻約170機54隻(8隻)22隻約170機航空自衛隊基幹部隊航空警戒管制部隊戦闘機部隊航空偵察部隊空中給油・輸送部隊航空輸送部隊地対空誘導弾部隊8個警戒群20個警戒隊1個警戒航空隊(2個飛行隊)12個飛行隊1個飛行隊1個飛行隊3個飛行隊6個高射群28個警戒隊1個警戒航空隊(3個飛行隊)13個飛行隊-2個飛行隊3個飛行隊6個高射群主要装備作戦用航空機 うち戦闘機約340機約260機約360機約280機注1:戦車及び火砲の現状(平成25年度末定数)の規模はそれぞれ約700両、約600両/門であるが、将来の規模はそれぞれ約300両、約300両/門とする。注2:弾道ミサイル防衛にも使用し得る主要装備・基幹部隊については、上記の護衛艦(イージス・システム搭載護衛艦)、航空警戒管制部隊及び地対空誘導弾部隊の範囲内で整備することとする。ファイナンス 2017.517平成29年度予算特集③平成29年度防衛関係費について 特集

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