ファイナンス 2017年5月号 Vol.53 No.2
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1.はじめに平成29年度の防衛関係費については、「平成26年度以降に係る防衛計画の大綱について」及び「中期防衛力整備計画(平成26年度~平成30年度)について」(平成25年12月17日国家安全保障会議及び閣議決定)等を踏まえ、警戒監視能力の強化や島嶼部における防衛態勢の強化等を図るとともに、厳しい財政事情の下、調達改革等を通じた一層の効率化・合理化を徹底し、対前年度比+1.4%(+710億円)の5兆1,251億円を計上している。このうちSACO関係経費*1(28億円)、米軍再編関係経費*2(2,011億円)及び新たな政府専用機の取得経費(216億円)を除いた部分は対前年度比+0.8%(+389億円)の4兆8,996億円となっている。本稿では、防衛力整備に関する中長期的枠組みを概観した上で、防衛関係費の三分類と新規後年度負担、平成29年度予算における主要事業、自衛官の定員等及び調達効率化への取組等について概要を説明するとともに、防衛予算にかかる今後の課題を紹介する。(図表1:平成29年度防衛関係予算のポイント(概要))平成29年度防衛関係費について主計局主計官 内野 洋次郎図表1 平成29年度防衛関係予算のポイント(概要)○29年度の防衛関係費は、5兆1,251億円(+1.4%)。中期防対象経費は、4兆8,996億円(+0.8%)。○中期防対象経費については、「中期防衛力整備計画」に沿って、周辺海空域における安全確保、島嶼部に対する攻撃への対応等に重点化を図るとともに、装備品の調達の効率化等を通じてメリハリある予算とし、+0.8%の伸び率を確保。○沖縄の基地負担軽減等のために行うSACO・米軍再編事業等を着実に推進するため、所要の予算を計上。政府専用機関連経費とあわせ、防衛関係費全体は、+1.4%の増とする。○新規後年度負担については、将来における予算の硬直化を招かないよう、総額を抑制しつつ、2兆1,299億円を計上(▲6.9%)。うち中期防対象経費は、1兆9,700億円(▲5.3%)。【29年度防衛関係費】51,251億円(+1.4%)【28年度防衛関係費】50,541億円(+1.5%、うち中期防対象経費 +0.8%)中期防対象経費の増米軍再編等経費の増 +245億円政府専用機関連経費の増 +76億円+389億円(+0.8%)(48,607億円→48,996億円)*1 SACO関係経費とは、沖縄に関する特別行動委員会(SACO:Special Action Committee on Okinawa)最終報告に盛り込まれた措置を実施するために必要な経費を指す。*2 米軍再編関係経費とは、「在日米軍の兵力構成見直し等に関する政府の取組について」(平成18年5月30日閣議決定)及び「平成22年5月28日に日米安全保障協議委員会において承認された事項に関する当面の政府の取組について」(平成22年5月28日閣議決定)に基づく再編関連措置のうち、地元の負担軽減に資する措置を実施するために必要な経費を指す。16ファイナンス 2017.5特集

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