ファイナンス 2017年4月号 Vol.53 No.1
9/78

対象に公共施設等の機能回復を行うとともに、避難解除等区域への住民の帰還を加速するための取組や直ちに帰還できない区域への将来の帰還に向けた荒廃抑制・保全対策(避難指示区域等の住民による住民参加型の取組支援を含む)を実施するため、181億円を措置している。(4)「新しい東北」の創造に向けた取組被災地で事業展開している多様な主体(企業・大学・NPO等)による取組について、情報の共有・交換を推進するため協議会の運営、被災地の事業者・起業者への資金供給やネットワーク作り等の支援、自治体における課題解決に向けた先進事例等の情報共有等の支援、東北地方の観光振興や被災地の人材確保対策に資するモデルケース創出の取組等を実施するため、22億円を措置している。(5)被災地向け予算の一括計上被災地向け予算については、被災地からの要望にワンストップで対応するため、被災地の要望を復興庁において一元的に受理し、これを踏まえ、復興事業に必要な予算を復興庁が一括して要求し、予算を計上しているところであり、対28年度4,828億円減の16,333億円を措置している。また、執行段階においても、復興庁が事業箇所等の事業の実質的内容を決定し、各府省へ予算の配分を行っている。4.外交関係予算(1)ODA予算①ODA予算の位置付けと29年度予算の特徴政府全体の一般会計ODA予算についてであるが、一般会計ODA予算は、そのピークを迎えた平成9年に財政構造改革法が制定され、翌年の10年度予算でマイナス10%シーリングとされて以降、趨勢的に減少傾向が続いてきた。その一方で、ODA事業量は、有償資金協力において過年度の円借款回収分の増加等により、最近は増加傾向にある。また、2000年代に入って以降、我が国民間部門からの開発途上国向け直接投資は大幅に増加しており、政府資金(ODA及びその他政府資金(OOF:Other Ocial Flows))に対する民間の直接投資の割合は、この10年で政府資金の半分強から政府資金を上回る水準にまで増加している。このため、開発途上国の経済発展への我が国の貢献を評価するに当たっては、一般会計ODA予算額のみならず、円借款も含めたODAの事業規模や、OOFや、とりわけ民間資金に着目すべき状況となっている。29年度における一般会計ODA予算について見ると、二国間協力(無償資金協力、技術協力)及び国際機関等を通じた国際協力を強化することにより前年度より拡充した姿となっている(対28年度8億円増の5,527億円)。また、補正予算や円借款、国際機関への国債の拠出を含む政府全体として見たODA事業量についても増加している(対28年度1,816億円増の22,257億円)。②外務省ODA外務省ODAは、主に、無償資金協力と技術協力、国際機関への拠出から構成される。[無償資金協力・技術協力]無償資金協力は、返済義務のない資金を供与するものであり、主に、比較的所得水準の低い国を対象としている。医療・保健、食糧援助といった資料2:平成29年度ODA予算(単位:億円)項 目28年度29年度28’→29’増減一般会計ODA5,5195,527+8(+0.1%)外務省(注1)6,9966,926▲70(▲1.0%)外務省ODA4,3424,343+1(+0.03%)うち無償資金協力+JICA技術協力3,1213,135+14(+0.5%)ODA事業量(注2)2兆441億円2兆2257億円程度+1816程度(+8.9%程度)(注1)特殊要因を除く。(28年度当初の特殊要因:サミット開催関連経費140億円、在外選挙費用等4億円)(注2)ODA事業量は、一般会計ODA予算(当初+補正)、円借款、国際機関向け拠出国債等の合計。ファイナンス 2017.45平成29年度予算特集②平成29年度内閣・内閣本府等、復興庁及び外交関係予算について 特集

元のページ  ../index.html#9

このブックを見る