ファイナンス 2017年4月号 Vol.53 No.1
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3授業を参観した小学校教員の感想特別授業の後、学校およびPTA関係者と山口税務署担当者、財務本省・財務局担当者で積極的な意見交換を行いました。ここでは、小学校教員から出された意見を紹介します。・発表した班の中で、トランプ大統領になって米軍が撤退するかもといった現実に基づいた発言や、高齢者は元気だから年金を減らしてもよいなど自分の経験に基づいた発言ができて素晴らしい。また、少子高齢化対策を行うと、将来的に人が増えて国が豊かになるなど、将来を見据えた考え方をしている点もよかった。・予算を作るにあたり、どこかを削らないと増やせない、夢だけでは作れないという現実を体験できたのはよい。・全ての班が、緊縮型の予算になったが、それは児童が今日的な日本の課題をよく知っているからである。いろいろな予算が作られることを期待するのであれば、班ごとに、教育に重点を置く、防衛に重点を置くなど、テーマを決めるとよい。・年金を少なくしたり、救急車を有料化したりするといった話があったが、他の子がどう思ったか聞いてみたかった。グループワークの後に、意見を交流するとよい。4特別授業を終えて日々、新聞やテレビ、インターネットで流れているニュースに関心をもつように、社会科の授業の中で時事的な社会問題を話題にしてきました。その中で、消費税増税に批判的だった児童が、特別授業後の振り返りには、増税も必要なのかもしれないと書いていました。これは、一人の主権者として、日本の未来を考えなければならないと感じた児童の姿の一例なのだと考えます。日本の未来を真剣に考え、話し合っている児童の姿を見て、とても嬉しくなりました。この度、このような機会を児童に提供してくださった関係者の皆様に深く感謝いたします。最後に、児童の言葉で、本稿を閉じたいと思います。「国の予算を決めることが、どれだけ難しいのかよく分かった。どうしたら国民に納得してもらえるかを考えることが難しい。」「国の予算や借金のことを考えるのは、自分たちだ。」写真3 話し合ったことを発表する児童プロフィール山本 健作1972年生まれ。山口県出身。一男二女の父。北海道の公立小学校、山口県の公立小学校を経て、山口大学教育学部附属山口小学校で勤務。担当教科は、社会科。2017年4月より防府市立牟礼小学校にて、教職に従事。写真4 児童に話をする筆者ファイナンス 2017.461租税教室と連携した財政教育プログラム SPOT

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