ファイナンス 2017年4月号 Vol.53 No.1
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1租税教室と連携する意義「なぜ、歴史を学ぶのだろう?」「なぜ、地理を学ぶのだろう?」「なぜ、社会科を学ぶのだろう?」といった児童の疑問に対して、どのように答えるとよいのでしょうか。暗記教科であると思われがちの社会科ですが、実は、そうではありません。国民がよりよい未来社会を築いていくために必要な教科なのです。ですから、社会科の授業をする際には、主体的に社会に関わり、よりよい社会を築くために学んでいるということを児童に自覚させていくことをいつも心掛けています。こうした意味において、財務省による「財政教育プログラム」は、教育的価値の高い取組みです。そして、この度は、租税教育推進協議会の租税教室と連携した初めての取組みでした。租税教室と連携したことで、その教育的価値はさらに高まったものになりました。なぜならば、予算編成からだけではなく、歳入と歳出の両面から日本の現状を捉え、日本の未来の在り方について考察しやすくなったからです。児童の主権者意識を高める上で、非常に効果的な取組みであったと考えます。2特別授業の実際今回の特別授業は、3単位時間(1単位時間:45分間)で構成しました。1時間目は、財務省大臣官房重藤地方課長による授業で、「自分の将来のために日本の財政を考える」というテーマでした。ここでポイントとなるのは、財政というものが、「だれか知らない大人がやっていて、自分には関係のないことだ。」と思っている児童に、財政というものが、「自分の将来を左右する身近なものである。」という認識をもたせることであったと考えます。授業の中では、身近なことを例に出し、国のお金がどのような場面で使われているのかについて分かりやすい説明がありました。以下に示す児童の反応から、重藤課長の授業によって、財政を自分事として捉えた児童の様子が分かります。・今までは、お金のことなどまだ私には関係ない話だと思っていたけれど、けっこう身近なものだった。・日本の借金の多さと、予算の決め方、自分と税の関係について勉強になりました。特に、税金がとても身近な所でたくさん使われていることに驚きました。写真1 重藤課長による授業2時間目は、山口税務署松村広報広聴官による授業でした。ここでポイントとなるのは、税の役割や公平性を児童が理解できるようにすることであったと考えます。租税教室と連携した 財政教育プログラム山口大学教育学部附属山口小学校 主幹教諭 山本 健作(現防府市立牟礼小学校)Spot02ファイナンス 2017.459SPOT

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