ファイナンス 2017年4月号 Vol.53 No.1
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1.概観(1)内閣・内閣本府等予算内閣官房・内閣府は、各府省の施策に関する総合調整機能を担っており、予算の大宗はこうした総合調整機能を反映したものとなっている。例えば沖縄振興予算においては、沖縄振興計画に基づく関連事業の全体的把握及び事業相互間の進度調整、計画に沿った事業の推進を図る観点から、これらの事業に必要な経費を内閣府に一括計上し、必要に応じ事業を実施する所管省庁に予算を移し替えて執行するなど、効果的な総合調整を行っている。また、内閣本府は、内閣の重要政策に関する内閣の事務を助けることを任務としており、これに関連して29年度予算では、例えば、総合海洋政策推進事務局に、特定有人国境離島地域社会維持推進交付金の措置等を行っている。こうした機能・任務に照らして、必要となる諸課題に対応するため、内閣・内閣本府等の29年度当初予算は全体として、対28年度1,099億円増の28,168億円となっている*1。(2)復興庁予算復興庁は、東日本大震災からの復興に関する事業の円滑かつ迅速な遂行を図るため、東日本大震災からの復興に関する施策の企画立案・総合調整等を行っている。被災地向け予算については、復興に関する行政各部の事業を統括・監理する一環として、復興庁が所管する一括計上予算として東日本大震災復興特別会計に計上しており、29年度予算では、「復興・創生期間」における被災地の復興に必要な取組みを着実に推進するため、対28年度5,901億円減の18,153億円*2を措置している。(3)外交関係予算29年度予算では、安倍政権の「地球儀を俯瞰する外交」を推進する観点から、政府全体の一般会計ODA予算について2年連続増額の姿となっており、円借款等も含めたODA事業量についても増加している。また、非ODA予算も含めた外務省予算については、厳しい財政事情の中で全体としては対前年度減額の予算とする一方で、特に①難民対策や感染症対策などを含むグローバルな課題への貢献、②テロ等を踏まえた在外邦人の安全対策の強化、③戦略的対外発信の推進、④外交実施体制の拡充に対して、重点的な予算措置を行っている。平成29年度 内閣・内閣本府等、復興庁及び外交関係予算について主計局主計官 嶋田 俊之*1 主な増額の要因は、保育の受け皿拡大等により子どものための教育・保育給付に必要な経費が増額したことによるもの。*2 東日本大震災復興特別会計の29年度歳出額26,896億円のうち、復興加速化・福島再生予備費(財務省所管:4,500億円)及び震災復興特別交付税(総務省所管:3,425億円)を除き、大宗が復興庁所管の被災地向け予算となっている。2ファイナンス 2017.4特集

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