ファイナンス 2017年4月号 Vol.53 No.1
36/78

2.文教関係教育再生に資する施策に全体のメリハリの中で重点化するとともに、限られた財源で大きな政策効果を得るための適正化・合理化を推進することとしている。具体的には以下のとおりである。2-1.一億総活躍社会関係学びのセーフティーネットを構築し、誰もが活躍できる「一億総活躍社会」の実現に向け、低所得世帯の進学を後押しするため、給付型奨学金を創設し、29年度から先行実施するとともに、無利子奨学金について、低所得世帯の子供に係る成績基準の実質的な撤廃及び残存適格者の解消を行う。また、幼児教育の段階的無償化を進めるほか、高校生等奨学給付金の拡充、「放課後子供教室」の拡充等により、教育機会を確保しつつ、負担軽減を図る。(1)給付型奨学金の創設(70億円(新規))低所得世帯の子供たちの進学を後押しするため、給付型奨学金制度を創設し、30年度より本格実施(より経済的負担の大きい「私立・自宅外」の学生については、29年度より先行実施)。給付額は月3万円を軸に、支出実態等を基に国公私の別、自宅・自宅外の別に配慮する。なお、児童養護施設出身者には、初年度に入学金相当額(24万円)を別途給付することとする。また、財源については、奨学金体系の見直し、重複施策の縮減を含めた既定経費の見直しにより捻出する。29年度は、安定的な制度運用のため、(独)日本学生支援機構に基金を新設し、先行実施に係る学生への給付財源として70億円を計上。(2)無利子奨学金の拡充等(880億円⇒885億円(+0.5%))無利子奨学金については、低所得世帯の子供に係る成績基準を実質的に撤廃すると共に、残存適格者を全て解消。これらの財源として、政府貸付金の増額による新規貸与者枠の拡充(+8,000人)のほか、安定財源を確保するまでの臨時的・過渡的な措置として、財政融資資金を活用した利子補給方式による対応を行う(成績基準の実質的撤廃:2万人、残存適格者の解消:1.6万人)。また、29年度から導入予定の「所得連動返還型奨学金制度」(マイナンバーを活用した奨学金の返還月額が卒業後の所得に連動する制度)について、システムの整備を28年度補正予算(第2号)で進める(28億円)。(3)授業料減免対象者の拡大・国立大学法人運営費交付金(320億円⇒333億円(+4.0%))・私立大学等経常費補助金(86億円⇒102億円(+18.2%))経済的な理由によって授業料の納付が困難で、かつ、学業成績が優秀な者等に対する授業料減免枠を拡大する。国立大学は約0.2万人増(約5.9万人→約6.1万人)、私立大学は約1万人増(4.8万人→5.8万人)。(4)幼児教育無償化の推進(323億円⇒334億円(+3.6%))低所得世帯及びひとり親世帯等の負担軽減策の拡充を行う。具体的には住民税非課税世帯の第2子について無償化することとし、年収約360万円未満世帯の第1子について、保護者負担額1万6,100円から1万4,100円に引き下げ、第2子について、8,050円から7,050円に引き下げることとする。更に、年収約360万円未満世帯のひとり親世帯等について、保護者負担額を7,550円から3,000円に引き下げることとする。(5)高校生等奨学給付金の拡充(131億円⇒136億円(+3.8%))高校生等に係る授業料以外の教育費について、各都道府県が実施する高校生等奨学給付金事業を支援(補助率1/3)。市町村民税非課税世帯(全日制等)の第1子への給付額について、国公立(5万9,500円→7万5,800円)、私立(6万7,200円→8万4,000円)ともに拡充する(第2子以降32ファイナンス 2017.4特集

元のページ  ../index.html#36

このブックを見る