ファイナンス 2017年4月号 Vol.53 No.1
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1.概要(1)29年度の文教及び科学振興費は、一般会計ベースでは、5兆3,567億円(28年度当初予算比13億円、0.0%減)を計上している。このうち、文教関係費は4兆522億円、科学技術振興費は1兆3,045億円である。文部科学省所管予算としては、一般会計で、5兆3,097億円(28年度当初予算比119億円、0.2%減)を計上している。このうち、文教関係費は4兆428億円、科学技術振興費は8,674億円、その他が3,995億円である。(2)29年度文教及び科学技術予算のポイントは以下のとおりである。少子化の進展を踏まえた予算の効率化、民間資金の導入促進、予算の質の向上・重点化、エビデンスに基づくPDCAサイクルの徹底、の4点を基本方針として編成を行った。①文教予算○義務教育教職員の定数について、少子化や学校統廃合の進展を適切に反映した基礎定数の減少を見込みつつ、発達障害等を持つ児童生徒に対する通級指導や外国人児童生徒に対する日本語指導のための教職員の安定的な配置等を図るため、加配定数の一部について基礎定数への移行を行う。○外部人材を有効に活用するため、「チーム学校」や「学校を核とした地域力強化プラン」の推進のための予算を拡充する。○国立大学法人運営費交付金等については、教育研究基盤の安定のために前年度同程度の水準を確保する中で、メリハリのある配分を実施。合わせて授業料免除枠も拡充。○学びのセーフティーネットを構築し、誰もが活躍できる「一億総活躍社会」の実現に向け、低所得世帯の進学を後押しするため、給付型奨学金を創設し、29年度から先行実施する。無利子奨学金について、低所得世帯の子供に係る成績基準を実質的に撤廃すると共に、残存適格者を解消する。また、幼児教育の段階的無償化を進めるほか、高校生等奨学給付金の拡充、「放課後子供教室」の拡充等により、教育機会を確保しつつ、負担軽減を図る。また、非構造部材の耐震化や老朽化対策、トイレ・空調の改修など、子どもたちが安心して学べる学校施設の環境整備も実施。○スポーツ予算について、2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会の成功に向け、国際競技力向上を図るとともに、国民各層のスポーツ活動への参画(「する」、「みる」、「ささえる」)を促進することを通じ、スポーツを通じた地域活性化や健康長寿社会の実現等を目指すこととしている。○文化予算については、豊かな文化芸術の創造と人材育成、文化財の保存・活用及び継承等や文化発信を支える基盤の整備・充実などを推進することとしている。②科学技術関係予算○民間投資を引き出し、官民一体となってイノベーションの創出を図り、成長力の強化に資するような研究開発へ重点化しつつ、25年度以降最大となる伸び率(+0.9%)。平成29年度 文教及び科学振興費について主計局主計官 奥 達雄30ファイナンス 2017.4特集

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