ファイナンス 2017年4月号 Vol.53 No.1
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財源不足に対処する必要もあったことから、平成29年度から平成31年度までの各年度において、総額9,000億円の範囲内において、地方公共団体金融機構(以下「機構」という。)の公庫債権金利変動準備金(以下「準備金」という。)を活用することとし、平成29年度の活用額は、既に活用を予定していた1,000億円*4を含め4,000億円とした。第二に、交付税及び譲与税配付金特別会計(以下「交付税特会」という。)における剰余金を活用することとした。交付税特会における剰余金とは、地方財政計画において計上した交付税特会の借入金に対する利払費の不用額であり、平成29年度の活用額は3,400億円である。第三に、交付税特会借入金の償還計画を見直し、平成29年度に予定していた交付税特会借入金の償還額5,000億円のうち平成28年度と同額の4,000億円を償還することとし、1,000億円を後年度に繰り延べた。なお、地方歳入の具体的な動向については、平成29年度地方財政計画において、地方税収等(地方税収及び地方譲与税収の合計額)は、対前年度+0.5兆円の41.6兆円と過去最高水準となっている。また、地方法人税収は対前年度+0.0兆円の0.6兆円、所得税・法人税・酒税・消費税の法定率分は対前年度+0.0兆円の14.5兆円と見込まれている。③ 歳出面における主な取組み歳出面については、86兆6,198億円(対前年度+8,605億円)が計上されているが、その主な内訳は以下のとおりである。給与関係経費について、退職手当の減(▲995億円)等を反映する一方、給与改定による増(+871億円)等を反映した結果、20兆3,209億円(対前年度▲65億円)が計上されている。一般行政経費については、「ニッポン一億総活躍プラン」に基づく保育士や介護人材等の処遇改善に係る経費の財源を確保したほか、国庫補助事業の増減を反映し、補助事業として19兆7,809億円(対前年度+7,805億円)、地方単独事業として14兆213億円(対前年度▲161億円)、国民健康保険・後期高齢者医療制度関係事業費として1兆5,068億円(対前年度+15億円)が計上されている。地方創生については、少子高齢化の進展に的確に対応し、将来にわたって活力ある社会を維持していくため、地域の実情に応じたきめ細やかな施策を可能にする観点から、先述した「まち・ひと・しごと創生事業費」が平成28年度に続き、1兆円計上されている。また、「経済・財政再生計画」を踏まえ、平成27年12月にとりまとめられた「改革工程表」に示された自治体クラウドの積極的展開など、地方における現下の喫緊の重点課題に対応するための当面の措置として「重点課題対応分」2,500億円が計上されている。投資的経費については、国の公共事業関係費の動向も踏まえて、11兆3,570億円(対前年度+1,524億円)が計上されている。その内訳としては、直轄・補助事業については国庫補助事業の増減を反映して5兆7,273億円(対前年度▲432億円)を計上し、地方単独事業については、地方公共団体が引き続き喫緊の課題である防災・減災対策に取り組んでいけるよう、緊急防災・減災事業費5,000億円を計上し、対象事業を拡充した上で*3 消費税率(地方消費税率)の引上げ及び法人事業税に係る地方法人特別税・譲与税制度の廃止に伴い生じる地域間の税源の偏在性を是正するため、法人住民税法人税割の一部を地方法人税(国税)として地方交付税原資化するもの。28年度税制改正大綱において、消費税率の引上げ(8%→10%)に伴い、法人住民税法人税割の税率引下げ(12.9%→7.0%)と地方法人税の税率の引上げ(4.4%→10.3%)を予定していたが、消費税率(地方消費税率)の引上げが平成31年10月1日に変更されたことを受けて、当該措置も延期された。*4 機構の準備金は、「地方公共団体金融機構法附則第14条の規定に基づき、「公営企業金融公庫法の廃止に伴う関係政令の整備及び経過措置に関する政令」第27条の規定に基づき財政投融資特別会計投資勘定に帰属させた上で、当該帰属させた額を同勘定から交付税特会に繰り入れることとしている。平成27年度地方財政対策において、まち・ひと・しごと創生事業費の財源として平成27年度から平成29年度までの間、総額6,000億円の範囲内において活用することとしており、平成29年度は1,000億円の活用を予定していた。ファイナンス 2017.423平成29年度予算特集②平成29年度地方財政対策について 特集

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