ファイナンス 2017年4月号 Vol.53 No.1
26/78

には、2020年度PB黒字化を実現することとし、そのため、PB赤字の対GDP比を縮小していく」こととされた。また、計画期間の当初3年間(平成28~30年度)を集中改革期間と位置づけ、集中改革期間における改革努力のメルクマールとして、平成30年度のPB赤字の対GDP比▲1%程度が目安とされた。その中で、地方においては、国の取組と基調を合わせて改革に取り組むこととされ、その歳出水準については、「国の一般歳出の取組と基調を合わせつつ、交付団体をはじめ地方の安定的な財政運営に必要となる一般財源の総額について、2018年度(平成30年度)までにおいて、2015年度地方財政計画の水準を下回らないよう実質的に同水準を確保する」とされた(「地方一般財源総額実質同水準」ルール)。また、「平成29年度予算編成の基本方針」(平成28年11月29日閣議決定)においては、「予算編成に当たっては、我が国財政の厳しい状況を踏まえ、引き続き歳出全般にわたり、聖域なき徹底した見直しを推進する。地方においても、国の取組と基調を合わせ徹底した見直しを進める」こととされた。平成29年度の地方財政計画は、これらの方針に従って策定されたものである。②歳入面における主な取組まず、消費税率(国・地方)10%段階において実施する予定であった偏在是正措置*3(地方法人税の税率引き上げ等)が延期されたことから、当該措置により対応する予定であったまち・ひと・しごと創生事業費の財源確保が課題となった。また、先述の繰越金約1.3兆円の剥落に伴う参考3 国と地方の財政状況(ストック)国地方30年前(1987年度末)20年前(1997年度末)10年前(2007年度末)現在(2017年度末見込)概ね2.0倍概ね1.7倍約330兆円増加対リーマンショック後(2009年度末)約280兆円増加概ね2.3倍概ね1.3倍ほぼ横ばい財政調整基金減債基金30年前(1984年度末)20年前(1994年度末)10年前(2004年度末)現在(2014年度末決算)その他基金総額568兆円リーマンショック後(2009年度末)621兆円199兆円リーマンショック後(2009年度末)199兆円3.7兆円2.4兆円6.9兆円13.0兆円898兆円195兆円7.1兆円2.6兆円10.2兆円19.8兆円342兆円150兆円3.7兆円5.5兆円10.3兆円19.4兆円174兆円64兆円2.5兆円0.5兆円2.1兆円5.1兆円約1.5倍○国と地方の長期債務残高の推移○積立金残高の推移○30年前から10年前までは、国及び地方のいずれにおいても長期債務残高が増加○過去10年程度を見ると、国の長期債務残高は約330兆円増加している一方、地方はほぼ横ばい。○一方、地方の貯金である積立金残高は過去10年間に約1.5倍に増加。(注)2014年度末決算の積立金残高については通常収支分。(注)交付税及び譲与税配付金特別会計の借入金については、その償還の負担分に応じて、国と地方に分割して計上している。なお、平成19年度初をもってそれまでの国負担分借入金残高の全額を一般会計に承継したため、平成19年度末以降の同特会の借入金残高は全額地方負担分(2017年度末で32兆円程度)である。*2 国・地方を合わせた基礎的財政収支について、2020年度までに黒字化、その後の債務残高対GDP比の安定的な引下げを目指すこと(当面の財政健全化に向けた取組等について-中期財政計画-(平成25年8月8日閣議了解))をいう。22ファイナンス 2017.4特集

元のページ  ../index.html#26

このブックを見る