ファイナンス 2017年4月号 Vol.53 No.1
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(2)帰還困難区域における措置帰還困難区域においては、福島復興加速化指針に基づき、復興拠点における除染・解体事業については東電に求償せずに国の負担において実施することとしており、29年度には、除染・解体事業に係る事前調査を実施し、事業に着手するために必要な予算として309億円〔新規〕を計上している。Ⅲ 司法・警察予算1 概観警察庁、法務省、裁判所は、都道府県警察、刑務所、地方入国管理局、地方裁判所等、全国における司法警察活動の現場を支えていることから、これらの予算は、人件費を含めた義務的経費の割合が高くなっているが、平成29年度予算では、国際テロ情勢を踏まえたテロの未然防止・対処体制の強化、深刻化するサイバー空間の脅威に対処するための人材育成、再犯防止対策の推進のほか、訪日外国人数の急増を受けた入国管理体制の整備等に重点的に配分している。2 警察庁(1)一般会計平成29年度は、警察庁一般会計予算として3,185億円〔▲92億円〕を計上している。このうち、交通反則金収入を原資とする交付税及び譲与税配付金特別会計の繰入金が624億円である。前年度予算からの減少理由としては、主に、伊勢志摩サミット警備に伴う一時的な経費の剥落〔▲143億円〕が影響している。警察庁予算(交付税特会繰入を除き2,561億円)は、大別して次の3つの要素から構成されている。(イ)人件費896億円(都道府県警察の職員のうち警視正以上の階級にある警察官(一般職の国家公務員)及び警察庁職員)、(ロ)国費物件費958億円(警察教養、警察通信、犯罪鑑識、警察用車両及び航空機並びに警備装備品に要する経費)、(ハ)都道府県警察に要する経費に対する補助金707億円である。補助金のうち、成田国際空港警備隊にかかる人件費等を含めると、総人件費は1,038億円〔▲18億円〕となり、警察庁予算の約4割を占める。主な重点分野を概観すると、国際テロ情勢が厳しさを増す中、東京オリンピック・パラリンピックを見据えたテロ対策の推進として、17億円〔+3億円〕を計上している。また、深刻化するサイバー空間の脅威への対処のため人材育成の基盤強化に係る経費として27億円〔+10億円〕を計上している。また、客観証拠重視の捜査のために必要な基盤整備(DNA鑑定、司法解剖等にかかる経費)として118億円〔+5億円〕、暴力団同士の対立抗争や薬物の流通、犯罪のグローバル化等を踏まえた組織犯罪対策の推進として44億円〔±0億円〕、特殊詐欺対策等の生活の安全を脅かす犯罪対策の推進として33億円〔▲1億円〕、安全かつ快適な交通の確保(交通安全施設整備にかかる補助金等)として194億円〔▲2億円〕、警察基盤の充実強化(警察車両、警察施設整備、国際的な基準改定を受けた警察移動無線の全面的な刷新等)として397億円〔+66億円〕等を計上している。(2)復興関係東日本大震災復興特別会計では、福島第一原子力発電所周辺地域におけるパトロール等の災害警(表3)除染等に関する予算の推移(単位:億円)25年度まで26年度当初27年度当初27年度補正28年度当初28年度補正29年度当初除染1兆3,5792,5824,1747835,2503,3072,856汚染廃棄物処理2,3981,3301,3372,0901,801中間貯蔵施設1771,0127581,3461,876合計1兆6,1554,9246,2697838,6863,3076,533※上記の計数は各府省分を含む。ファイナンス 2017.417平成29年度予算特集②平成29年度司法・警察、経済産業、環境予算について 特集

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