ファイナンス 2017年4月号 Vol.53 No.1
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2 安全・安心な環境の確保等(1)安全・安心な環境の確保適切な廃棄物処理の推進による生活環境の確保、化学物質の調査等による健康影響への対処等を通じ、安全・安心な環境の確保のための施策を推進することとしている。一般廃棄物処理施設については、平成2年度以降、ダイオキシン類対策のために集中的に整備したこともあり、近年老朽化が進行しており、その更新が課題となっている。平成29年度予算においては、施設の更新に当たり、可能な限り地球温暖化対策及び大規模災害対策を並行して進めることとしており、関連予算として512億円〔±0億円〕計上し、平成28年度2次補正予算においても450億円を計上している。また、人口分散地域における効率的な汚水処理施設の整備のため、合併処理浄化槽の導入支援として94億円〔+10億円〕を計上しているほか、毒性の強い化学物質であるPCB廃棄物の処理を進めるための施設整備等のための経費として58億円〔+1億円〕を計上している。平成23年から実施しているエコチル調査(胎児期から小児期にかけての化学物質ばく露が子どもの健康に与える影響を解明するための追跡調査)については、試料の分析を充実させることとし、対前年度微増の45億円〔+0億円〕を計上している。(平成28年度2次補正予算においても13億円を計上)(2)豊かな自然の保全・活用昨年3月30日に策定された「明日の日本を支える観光ビジョン」において、「国立公園満喫プロジェクト」として自然満喫メニューの充実・支援等を進め、2020年までに、外国人国立公園利用者数を年間430万人から1,000万人に増やすことを目指すこととされている。これを踏まえ、平成29年度予算においては、国立公園満喫プロジェクト等推進事業として100億円〔+16億円〕を計上しており、平成28年度2次補正予算に計上した103億円と合わせ、プロジェクトの対象となっている8公園(※)を中心として、観光客誘致に向けた具体策の検討、海外への情報発信、利用環境の向上のための施設整備等を推進することとしている。※ 阿寒、十和田八幡平、日光、伊勢志摩、大山隠岐、阿蘇くじゅう、霧島錦江湾、慶良間諸島の8公園また、近年、シカ・イノシシの急増により農林業や生態系に被害が生じている実態を踏まえ、これらの指定鳥獣の捕獲対策への支援を強化することとし、関連予算として8億円〔+3億円〕計上し、平成28年度2次補正予算においても7億円を計上している。3 地球温暖化対策の更なる推進(1)地球温暖化に伴う影響への適応地球温暖化への対応については、温室効果ガスの削減による温暖化の緩和のみならず、異常気象による災害の発生や高温による農作物の品質低下などの温暖化に伴う影響に適応していく必要がある。平成29年度予算においては、こうした適応のための調査・研究を加速化することとしており、全国レベルでの研究の加速化のため、国立環境研究所運営費交付金(エコチル調査分除く)を101億円〔+5億円〕に増額するとともに、地域レベルでの適応策の検討を進めるため、気候変動影響評価・適応推進事業を7億円〔+3億円〕計上することとしている。(2)再生可能エネルギーの導入推進2030年度における温室効果ガス削減目標(2013年度比▲26%削減)の達成に向け、エネルギー需給勘定を活用しつつ、再生可能エネルギーの導入拡大を推進することとしている。具体的には、固定価格買取制度に依存しない自家消費型の再生可能エネルギーの導入を促進するため、費用対効果が高くかつ先進的な取組みに対する補助事業に80億円〔+20億円〕を計上している。また、地域低炭素投資促進ファンド事業については、事業内容を抜本的に見直し、固定価格買取制度のみでは十分に拡大していない再生可能エネルギーを支援する事業と位置づけることとし、太陽光発電以外の再エネ発電事業に対して出ファイナンス 2017.415平成29年度予算特集②平成29年度司法・警察、経済産業、環境予算について 特集

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