ファイナンス 2017年4月号 Vol.53 No.1
17/78

のポテンシャル調査や掘削調査等に対する補助金90億円〔▲10億円〕、「水素社会」の実現に向けて未利用エネルギーを活用した水素サプライチェーン構築実証事業47億円〔+19億円〕、福島県における再生可能エネルギーの導入促進のための送電線の増強等に対する補助金25億円〔新規〕など、必要な予算を計上している。このほか、固定価格買取制度に関連して、電力多消費産業に対する賦課金減免措置のための経費として292億円〔▲191億円〕を計上している。②燃料安定供給対策〈資源開発〉我が国のエネルギーの安定供給を確保するためには、引き続き新たな権益獲得を進めていく必要があり、平成29年度においても、独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)の石油天然ガス田の炭鉱・資産買収等事業に対する出資金として551億円〔▲9億円〕を計上している。(平成28年度第2次補正予算においても、資源開発促進のためのリスクマネー供給等の拡大のため、128億円を計上)また、国内資源についても、日本周辺海域に一定の資源量が期待される石油・天然ガスを安定的なエネルギー資源として利用できるよう、国内石油・天然ガスに係る基礎物理探査・掘削調査や、メタンハイドレートに係る調査・研究開発に必要な予算として、242億円を計上している。〈燃料備蓄〉国は、石油備蓄法に基づき、約5,000万klの国家備蓄石油を保有しており、そのうち約3,400万klを全国10カ所にある国家石油備蓄基地に蔵置し、これらの基地の操業管理(点検・修繕・危機対応訓練等)等を委託している。平成29年度においては、こうした管理委託費として、大規模な法定検査を実施するための経費を盛り込み、437億円〔+12億円〕を計上している。また、国家石油備蓄基地に蔵置しきれない約1,500万kl分については民間タンクを借り上げて蔵置しており、そのための予算として283億円〔▲3億円〕を計上している。石油ガス(LPガス)についても、石油備蓄法に基づき、全国5箇所の基地において150万㌧を目標に国家備蓄を行っており、これらの基地の操業管理を委託するための予算として101億円〔+6億円〕を計上している。〈コンビナート事業再編・強靭化〉石油コンビナート等の生産性と危機対応力を向上させるため、首都直下地震等の発生に備えた製油所・油槽所等の強じん化に向けた投資や、複数の製油所等が連携して行う生産性向上のための投資に対して支援を行っており、そのための予算として140億円〔+10億円〕を計上している。(平成28年度第2次補正予算においても、石油供給インフラ強じん化のため、61億円を計上)(2)電源開発促進勘定(電源開発促進税財源)電源開発促進勘定(経済産業省分)の歳出は、発電設備の建設と運転を円滑にすることを目的とする「電源立地対策」と、発電用施設の利用促進と安全確保等を目的とする「電源利用対策」とで構成されており、平成29年度予算では、それぞれ1,654億円〔+61億円〕、141億円〔▲18億円〕を計上している(図1)。「電源立地対策」の約半分を占める電源立地地域対策交付金は、発電用施設等の立地の促進及び運転の円滑化を図るため、発電用施設等の立地自治体に対して交付される交付金である。設備容量や発電電力量などによって交付額が算定されており、必要額を計上している824億円〔▲45億円〕。また、福島復興加速化指針を踏まえ、中間貯蔵施設費用相当分について、原子力損害賠償・廃炉等支援機構に対する交付金を増額し、470億円〔+120億円〕を計上している。その財源については、一般会計の財政収支や復興財源に影響を与えないよう、本勘定の歳出の見直しにより捻出している。(3)原子力損害賠償支援勘定原子力損害賠償支援勘定の歳出は、「原子力損害賠償・廃炉等支援機構法」の規定により行う原ファイナンス 2017.413平成29年度予算特集②平成29年度司法・警察、経済産業、環境予算について 特集

元のページ  ../index.html#17

このブックを見る