ファイナンス 2017年4月号 Vol.53 No.1
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査事業等に必要な予算を計上している。また、東日本大震災復興特別会計では、原子力災害による被災事業者の自立等支援、福島イノベーション・コースト構想の実現等に必要な予算を計上している。このほか、「原子力災害からの福島復興の加速のための基本指針」(平成28年12月20日閣議決定。以下「福島復興加速化指針」という。)を踏まえ、原子力損害賠償・廃炉等支援機構に交付する交付国債の追加発行等を行っている。2 一般会計(1)科学技術振興費人工知能、ロボット、IoT、サイバーセキュリティ等の戦略分野における研究開発や実証事業に対して重点的な予算措置を行っており、科学技術振興費は総額で1,010億円〔+31億円〕を計上している。具体的には、次世代の人工知能分野とロボット分野における中核的な技術について、両者の融合を目指し、産学官が連携して行う研究開発に45億円〔+14億円〕を計上している。また、ロボット導入コストの低廉化に向け、汎用的な作業・工程に使える小型汎用ロボット(プラットフォームロボット)の開発に17億円〔+2億円〕を計上している。なお、平成28年度第2次補正予算においても、人工知能技術と我が国の強みであるものづくり技術の融合を目指し、国内外の叡智を集めた研究拠点を構築するため、195億円を計上した。IoTについては、IoT技術を活用して化学プラント等における自主保安の高度化を図る等、IoTを活用したモデル実証を行う事業に8億円〔+1億円〕を計上し、規制・制度の見直しやデータフォーマットの統一化等を推進することとしている。サイバーセキュリティ対策については、重要なインフラやプラントを有する産業において、サイバーセキュリティ対策の中核となる人材を育成するとともに、実際のプラント等の制御システムにおける安全性・信頼性の検証等を行うため、12億円〔新規〕を計上している。(平成28年度第2次補正予算においても25億円を計上)医療分野の研究開発については、次世代の治療・診断を実現するための創薬基盤技術の研究開発に53億円〔▲3億円〕や、未来の医療を実現する医療機器やシステムの研究開発に44億円〔▲0億円〕を計上するなど、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)に対して183億円〔▲2億円〕を交付することとしている。(一部中小企業対策費計上分を含む。)(2)中小企業対策中小企業対策費は、経済産業省予算のほか、財務省予算及び厚生労働省予算に計上されており、一般会計全体では1,810億円〔▲14億円〕を計上している。前年度比で微減となっているが、これは景気回復を背景に日本政策金融公庫の信用保険収支が改善していることを反映した同公庫への出資金(財務省予算)の減少〔▲32億円〕によるものである。経済産業省の中小企業対策費について1,116億円〔+5億円〕を確保するなど、政策的な予算という点ではむしろ増加している。平成29年度予算では、経営者の高齢化に対応するための事業承継支援及び取引の適正化を図るための下請取引対策に重点的な予算措置を行っている。具体的には、「事業引継ぎ支援センター」の体制強化等を行う中小企業再生支援・事業引継ぎ支援事業61億円〔+3億円〕、事業承継を契機として経営革新や事業転換に取り組む中小企業への支援等を行う創業・事業承継支援事業11億円〔新規〕を計上している。また、「下請かけこみ寺」における相談対応や親事業者との価格交渉に必要なノウハウの普及等を行う中小企業取引対策事業14億円〔+4億円〕を計上している。さらに、中小企業・小規模事業者の生産性向上に向けて、様々な経営課題の解決を支援する「よろず支援拠点」の体制強化等を行う中小企業・小規模事業者ワンストップ総合支援事業55億円〔+0億円〕、産学官連携して行う革新的な商品・サービスモデルの開発等を支援する戦略的基盤技術高度化・連携支援事業130億円〔▲10億円〕、10ファイナンス 2017.4特集

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