ファイナンス 2017年4月号 Vol.53 No.1
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基礎的生活分野への援助や、地雷除去、環境保全等の取組みへの支援、経済発展のために必要な道路・橋梁の建設等インフラ整備への支援、災害や難民援助にかかる緊急人道支援など、多岐にわたる支援を実施している。また、技術協力は、途上国の「人づくり」や制度・政策環境の構築に貢献するため、我が国の技術や知見を相手国の技術者等に伝えることを目的として行う専門家派遣や研修員の受入れ等を行うものである。29年度予算においては、「開発協力大綱」(27年2月10日閣議決定)を踏まえつつ、国益に資する開発協力を一層戦略的に実施するために必要な経費として、無償資金協力については1,631億円を措置し、技術協力(独立行政法人国際協力機構)については、1,505億円を措置(28年度はそれぞれ1,629億円、1,492億円)している。なお、予算内容からは少し離れるが、28年11月の財政制度等審議会の建議では、ODAについてPDCAサイクルの徹底やその高度化等に取り組むべきことが提言された。外務省としては、こうした提言を踏まえ、外務省が実施する無償資金協力について、評価結果の公表範囲の拡大や、評価方法の高度化についての検討を進めていくとしている。[国際機関等への拠出*4]国際機関等への拠出については、国連分担金等、条約等に基づく支払い義務があるもの(分担金・義務的拠出金)と、政策的判断に基づき任意に拠出するもの(任意拠出金)から構成される。29年度予算では、分担金・義務的拠出金として1,067億円(28年度1,212億円)、任意拠出金として327億円(28年度284億円)を措置している。分担金・義務的拠出金については、外交交渉により国際機関全体の予算の抑制に努めつつ、円高の影響による減額を見込んで措置している。任意拠出金については、外務省において29年度当初予算の概算要求に際し、当初予算で措置している全ての国際機関について、①当該機関等の専門分野における影響力・貢献、②我が国重要外交課題遂行における当該機関等の有用性(当該機関等の意思決定における我が国のプレゼンスを含む)、③当該機関等の組織・財政マネジメント、④当該機関等における邦人職員の状況、⑤PDCAサイクルの確保を評価基準として、A~Dの4段階評価を実施した。その上で、評価結果に基づいて必要性等を精査の上、政権の重要外交課題も勘案し、メリハリを付けた予算を措置している。(2)外務省予算における重点項目①グローバルな課題への貢献難民対策や感染症対策など積極的平和主義に基づくグローバルな課題への貢献に重点化している。主な施策は以下の通りである。(ⅰ)平和構築・平和維持、難民等支援、中庸・穏健主義への支援紛争国の社会安定化支援、中庸・穏健主義への支援等国際テロ対策といった取組みを通じて国債の平和と安定に貢献するため243億円を措置している。(ⅱ)保健、女性、教育分野での国際協力感染症対策、女性の活躍促進、人材育成に資する国際社会との協力及び開発途上国支援を強化するため519億円を措置している。(ⅲ)国際法の発展・国際裁判対策国際社会における「法の支配」を推進するとともに、国際裁判対策に取り組むため12億円を措置している。(ⅳ)国際機関邦人職員の増強国連関係機関の日本人職員数を増やし、人的貢献を行うとともに日本のプレゼンスを高めるため24億円を措置している。②テロ等を踏まえた在外邦人の安全対策の強化ダッカ襲撃テロ事件等を踏まえ、在外邦人の安全対策強化のための施策を推進するため、以下の施策を措置している。*4 国際機関等への拠出で記載されている予算額は、非ODA予算も含む。6ファイナンス 2017.4特集

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