麻生副総理兼財務大臣兼内閣府特命担当大臣閣議後記者会見の概要(平成25年10月1日(火曜日))
| 【冒頭発言】 | |
| 先ほどの閣議において、税制抜本改革法の規定のとおり、消費税率を来年4月から8%に上げさせていただくということを内閣として確認しております。このことは、日本の社会保障制度を持続可能なものとして、我々の子や孫の世代に引き継いでいくためにも、財政健全化の道筋をしっかりと示して、財政の信認を維持するために、大変意義深いことだと考えております。 一方で消費税率の引上げによる、いわゆる景気の下振れ等々を懸念する国民の声があります。こうした懸念に対応していくためには、新たな経済政策、景気対策等々を12月上旬に決定する、また税制による手当を講じるということを併せて決定しております。これらの取組みを通じて、デフレ不況からの脱却と日本経済の再生に向けて、万全を期してまいりたいと考えております。 今回の判断は、国民の多くの方々に御負担をお願いするものであります。御負担をお願いしておきながら無駄な歳出を行ったり、予算措置の優先順位を誤ったりということがないよう、一層の緊張感をもって、予算編成に取り組んでまいりたいと考えております。あわせて、消費税の円滑かつ適切な転嫁の確保のために、本日施行された転化対策特別措置法等に基づいて、関係大臣と協力しながら実効性のある対策を進めていかねばならぬと考えております。 消費税率引上げの判断に当たり、日本の財政・税制を預かる立場から、改めて、国民の皆様に御理解と御協力をお願い申し上げる次第です。 | |
| 【質疑応答】 | |
| 問) | 消費税率引上げと合わせて、経済対策パッケージが正式に今日示されました。規模や減税の内容についての大臣の評価をお聞かせください。 |
| 答) | アメリカの場合、本日をもって暫定予算が成立せずにシャットダウンしたのでしょう。したがって、公共施設のかなりの部分で、国立スミソニアン博物館をはじめ、いずれも皆閉館、しばらくの間お休みという事態に追い込まれます。前回の時は、たしかアメリカで80万人ぐらいの人の給与が止まった等々のことが起きています。これはアメリカで、今起きている現実だと思います。多数を占めるのが下院は共和党、上院は民主党ということで、上院と下院とで意見が割れているので、こういうことになっているのだと外から見ているとそう見えるのですが、日本の場合は衆議院と参議院とで完全にねじれていた昨年、消費税を上げるという受けの悪い話を民主党が提案し、それに対して野党の自民党、公明党が賛成をして、この法案を通しました。多くの国々で与野党が両院の間でねじれていたり、政府と議会とで割れていたり等々の理由からできない国がある中で、日本の場合は与野党がねじれているにもかかわらず、この法案が通ったということは、日本の民主主義の成熟度合いが他国に比べて優れているのではないでしょうかと、我々はそれぐらいの自負があるということをG20の時にも申し上げました。消費税を来年4月に引き上げることを内閣として確認ができたということは、これは日本が世界に誇る社会保障制度等々を持続的に維持し、財政の信認を確保する観点からは、極めて意義の深かったものだと私自身としては感じております。 |
| 問) | この間の議論で焦点になっていた復興特別法人税の前倒しとして12月中に結論を得るということと、法人税の実効税率引下げは、速やかに検討を開始するという内容で政府・与党で決着されましたが、この点について大臣はどのようにお考えでしょうか。 |
| 答) | あれは書いてあるとおりとしか言いようがないです。読まれたんだと思いますけれども、基本的には復興特別法人税を前倒しするに当たっては、その前倒しした内容が人件費等々に配分されるということを確認するというような条件が幾つかついていますけれども、そういったことが行われるという確信が持てる、また復興財源は25兆円ということになっていますけれども、その25兆円の一部が数千億円マイナスになる、その分の財源の確保等々が今から数カ月の間で詰めていかれることになると思います。そういったことができましたら、復興特別法人税を減税することにしても、復興特別所得税を払っておられる勤労者の方々へ、少なくともその払う分の何がしかは給与によって補てんできる部分もあるだろうと思います。その部分に関して言うことができるのであれば、私共としては、それは1つの方法であると理解していますし、また被災地の方々に関しましても、そういった財源の確保というのが確実なものであればということで御理解をいただきやすいのではないかと思っております。 |
| 問) | 先週金曜日に、みずほ銀行に業務改善命令が出ていますが、約2年以上にわたり、暴力団への融資を放置していたということが問題となっているわけですが、こういったことがメガバンクで起こったことについて大臣のお考えと、再発防止について何かお考えがあればお聞かせください。 |
| 答) | みずほ銀行が、提携ローンにおいて、これは自らが窓口となって反社会的勢力との取引を行っていたわけではありませんが、適切な業務運営・管理というのが行われていなかったのではないか、しかも2年間という長期間にわたって、その融資を放置していたということは、甚だ遺憾なことだと思っています。 |
| 問) | 経済対策の規模ですけれども、5兆円規模という形で記載されていると思います。今回の対策をめぐりまして、復興特別法人税については、まだ検討であり、はっきり決まった状況になっていないと思います。仮にこれが決まった場合、一般会計からの25兆円のフレームを埋めるために穴埋めが必要だと思うのですが、5兆円規模というのは決まって穴埋めが入っても、その5兆円規模というのは変わらないという理解で良いのでしょうか。 |
| 答) | 基本的に変えない方向でやりたいと思っています。 |
| 問) | 先ほど総理の会見でも、消費税については社会保障に使いますという話を総理が改めてされていらっしゃいました。ただし、この問題につきましては、元々お金に色がないと言いますか、消費税収自体が社会保障の必要経費を賄えていないという中では、そもそもどこまで意味がある議論なのかということがあると思います。多くの国民の方からすれば、消費税を引き上げるのとほぼ同じタイミングで、これだけ多くの法人に対する減税が行われるということを行うとなった場合に、お金に色がついていないので、実質的にこれは法人のために消費増税をしたのではないかと思われる国民の方もかなりいらっしゃるのではないかと思います。そこについて、社会保障に充てるという元々の法律の趣旨について、本当に今回そうなっているのか、大臣の御説明を改めて伺えればと思います。 |
| 答) | 年金の2分の1負担というのは意味がわかりますか。幾らでしたか。 |
| 問) | 2兆9,500億円です。 |
| 答) | 半分をきちんと、その額をやるだけでも大した額です。これを今後ともやると法律で決めて、それを今までやってきていないわけですから、それをいわゆる国債で賄ってきているという今までの状態、それだけで約3兆円ということになりますので、今回上げる部分のかなりの部分をそういったもので上げていく、加えて、社会保障費は毎年1兆円ずつ増えていっているという現状というものを考えた場合は、これは数年ですぐ破綻するということになります。今申し上げたように、社会保障の充実というものは、これは極めて大きな問題なのであって、これを今後どうやっていくかということも含めて、社会保障の額をなるべく抑えるということも1点。同時に、社会保障を安全なものにしていくためにきちんとした増税を我々はやりませんと、少なくともアメリカみたいに低福祉・低負担で行うのか、また、北欧のように20何%の高福祉・高負担で行うのか、どちらを選ばれますかと言えば、今は多分、日本の場合は中福祉・中負担位のところで行こうとしているというのが、世論調査の方向だと思っていますので、中福祉を維持するためには中負担をある程度覚悟していただかなくてはいけないということを前提にした場合に、申し上げたような形になるのだと思っています。 |
| 問) | 復興特別法人税の1年前倒しの件で確認を込めて教えていただきたいのですが、前提条件として足元の経済状況でも賃金上昇につながることを前提にとありますけれども、12月ということであれば非常に期間が短いわけで、これは賞与のことを指しているのでしょうか。それとも来年度のベア、そういった諸々を含めて、それを前提条件ということなのでしょうか、大臣のお考えをお聞かせください。 |
| 答) | 日本は、全体主義国家でもなければ軍国主義国家でもありません。自由主義経済体制をとっていますので、企業が給与を幾らに決めるかについて政府が介入する権限はありません。あなたの会社は他社に比べて大変給料が安いようですけど、どうですかなんていうことは言わないのですよ。言わないルールになっているのですから、自由主義経済体制というのはそういうものです。したがって、給料が上がる下がるという額について、どのような方向で経営者が受け止めていただけるかということに関して、我々は介入するようなことはできません。これは、はっきりしておけなければいけないと思いますね。そういった意味で、給与に対しては、所得拡大促進税制の拡充が税制改正に入っていて、今年度に対して何%以上の給与が増えた場合はというのをずっとやらせていただいていますけれども、そういったものを柔軟に使うことを考えていますので、それを有効に利用しようという程に元気になっていれば、賞与であろうと給与であろうと所得は増えます。先ほどお金に色が付いていないという表現をしておられましたけれども、所得というものは、ボーナスであろうと給与であろうと増えてくるのであれば、それはそれなりに所得が増えたというように理解すべきなのであって、ベースアップでなければいけないとか、賞与がだめだとかというようなことを言うつもりはないのだと思っております。 |
| 問) | 企業のトップに、今日、いろいろ話を聞く機会がありまして、その中で今回の復興特別法人税の廃止による8,000億円位の減税に対して、やはりそれが必ずしも賃金アップに回るとは考えにくいといった声が非常に多かったのですけれども、この施策は今後、賃金アップというところが2015年10月の消費増税にもつながっていくと思うのですが、この施策を通してそういった賃金アップが図られるような自信は今のところあるのでしょうか。 |
| 答) | 賃金アップが図られるようなことに関しては、我々としてもいろんな意味で、賃上げをしてほしい、賃上げをしないと消費が伸びない、消費というのは、GDPに占める比率は設備投資は2割位、消費は7割位と思いますから、その消費が増えないというのは非常に大きな要素を占めます。GDPの中でどれが増えているかということに関して、GDP全体が約520兆円ならば520兆円の中の内訳で消費の部分がなるべく大きくということになるのであれば、それは預金、貯金を取り崩すか給料が上がるかしないと、なかなかお金はそこに回ってこないわけです。今はまだ貯金が増えているでしょう。そういった意味では、そんなに消費が増えているとは、なかなか言い難い状況にまだあるのだと思っています。私共としては、給与が上がるということは、やはり気分的には大きなものになりますし、株が上がるというのも消費促進につながりますし、いろんな意味で消費というものは大きな要素をGDPの中で占めますので、今言われたように、そういう経営者もいらっしゃるのだと思いますし、マスコミの質問に答えて、うちは給与をどんどん上げますという経営者がいたら、ぜひお目にかかりたいです。私はいまだかつて、景気の良い時でもあまり会ったことがないのですね。私、そういう時も社長をしたことがありますけど、聞かれて、いや、うちはどんどん上げますなんていうことを言う人はまずいないと思いますよ。ですから、それは聞き方はよほどうまく言わないと、なかなか本音のところをしゃべれるはずもありませんし、今のことに関しては、今の状況がこれから半年間でどれ位になっていくか、正直今の段階で答えられるというわけではありません。ただ、基本的には、賃上げを私共はしてもらいたいという話を、今年の初めの頃から経団連に行っています。事実、私の地元では、それに応えて給料を上げていただいた企業も、全然取り上げてはもらえませんでしたが、間違いなく給料を上げていますよ。それは、円が安くなったおかげで、間違いなくその企業は輸出が増えるようになって、多くの利益を生むようになった分、これまで苦労させた従業員に報いたいということで、給料を上げました。そういった企業もありますから、そういった意味では、あの当時は、ほとんどないとマスコミは言っていましたけど、現実問題はそういった形、よくローソンが出ていましたけど、その他の企業でも調べてみたら結構いろんな、給与が上がったり賞与が上がったりしたところもありましたので、その意味では、私は今の段階なかなかそんな簡単には行きませんよと言っている企業経営者の気持ちは分からないでもありませんけれども、なかなか簡単に、うちは上げますなんていうことを言う人はまずいないものだと思って取材をされた方が良いと思います。 |
| 問) | 消費税を上げることの目的として、日本の財政への信認を確保するということが言われていて、一方で、景気の下支えはしなければいけないけれども、5兆円という大きな額になってしまうことへの不安というのでしょうか、漠然とした言葉なのですが、きちんと財政健全化、2015年の目標などに向けて今これだけ出してしまうことへの財政当局としての不安というのはないのでしょうか。また、財源がまだかちっと決まっていない中で、先に5兆円という支出の方が決まってしまったことについて、どのようにお考えになっていらっしゃいますでしょうか。 |
| 答) | 民間の研究機関等々の調査によれば、3%の消費増税上げを行うことによって、来年の第1四半期、来年の4−6月期で約1.8兆円位のマイナスになりますと言われています。これは民間の調査、41社の総平均です。それが当たるかどうかは分かりませんよ、言っておきますけれども。そういったものの調査によれば、約1.8兆円というのですから、それを埋めるというのでしたら、約1.8兆円の補正予算を組むとか予算を組むとかということをすれば、それで良いのではないかという話をされる方がよくいらっしゃいますけれども、それは今の成長のトレンドの下がった分が元に仮に戻ったとして、そこからトレンドに行くのであれば、その1.8兆の差額というのは、上がっている分だけ差が出ますからね。それをこの元のラインまで戻さなければいかないということになりますと、それはとてもじゃないですけれども1.8兆円で足りるはずはありませんから、少なくとも経済の成長のトレンドをずっと伸びた延長線上に戻していくためには、とてもじゃないですけど、1兆8,000億か何かではとても足りないと、まずそれが第一ですね。 |
| 問) | 法人実効税率の引下げの検討なのですけれども、これは、いつからどのような場で行われるのか、いつ位までに結論というふうにお考えなのか、大臣のお考えをお聞かせください。 |
| 答) | 法人実効税率の引下げについては、これは基本的には党税調ということになるのだと思っています。党税調がいつからこれを検討されるかについては、まだ野田税調会長と話をしたことがありませんので、いつから始められるか等々については伺っておりません。 |
| (以上) | |
