麻生大臣、黒田総裁共同記者会見の概要(平成25年5月11日(土曜日))
| 【冒頭発言】 | |
| 大臣) | 私からは、G7の主な成果について報告をさせていただきます。 昨日の世界経済に関するセッションでは、主に、財政健全化と成長の両立について、活発な議論が行われております。財政余力のある国は足元の景気により配慮すべきであるとの意見や、何よりも財政の健全化が景気回復にとって不可欠であるといった様々な意見が示されましたが、中期的には財政健全化を着実に進めることが重要との認識はしっかりと共有されたということです。 今後、G20では、9月のサンクトペテルブルクでのサミットに向けて、2016年以降の財政健全化目標の設定する議論を本格化することになりますけれども、今般、財政健全化の取り組みについて、G7の間で率直な意見交換ができたことは、今般の会議で大変有意義なところだったと考えております。 また、為替や金融政策に関しては、2月に出されたG7の声明が、極めて有意義であった、非常に成功であったというのが、今回のG7の共通の認識であったと考えております。日銀の金融緩和や円安に対しても、批判的な意見はありませんでした。 金融規制については、大きすぎて潰せない金融機関への問題の対応や店頭デリバティブ市場改革などの国際的な規制改革の整合的な実施についての意見交換が行われております。 日本からは、日本の預金保険制度・破綻処理制度が日本の金融危機の終息に重要な役割を果たしてきたということを紹介して、そうした各国の制度及び現在各国で進行中の制度改革を踏まえて、金融機関の破たん処理に関する国際的な議論を更に進めることが重要であると指摘をしております。 また、多国籍企業による租税回避への対応、また、自動的情報交換に関する国際基準策定の重要性等々について、私から発言を行っております。 この他、本日、会議の合間に、4月末に新たに就任されたイタリアのサッコマンニ経済財政大臣と会談を行い、就任のお祝いを申し上げるとともに、欧州情勢や両国の経済について簡単な意見交換を行わさせていただいております。 |
| 総裁) | 私からは、主として「量的・質的金融緩和」の狙いとその波及メカニズムについて説明しました。 すなわち、「量的・質的金融緩和」は、第1に、長めの金利や資産価格のプレミアムに働き掛ける効果、第2に、民間金融機関に対しリスク資産運用や貸出の増加を促す、いわゆる「ポートフォリオ・リバランス効果」、第3に、市場や経済主体の期待を抜本的に転換させる効果、が期待できると説明しました。 その上で、「量的・質的金融緩和」は、こうした3つの効果を通じて、15年近く続くデフレからの脱却という国内目的の達成に資するものであることを説明しました。 |
| 【質疑応答】 | |
| 問) | 先ほど財政の健全化と景気回復のバランスというのが冒頭ありましたが、前から言われていますけれども各国のスタンスが違うと、ドイツの方はかなり緊縮を重視していたりと言われていますけれども、その辺のスタンスの隔たりみたいな変化というのは、今回どのようにあったとみていますでしょうか。 |
| 大臣) | ドイツが言っているような感じで、皆それぞれ緊縮財政というのでわっと走ったこの数年間に比べて、今の段階で少し経済情勢が緊急事態とか、非常事態というところから少し変わってきたので、景気とか経済を成長させるということをやらないとなかなかという意見が出てきているのは事実だと思いますけれども、それをやるということと本来の健全化を目指すということとは両立し得るものなんだという話で、妙にそれを煽って、これ一点だけで財政を緊縮するとか、財政均衡を最優先して経済成長を無視するとかいうような極端な話にならないようにしておかなければならないという話だったと思います。 |
| 問) | 日本の方では為替を巡る議論が国際会議の場所でどんな感じだったんだろうということが高い関心だと思うのですけれども、1ドル100円というオーダーを突破したこともありまして、全体としてそんなにつめた議論とか、そんなにホットは議論はなかったようですけれども、改めて為替を巡る話し合いのされ方を、どのような雰囲気だったのかということを含めて、あるいは今回の議論のあり方をどのように受け止められたのか、あわせてお願いできますでしょうか。 |
| 大臣) | 為替に関して今回100円突破どうのこうのという意見は一切ありませんでした。それから為替に関してコメントすることはありません。 100円をという話をされましたけれども、これも為替に関する直接の話になりますのでこのことに関して私の方からコメントすることはありません。 |
| 問) | 今回の会議の中で先進国の量的緩和による波及効果に関する議論がもしあったのならば、どういったことだったのか教えてください。 |
| 大臣) | 先進国の金融緩和による波及効果、すなわち発展途上国等々に対しての影響どうだったかという話は、そういうことに配慮してやらなければならないという意見があっただけで、特に取り立ててこの国をといった話はありませんでした。 |
| 問) | たとえば先進国内における資産バブルの懸念とか兆しについての議論というものはあったのでしょうか。 |
| 大臣) | 先進国内の少なくともこの7か国に関してのバブルの話はありませんでした。 |
| 問) | 円安が進んで日本では株高になって結果的に資金が債券から株に移るということが今起こっているような気がします。そうなると、日本では、長期金利の上昇が起こるだろうと思っているのですが、それは金融緩和の効果をある程度削ぐ可能性も出てくると思うのですが、こういう資金の流れが債券売りの加速につながって長期金利が上昇した場合、その悪影響というのが懸念されると思うのですが、今の時点でどうなのでしょうか。特に金曜日、債券売りが相当加速したようなので、そういう懸念が今強まっているのかどうかも含めてお願いします。 |
| 総裁) | 先ほど申し上げた通り、「量的・質的金融緩和」が実体経済に与える影響については、3つのチャネルがあると考えています。そのうち、2番目の「ポートフォリオ・リバランス効果」については、確かに国債から他の資産へあるいは貸出へシフトすることが考えられるわけで、それは既に起こっていると思います。一方、日本銀行は、今後、年間50兆円のペースで国債の保有残高を増やしていくわけで、それだけ国債を市場から買い取っていくということです。私どもは、短期的なボラティリティの高まりという形で価格が乱高下したことに対しては、オペのやり方を若干調整し、ボラティリティも低下してきており、長期金利が跳ねるようなことは予想していません。もちろん、長い目でみて、経済が成長し、特に物価上昇率が2%に向けて徐々に上昇していく中で、名目金利が若干上がっていく可能性はあると思いますが、それは、ある意味で自然なことです。当面は、「量的・質的金融緩和」によって長期金利が跳ねることはないだろうと思っています。 |
| 問) | 黒田総裁は、日本の「量的・質的金融緩和」について説明されたということですが、各国からの反応、あるいは、説明に対する突っ込んだ質問など何かありましたら教えて下さい。 |
| 総裁) | 数週間前、ワシントンでG20あるいはIMFC(国際通貨金融委員会)の会議があり、麻生副総理とともに参加しました。それから、つい先頃、ニューデリーでASEAN+3の財務大臣・中央銀行総裁会議があり、これにも麻生副総理とともに参加し、日本銀行の「量的・質的金融緩和」に関する理解は相当深まってきていると思いました。今回は、G7ということで、より小規模の会議であり、よりインフォーマルで率直な意見交換ができました。会議では、先ほど申し上げたように、「量的・質的金融緩和」の背景、狙い、その波及チャネル、そして今の日本の金融資本市場や経済の反応などについても十分に説明できたと思いますし、理解がさらに深まったと思いました。 |
| 問) | 会議を通しまして日本の成長戦略や構造改革などに対する期待は各国からありましたでしょうか。また、日本の貿易政策等についても言及はありましたでしょうか。 |
| 大臣) | 貿易政策についての言及はありませんでした。構造改革などに関しては、我々としては、少なくとも今日本としては災害、いわゆる津波災害等々によって予定外に補正予算を組んだりしてプライマリーバランスが悪くなっている部分はありますけれども、基本的には財政を出動させることによって長年苦しんでいたデフレ不況からの脱却が主たる目的としてやっています。したがって、これがある程度の段階で当然のこととしてずっと続けられるわけではありませんので、この分については、きちんとした財政再建をするための長期、中期の計画書を年央を目途にきちんと出したいという話をさせていただいております。 |
| (以上) | |
