麻生大臣、黒田総裁共同記者会見の概要(平成25年4月19日(金曜日))
| 【冒頭発言】 | |
| 大臣) | 私からは、合意されたコミュニケの内容に沿って、G20の主な成果について報告をさせていただきます。 まず、コミュニケでは、日本の最近の政策措置は、デフレを止め、内需を支えることを意図したものであるとの認識が確認されております。私からは、これまでも繰り返し、日銀の金融緩和は為替操作を意図したものではなく、長年にわたるデフレ不況からの脱却を目的としたものであるとの主張をしてきておりますので、こうした主張に対し、国際社会からご理解をいただけたものと考えております。 このほかに、金融政策については、コミュニケにおいて、国内の物価や経済の回復の支援に向けられるべきとの2月のモスクワでのG20の合意が改めて確認をされております。日銀による金融緩和は、引き続きこうした合意に沿ったものであるということです。 次に財政については、私から本年の年央を目途に中期財政計画を策定していくことと、昨年の夏の与野党合意に基づいて経済環境を整備し、その上で予定どおり消費税を引き上げる決意があることを説明をしております。コミュニケでは、日本に対し、信頼に足る中期財政計画の策定を求めるとともに、今後、先進国は9月のG20サミットに向け、中期的な財政戦略を策定していく方針が確認をされております。こうした中で、日本としては、既に2010年のG20サミットにおいてコミットしております財政健全化目標を達成するため、しっかりとした中期財政計画を年央を目途に策定することが重要と考えております。 為替に関しては、モスクワでのG20と同様、市場で決定される為替レートや為替の柔軟性の重要性が確認されるとともに、通貨の競争的な切り下げは回避する、競争力のために為替レートを目的とはしないといった考え方が確認されているところで、日本としては、引き続きこうした原則にコミットしてまいりたいと考えております。 |
| 総裁) | 私からは、消費者物価の前年比上昇率2%の「物価安定の目標」を、2年程度の期間を念頭に置いて、できるだけ早期に実現するため、「量的・質的金融緩和」を導入したことを説明しました。 また、この「量的・質的金融緩和」は、あくまで「デフレからの脱却」という国内目的を達成するためのものであることを、合わせて説明しました。 |
| 【質疑応答】 | |
| 問) | ステートメントの中で4番目のところで「Japan’s recent policy actions are intended to stop deflation and support domestic demand」というところがありますが、これは文脈から見ると理解というよりも、どちらかというと日本の施策を歓迎されたというようにも思えるんですけれども、ご所見をお願いします。 |
| 大臣) | そうですね。読み方ですけれども、そのまま、あなたのように素直に読んだらそうだろうね。私はそんなに素直に読むような性格にできていませんので。 |
| 問) | 一つは形式的な話なんですけれども、昨日、日本の発言が何番目だったのかを教えていただきたいのと、もう一つは今の財政の話で、年央という表現でやや幅があるわけですが、例えば参院選の前に示すということはあり得るのか、それとも参院選の後なのかをお聞かせいただければと思います。 |
| 大臣) | 何番目だったかは覚えていませんね。あんまり関心がないので覚えていないですね。 年央の幅の話ですか、6月から8月位までを普通年央と言うんだろうけれども、作業の手間でどうしても何月何日までに間に合わせなければならないという仕事だとは思っていませんから、年央というのはそれが7月21日の参議院の前になるのか後になるのか、全然考えていません。 |
| 問) | 今回の日銀の金融緩和に対しては、日銀のみならず先進国の金融緩和のスピルオーバーについて新興国などから懸念が高まっている中で、とはいうものの、日銀の政策措置について、国内向けであり、為替を目的としたものではないことが、こうした声明にちゃんと盛り込まれて確認されたことに対する意義を改めてお聞きします。それから、そのことが今後の金融政策にどのような影響を与えるか、政策の信認も高まるということもあると思いますので、その点についてお聞きします。 |
| 総裁)
| 先程、大臣もおっしゃったように、こういう点について国際社会の理解が得られたということは、日本銀行としても大変良かったと思っています。「量的・質的金融緩和」は、今後2年間に亘って、2%の物価安定目標の実現に向けて粛々と進めていくわけですが、それに対して国際社会の理解が得られたということは、一層自信を持って、適切に政策を運営していけると評価しています。 |
| 問) | このG20の期間中、他の中央銀行の総裁には、先進国・主要国含めてどういった方にお会いし、例えば先進国からは歓迎の意を表明されたのか、また新興国からはスピルオーバーの懸念について多少議論があったのかを教えて頂きたい。 |
| 総裁) | かなり多くの中央銀行の総裁の方と、バイでの面談もありますし、昨日本日とG20の中で、いわゆる英語で言うcorridor talkのような形で、お話しました。今、ご質問にあったように、今回決めた金融緩和がデフレ脱却のために必要なのだという理解は広く得られたと思います。ただ、ご指摘のように、確かに一部の新興国の方は、スピルオーバー・エフェクトに留意すべきだということは、おっしゃっておられました。そういうことも踏まえて、コミュニケでは、金融政策は「各々のマンデートに従って、国内の物価安定に向けられるとともに、経済の回復を引き続き支援するべきである」ことが確認されるとともに、「長期間の金融緩和から生じる意図せざる負の副作用に留意」する、と書かれています。 |
| 問) | コミュニケで為替相場について、競争的な切り下げを回避するなどの話はあるんですけれども、現状の為替相場についての評価がこの声明にはあまりないんですが、現状の為替水準あるいは相場についての評価というのはどういうふうな総括をされたのでしょうか。 |
| 大臣) | この種の世界で為替が今正しいとか、良いとか悪いとか言うということはない。それがこの世界の共通の理解だと思います。 |
| 問) | 今回初めて総裁としての出席ということで、G20で相手に理解してもらったり、納得させたりするために必要だったのは、英語で流暢に説明することなのか、金融政策の理論に長けていることが大事なのか、それとも誠実さであるとか約束を必ず守りますといった相手に信頼されることが大事なのか、どういう点であるとお感じですか。 |
| 総裁) | 今おっしゃった点はいずれも必要と思いますが、私自身がそれを全て備えているというつもりはありません。ただ、昨日と本日のG20の会議を経験し、各国ともそれぞれが抱えている課題に挑戦しているわけですが、日本の課題に対して、金融政策の面では、先日決定したことを今後着実に実施していくことについて、広く理解を得られたと思いました。 |
| 問) | 中央銀行というのは、あくまで政府から独立した立場であって、財政再建や構造改革という点については、厳しく政府に注文していかなければいけないという立場でもあると思うのですが、G20でそういった姿勢は表明されたのでしょうか。 |
| 総裁) | G20の場は、ご承知のように、各国の財務大臣と中央銀行総裁が出席しており、それぞれ適切なチームワークで行われております。財務大臣は当然ながら財政の問題であるとか、もちろん経済全体の問題、さらには金融規制の問題等々について積極的に発言され、中央銀行総裁は、基本的には、金融政策、それから、いわゆるマクロプルーデンスに関する議論、金融規制に関する問題などについて発言するのが通例です。そういう形で私も発言いたしました。 |
| 問) | フィナンシャルタイムスに消費税率の引き上げにつきまして、かなり明確に引き上げるということを投稿されて、そういうふうに読めたんですけれども、その意図はいかがでしょうか。これまでよりもやはりその思いを今回強くされているということでしょうか。 |
| 大臣) | あなたが強いと感じたような英語だったんだろうね。私が消費税に関してのことを投稿したことを前に読んだことないはずだから。あれが初めての記事だから比べようがないと思いますので、あなたの個人的な感情としてはわかる。まずそれを最初に言っておかないと何回も投稿していると間違えられると、それは記事の書き方として間違えることになるからね。正確にしておかないと。あらかじめお断りしておきますよ。 我々としては基本的に附則第18条というものを基本としておりますので、今回の財政で言えば少なくとも補正予算等々で少なくとも底割れを防ぐということには成功したとは思っていますけれども。それ以後、この4−6でどういった経済指標が出てくるかということは確実に言えることではありませんね。1月、2月が良かったわりには3月が今一つ伸びが少し低かったんじゃないかなという、数字はまだ出ていませんけれども、そういう感じがしますから。そういった意味では4−6でどういった数字が出てくるかわかりませんから、そういったものが予算が4月16日に通りましたから、5月15日かそこら辺りくらいには参議院で予算が通るとの見込みもあるとのことですから、そういったものがどういった形で景気、経済に反映してくるか、消費にどう結びつくかっていうのは、まだ見えないところがありますけれども、少なくとも日銀と共同声明まで出して方向をきちんとしていますので、その方向に沿って我々としては景気が伸びてくる、需要が伸びてくるということができれば我々としては消費税というものを値上げということをやらせていただければという希望はありますけれども、我々としては従来と基本的に置いているスタンスは今までと変わるところはありません。 |
| 問) | 声明では「長期間の金融緩和から生じる意図せざる負の副作用に留意」とあります。これは基本的に日銀の今度の緩和が長期的に及ぶという懸念を前提しているのか。また、具体的にどういった副作用を念頭に置いてこういう議論があったのか、について教えてください。 |
| 総裁) | まず第一に、日銀の今回の金融政策を念頭に置いた議論ではありませんでした。むしろ、主要先進国は皆いわば量的緩和あるいは大幅な金融緩和を続けているわけですが、そういったことが長期に亘って続くと、何らかの副作用のようなものが出てこないだろうか、という話が出たということです。具体的に副作用の中身について詳しく議論したということはありませんでした。むしろ、長く続くけれども主要先進国は大幅な量的金融緩和から、経済が回復する、あるいは日本の場合は物価安定目標が達成されるということになると、いずれ出口に行くことになります。そうすると、その時に新興国に対して影響があるということを言っておられる方がいました。日銀について何か言ったということではまったくありませんでしたし、今の問題というよりも、将来の問題を言っておられたように思いました。 |
| 問) | TPPについてですが、国内で反対をしている人がいますが、どういうふうに説得するつもりでしょうか。そしてアメリカのメーカーの中では円が弱いということから不公平な競争優位を日本が享受しているということを言っているメーカーがあります。特に自動車メーカーなどがそうですが、それに対してはどういうふうにお答えになりますでしょうか。 |
| 大臣) | 日本の国内に関しては、これは前から農産物に限らずいろいろなご意見があるというのは、我々知らないわけではありません。しかし、今の世界の中にあって、こういったグローバルな経済の中に我々も位置しているんであって、その中で我々の国益を考えていった場合、ここはTPPと言われるひとつの経済圏というものの中に入って、我々は世界第一位の経済大国アメリカとの経済圏というものを維持して、少なくとも価値観とか、市場経済とか、また民主主義とか、自由主義経済とか、そういった価値観を共有している国々と一緒にやっていくのが日本の国益につながるということをまず言うと同時に、いろいろな意味で競争という条件が極めて不利だということに関しては、そういった特殊な産業があることは事実ですから、そういった産業が国際競争力という面において甚だしく不利になるということに関しては、我々は然るべき援助をするなり、いろいろなやり方があるんだと思っていますので、私どもとしてはTPPという競争原理の中にあって日本の特定産業が生き延びていかれるように、いろいろ方策を考えていかなければならないと思っております。アメリカの自動車産業が日本の円が不当に安いというのは、それは何か間違っておられるのか、物を知らないのかどちらかで、少なくともリーマン・ブラザーズというアメリカの失敗から我々はえらく影響を受けましたけれども、あの時、リーマンの前の日本にとって対ドル交換レートは108円だったと記憶をしております。その108円だった日本の円は、その後最悪75円まで跳ね上がることになりましたけれども、我々はあの時、貿易収支が黒字でした。しかしこの1年少々を見れば明らかに日本の貿易収支は真っ赤な赤字で、そういった状況を考える時に日本の円が不当に安いというのはどの数字をもって言われるのか我々には理解できない、そう思っています。 |
| (以上) | |
