城島財務大臣、キム世界銀行総裁共同記者会見の概要(平成24年10月10日(水曜日))
| ※ 防災と開発に関する仙台会合後に行われた城島大臣とキム総裁による共同記者会見の概要(同時通訳(仮訳))は以下のとおり。
| |
| 【冒頭発言】 | |
| 大臣) | この度、2日間に渡った仙台会合が成功裏に終了しました。スピーカーやパネリストの方々、共同研究にご貢献いただいた方々、ご出席頂いた各国・各機関の代表者の方々、会議の設営や警備などへのご支援をいただいた関係各位、そして共催者であるキム総裁を始めとする世銀の皆様方に心から感謝申し上げたいというふうに思います。 2日間にわたる仙台会合の議論を踏まえて、本会合の成果といたしましして、キム世銀総裁との共同文書「仙台ステートメント」を発表することといたしました。全文はお手元に配布した通りでありますが、私とキム総裁をはじめとする本会合参加者の共通の思いとして、特に以下の点に言及いたしました。 大規模自然災害は、一度発生すれば、長期にわたる開発努力の成果を一瞬で損なう。災害がもたらすリスクを理解した上で、防災の総合的な対策をとる必要がある。途上国政府や開発援助機関に対して、開発のあらゆる側面において、防災の観点を取り込む、すなわち「主流化する」ことを求める。本会合で行われた議論を、13日に開催される開発委員会で更に深め、防災に関する途上国への支援を強化する。 総括セッションに先立ち、震災から約1年半経過した被災地の現状をご覧頂くため、キム世銀総裁、ラガルドIMF専務理事を始め、今回の会合でスピーカーを務めていただいた方々と、仙台市沿岸部の被災地を訪れました。視察では小学校などの公共施設が震災で果たした役割、リサイクルも含めたがれき処理を見ていただきました。 総括セッションの冒頭では、私から我が国の震災からの教訓を紹介するとともに、途上国の開発を進めるにあたって、防災のための取組を強化することが重要であると申し上げました。その後、東日本大震災の悲惨さ、そして力強く復興していく様子をご紹介する映像を参加者にご覧頂きました。この映像は、東京の会場でも放映する予定であります。今後も、より災害に強い社会を構築するため、世銀と協力して、我が国の防災に関する知見、技術や人材を使って国際社会に貢献して参りたいと思います。 |
| 総裁) | まず冒頭にあたりまして、城島大臣に心から御礼申し上げます。今回の仙台会合、そして年次総会を開催していただいてありがとうございます。今回、私は、荒浜小学校を含めまして被災地を視察させていただきました。もう本当にいろいろ胸を打たれたんですけれども、今回の災害の後、もちろん多くの苦しみがもたらされたわけですけれども、日本政府はそれにもめげず、やはり一番重要なことは今回の会合を開くことだということ認めてくださいまして、まずは仙台で会合を開こうと、そして東日本大震災の教訓を分かち合おうとおっしゃってくださったのです。特に貧困国とともにということで。日本のご寛大な精神です。そして本当にすばらしい偉大な国である証拠であると思うのです。震災にもめげずということで本日このようなすばらしい会合を仙台で開催していただいてありがとうございました。 荒浜小学校に伺い、本当に様々なことを学びました。日本の方はずっと従前から備えがあったということだと思いました。学校は今でも建っているわけです。ちゃんと耐震設計で建てられているというお話でした。皆が教訓を更に学んだわけです。そして重要なことは、脆弱性を減じることができるということです、やろうと思えば減らせるということなんです、災害に対して。パネルでも話しが出ましたけれども重要なことは、文化として防災観念を植え付けるということです。事前に対応を打った方が事後に対応を打つよりもすっとコスト節約になるということなんです。だからこそ事前への備えの投資が必要であるということがしみじみわかりました。ぜひこれを世界と共有したいというふうに思っております。 世銀のカントリー・パートナーシップ・プログラムの3分の2はもうすでに防災の概念を主流化するようになってきております。これを100%にまで広めたいと思っております。 冒頭の辞でございますが、日本の国民の方に心より御礼申し上げます。と申しますのは、この3.11が起こって数ヶ月経ったときに年次総会を東京で開催するとおっしゃってくださいました。本当に日本の方々に心より御礼申し上げたいと思います。世銀とパートナーであるIMFとともに皆様方に深く心より御礼申し上げます。特に皆様方には強いコミットメントを示してくださって、震災の教訓を分かち合ってくださるということを嬉しく思っております。 |
| 【質疑応答】 | |
| 問) | 大臣に全体的な会議についてお聞きします。今週一連の会議を主催しておられて、非常に協力・協調ということが各国間で非常に重要な問題となっています。今週出ている問題としては中国と日本との島を巡る紛争、今回中国の閣僚で来なかった閣僚もいるわけですけれども、その意味合い、そのイベントへの影響について伺いたいと思います。 また、キム総裁にも、これについての見解があれば伺いたいと思います。世銀が世界をまとめるために何をするかということについてコメントいただきたいと思います。 |
| 大臣) | ご質問にありましたように中国から謝旭人財政相と周小川人民銀行総裁がこのIMF・世銀の総会を欠席するという連絡はいただきました。東京総会は大変重要な国際会議でもありまして、当局の代表者が参加されないというのは大変残念に思っております。しかし代表団は参加いただいております。いずれにしても日中間の経済的な交流というのは極めて重要だと私は思っておりますので、我が国は大局的な観点から中国との意思疎通はきちっと行っていきたいというふうに思っております。 |
| 総裁) | 私もちょっと加えてよろしいでしょうか。アジア系アメリカ人として、アメリカ育ちだが、私は本当に尊敬の念を持って、日本の経済的な台頭、中韓の台頭を目の当たりにし、誇りに思っておりました。こういった国々がそれぞれ障害を乗り越えておられる、そして経済的成長をこんなにも果たしておられるということを見まして、学べば学ぶほど、そして経済が統合されているということが分かれば分かるほど。更にこの地域の国々は違いより共通性が多いんだということが身にしみて分かっているんです。違いよりも共通性が多いわけです。域内の国々は必ず方途を見出して協力を増やすことができるであろうと思っています。というのは明らかに域内の国々の利害を考えれば、協力するしかないということでありますし、未来に向かって進むべきだと思っています。 |
| 問) | ひとつトピックとして昨日の防災に関するセミナーで、ガバナンス、透明性の問題について、復興、防災の取り扱いにおけるそれがテーマになりました。日本の復興予算がどういうふうに扱われたかということに関する質問が出ました。中央政府と地方政府との間での協調の問題があったというふうにも伺っています。その中で、城島大臣に伺いたいのはこの中央政府と地方政府との協調の問題をどのようにお考えかについて伺いたいと思っています。 |
| 大臣) | 今回の復興については、特に中央政府においては集中的な復興期間を5年としましてですね、約19兆円をそこに投入するというのが大筋の方向であります。ただ、その時に今回の震災についての教訓として、この被災地だけではなくて国内全体として防災も必要ではないかということで、被災地以外の全国規模の防災対応ということも一部この予算の中に入っておりました。そういうことからして、本当にこの対応が、この予算が、というか具体的なテーマが復興に合致するのかというような疑問とか提起っていうものがいくつかあったことも事実ですが、ここについては先日、復興担当大臣も述べたように、私もそう思いますが、全体的な、すなわち被災地以外のところの防災対応というのは一定の段階が過ぎたのだと思いますので、これからは特に被災地を中心に、被災地にかなり絞った中での復興というところに予算のあるいは予算の執行というものの重点を置いていく段階ではないかというふうに思っております。そのためにも、きちっと地方の、特に被災地の現場の首長を含めてみなさんとの意思疎通を更にきちんと図っていくということが同時に大事だという認識であります。 |
| 問) | キム総裁に3点お伺いしたいと思います。今日実際に被災地を訪れてみて感じたことを改めてお伺いしたいと思います。もう一点は訪れた際に荒浜小学校の校長先生に実際どのような質問をされたかということをお伺いしたいと思います。もう一つは世銀の総裁として被災地支援に今後どのように関わっていかれるのか、お伺いできればと思います。 |
| 総裁) | 今回、被災地の視察をさせていただき強い印象を持ったわけであります。いろいろと写真も見せていただきました。ビデオも拝見しました。本当にたくさんの人が住んでいたところが真っ平らになってしまったということであります。また、荒浜小学校の屋上に子どもたちが逃げたということ、その姿を見て本当に心を打たれたわけであります。骨組みが残っているということなんですけれども、もう一回学校を建て直すんですかと校長先生に伺いましたんですけれども、まだそこのところは決まっていないということでした。私は医師であります、心のケアのことを聞いたんです。こんなにひどい災害が起こったということで、結果として大きな影響がお子さんの心に出てしまうのではないかとお聞きしたんです。そうしたら校長先生は、やはり子どもたちが希望を失ってしまった、未来について希望が持てなくなったと仰っていました。津波はもう二度とたくさんだと。何で学校に行かなくちゃいけないのか、未来に何があるのか、未来に何を期待したらいいか分からないというふうに仰っていました。ということで、まずは子どもたちに希望を取り戻したいということを校長先生が仰っていました。とても私の胸を打ったわけです。私も最貧国を対象として仕事を20年強くらいさせていただいてきました。ですからその意味がよく分かります。希望がないということは、子供の目を見れば分かるんです。だから、学校に送って、未来に希望を持ってもらわないといけないんです。最も先進的な国の中でも同じようなことが起こっているということは、それだけ災害の影響が大きかったということであります。世銀としても様々な形で今後も関与していきたいと思っております。防災に力を貸したいと思っています。重要なことは、防災についても行います。重要なのは、予防です。つまり、あらかじめプロジェクトや街づくりを組んでいて、できるだけ被災に遭いそうなところから離れてつくるとか。大統領宮殿とか、ハイチでも地震が起こりまして、大きな打撃を受けたんです。ですから、予防措置が重要です。100%達成するのはなかなか難しいかも知れません。日本のように立派にやることはできないかも知れません。ということで、他にもメカニズムがあるんじゃないかということで、資金を付けるといった点もあると思いますし、震災が起こってから事後的に資金を付けるということもあるかと思います。本日、小学校を訪れたことを一生忘れません。本当に校長先生の話を伺って、絶対に忘れることはないというふうに思ったんです。これがインスピレーションのもとになるんです。世銀も含めて、これを機会としてもっと自分を奮い立たせて、効果的な作業を世界中で行っていきたいと思っています。 |
| 問) | 城島大臣に一つと、キム総裁に一つお伺いしたいんですけれども、まず城島大臣、今日発表された「仙台ステートメント」の7番目で日本のノウハウを活用して財政的な支援を強化する、あるいはインターネットを使って知見を共有するといったことが書いてあるんですが、これは具体的な施策をお考えになっているんでしょうか。 キム総裁には、昨日からの議論で繰り返し現れたテーマで、短期的な経済成長や開発のニーズと長期的な防災をどうやって整合させるかという問題があります。これに対してどのようなお考えをお持ちでしょうか。 |
| 大臣) | まさにこういった点が日本の今回の震災からいろんな面で教訓もありますから、そういったことも含めて、世界で共有していくことがきわめて大事だと思っておりますので、ここについては人材やノウハウも含めて、世銀とともに力いっぱいやっていきたいと思っていますが、具体的な計画というのは、まさにこれから我々のところをまとめながら、積極的に協議をして進めていきたいと思っております。 |
| 総裁) | いろいろ我々として努力はしているんです。短期的、長期的なものに折り合いをつけるために、いくつか例を挙げたいと思います。最近では食糧価格が懸念の種になっていますが、これに世銀はいろんな形で対応しています。しかし、その中で最たるものは世銀として、食料不足に対応するということで、防止したいと思っているんです。確実に家族、特に貧困国の家族が選択を強いられることがないようにしたいんです。子供に食糧を与えるか、学校に行かせないかといった選択肢は突き付けたくないと思っているわけです。これは短期的もので、大きいものは農業の持続可能性という話です。だから、中長期的な戦略をつくるということで、食料安全保障を確保するということも必要ですし、いろいろあります。教育制度、ヘルスシステムに投資をするということ。これは直接の人々のニーズを満たすものであるし、長期的なテーマも持ったものであります。つまり、土台をつくって経済成長を可能にしようという構想ですから、息の長いものです。世銀はそのためにあるわけです。そして短期的な危機にも手を差し伸べるが、我々がやることはすべて同時に長期的な視野も持っているんです。つまり、経済成長に向けての土台づくりというのが重要なわけです。特に、雇用を生み出すという観点から、民間部門というのは必要です。2013年の世界開発報告書でも言及されていますが、雇用、仕事の90%は民間部門から生み出されているということですので、中小企業にも手を差し伸べなくてはいけません、ちゃんと成長できるように仕事をもたらしてくれるようにしないといけないんです。そして長期的には経済成長も、安定も自分の手元に残るということになるわけです。 |
| (以上) | |
