安住財務大臣記者会見の概要(平成24年8月10日(金曜日))
| 【冒頭発言】 | |
| 本日、消費税が通りましたので、国民の皆さんに私から談話を申し述べさせていただきます。 今般、社会保障・税一体改革関連法案につきまして、本日、参議院において採決が行われ、賛成多数により可決・成立をいたしました。 この一体改革関連法案は、今国会最重要の法案として、5月8日に衆議院で審議が始まり、衆議院と参議院を合わせれば200時間を超える審議の末、成立に至りました。この審議時間は、昭和35年の日米安全保障条約の審議に次いで歴代2位の長さとなるものであり、与党、野党からの充実した審議が積み重ねられ、本日の採決・成立を迎えたものであります。 社会保障制度や税制、特に消費税の議論は、これまでも与野党が様々な場面で論戦を交えてきた事柄であり、国民の皆様からのご意見も反映して、今国会でも活発なご議論がなされましたが、今回、衆議院、参議院共に圧倒的多数の国会議員の賛成により法案が成立したことは、歴史的な意義があることと考えております。 これは、急速に進む少子高齢化や我が国の厳しい財政状況の中で、社会保障のための安定財源の確保が極めて重要な課題であるとの認識が広く共有されたからこそ成し得たものであり、この法案に関わったすべての国会議員、各界各層の皆様に感謝を申し上げます。 今回成立した法案においては、現在5%の消費税率を、再来年の2014年4月には8%に、2015年10月には10%に引き上げることとしております。世界に誇るべき我が国の社会保障制度を持続可能なものにしていくためには、社会保障給付費が今後大幅に増え続けていく見通しの中で、安定的な財源をしっかりと確保する必要があり、このために消費税を社会保障目的税としています。国民にご負担をお願いし、ご理解を求めていくためにも、お預かりした消費税が国民の皆様に年金、医療、介護、更には少子化対策の形でそのまま還元をされ、その他の経費には使われないことを、透明性を持ちながらしっかりと確保してまいりたいと思います。 また、消費税率の引き上げに際し、我が国の経済がどのような状況にあるかという点についても、国会審議の中で多数のご意見をいただきました。消費税率の引き上げには経済状況の好転が不可欠であります。今後、デフレ脱却や経済活性化に向けて、「日本再生戦略」の実行などに全力で取り組んでまいります。 消費税率の引き上げに伴う所得の低い方々への配慮の問題につきましては、給付付き税額控除や複数税率、簡素な給付措置について国会審議や3党合意に至る協議の中で議論を深めていただいており、8%、10%の引き上げ時期を見据えながら、今後具体的な制度設計に取り組んでまいります。 また、中小事業者における転嫁対策や、住宅需要への対応などについても効果のある対策を講じてまいります。 更に、消費税だけでなく税制全体のバランスを考える観点から、所得税や資産課税についても様々な議論が行われました。それらを踏まえながら、今年末の税制改正に向けて、格差是正や垂直的公平の確保に向けて具体的な検討を行ってまいります。 我が国の財政は、ストックで見ると、平成24年度末には国・地方の長期債務残高対GDP比が196%に達する見通しであり、フローで見ても歳出の半分を国債に依存しております。もはや財政再建は待ったなしであります。今回の一体改革は、社会保障の安定財源の確保に加え、財政健全化の第一歩を踏み出すものであり、政府は今後も我が国の財政の健全化を目指してまいります。 本日、法案は成立をいたしましたが、このように消費税率の引上げに向けて様々な課題が残っております。今後、これらの課題に全力で取り組んでまいる決意であります。 最後に、長時間にわたる審議の上、法案を可決いただいた立法府に対し、改めて感謝申し上げると共に、今後とも国民の皆様のご理解、ご協力をお願い申し上げ、法案成立に対しての御礼と私の決意とさせていただきます。 以上でございます。 | |
| 【質疑応答】 | |
| 問) | まず法案成立の過程で民主党から離党者が続出したことについてお尋ねします。離党者から2009年のマニフェストに書いてない約束違反を強行したためという声が多かったですが、大臣の受止めをお聞かせください。 |
| 答) | 離党者を出したことは残念なことだと思います。マニフェストに消費税を上げるという記載がなかったということも事実でありますが、この間、この事情については総理も再三、その理由は委員会等で申し上げてきた次第であります。 私は、目下の財政状況や社会保障の増え続ける給付費に対応するには、やはりどこかの時点でこの消費税のお願いというのは国民の皆さんにしなければならないということは、政治家であれば、いや政治家に限らずというか、私は日本国民に限らず、日本を見ている世界の人も、多分そこは避けて通れないだろうということは認識が一致していると思います。 そうした点から言えば、総理は大変、ねじれ状況という厳しい状況の中で、この法案の成立に向けて、昨年、野田内閣が船出をいたしました。本当に山また山、谷また谷、本当に苦しい日々でありましたが、しかし、結果的には自民党、公明党の協力を得て、議会で7割を多分超えるであろう方々の賛成をいただいて、社会保障の法案とこの消費税の法案が成立をしたということは、先程も申し上げましたけども、私は歴史的であり、画期的なことだったと思います。今後、そうはいっても、皆さんの世論調査を見ても、消費税に対する慎重論というのは国民の皆さんに大変多うございますので、率直に課題というものを私も認識をし、国民の皆さんが持たれておられるその懸念や心配を1つずつ払拭をしていく努力というものを、早急に、明日からやっていかなければならないと思っております。 先程も申し上げましたけれども、お預かりした消費税はおばあちゃんの年金に行きます。お預かりした消費税はお父さんの薬代に行きます。お預かりした消費税は最寄りの市町村の、お住まいである市町村の保育所の建設等に行きます。そうしたことをしっかりと国民の皆さんに分かっていただく、理解していただく中で、我が国の、併せて、厳しい財政状況も理解していただきながら、この税を国民の皆さんに私は浸透をしていかなければならないと思っております。 |
| 問) | 参院の審議では、特に附則18条2項についての議論が集中しました。財政再建に回すべきお金が公共事業に流れてしまう可能性について多くの質疑がありましたが、改めて大臣のご見解をお願いします。 |
| 答) | この社会保障目的税となっている消費税のお金は、びた一文他には使いません。もちろん地方のことはありますけども、まさに公共事業のばらまきにこれを使うなんていうことは、絶対にしませんし、させません。お預かりしたものは、先程申し上げたように、年金、医療、介護、そして少子化対策に充てさせていただきます。もちろん、命を守る防災、減災事業の重要性というものを我々は否定するものではありません。十分理解をしております。それらについては、様々なやり繰りの中で財政再建と社会保障の充実というものを、その道をそれない中でプライオリティというものを、例えば国交省の事業の中で定めていくということについては、私共としては、それは理解をいたしますので、そうしたいわば限られた資源の中で効率的に予算配分をすることで、そうした国民の命を守る事業というものは進めていきたいと思っています。 2項について様々な議論があったことは、逆に言えば、国民の皆さんに非常に私は議論が見えて良かったと思います。消費税というものの位置付けのありようというものを逆に分かっていただいたということでは、私は良かったと思いますし、あの2項に書かれているものすべてを私は全く否定するものではありません。重要性というものを十分理解をしながら、できる範囲の中でやっていくと同時に、財政再建と矛盾をするというものがもしあるとすれば、財政再建を優先はさせていただきます。しかし、一方で、あそこには資金と書いてありますので、民間資金等を活用した新たな事業というものも考える余地というものはありますので、できるだけそうしたものを活かしながらやっていければいいと思っています。 |
| 問) | 財政再建について、今回消費税を10%に上げても、2020年のプライマリーバランスに関する目標には届きません。数字上6〜7%の引上げが必要だという試算を内閣府が出しておりますけれども、再増税の可能性についてお尋ねします。 |
| 答) | これからまずやるべきことは、8%、10%に引上げをさせていただいて、これが2015年の10月に10%になるわけですから、これを国民の皆さんの間に共通の認識として理解をいただいて、そして、順調にこの10%の消費税が社会に定着することを目指さなければならないと思っております。ご指摘のように、2020年のプライマリーバランスを目指すとすれば、まだ△3%強足りないところがあることは事実であります。 しかし、これについては、今後経済成長による税収を増やしていくこと、歳出の削減を徹底的にやること、そうしたことを踏まえながら、さらにどういうご負担を国民の皆様にお願いをしなければならないのかということは、先程談話でも申し述べましたが、税制全体のバランスの中でやはり考えていかなければならないと思っております。しかし、今私共としては、2013年、2014年、2015年という、このいわば景気の波も来るでしょうから、ここをスムーズに10%にして、日本経済や国民の皆様の暮らしに支障がないようにしていくために、全力を尽くしていきたいと思っております。 |
| 問) | 冒頭にもあった点ですけれども、確かに大臣おっしゃるとおり、増税法案が通るのは18年ぶりのことで、まさに歴史的だとは思うんですが、2009年に民主党に政権を託した多くの有権者からすると、やはり総選挙の期間中に4年間は上げないということを言っていた民主党が、今回増税に踏み切るというのは、やはり嘘をついていたのでないかという政治不信、また批判は免れないと思うんですけれども、そういった声にどう答えていくんでしょうか。確かに、状況が変わったという説明が色々ありましたけれども、2009年の総選挙の際には、既にリーマン・ショックから1年たっていて、こうした状況は見えていた部分もあって、それ程外部環境は変わってもいなかったわけで、そういった中で民主党の主張が変わったわけですけれども、これは、政権を取る前に思っていた認識は甘かったということなんでしょうか。その2点、お聞かせください。 |
| 答) | 消費税の引上げは、4年間の任期ではないことは事実でありますから、そういう点では、その間に審判を受けるということなので、私はその審判に耐え得る、やはり民主党として説明を国民にしないといけないと思います。急に焦点に上がってきたという印象を持っておられる国民の方もおられると思いますから、そういう点ではやっぱり財政状況や社会保障のありよう、そして現状、こうしたことについてこれから丁寧な説明というものを我々自身がやっていかなければならないと思っております。私としては、これから来年この消費税を引き上げる決断をその時の内閣はするわけですね。それは多分、まず最初に、実務的に言うと半年位前が1つヤマがくるのかなと思います。理論的に考えれば、その間に国政選挙は二度あるわけですよね。衆議院と参議院は任期が来ますから、そういう中でやはり審判をしっかり受けて、なおかつ次に、この法律に賛成したことについて理解をしていただくということをしっかり受ければ、選挙と選挙の間に、私は騙したということにはならないと思いますので、しっかりとそこは説明をしていかなければならないと思っています。国民の皆さんと真剣に向かい合って、この消費税の必要性を責任政党として、本当に町から町へ、都会でも田舎でも真剣に訴えるのは、これから我々の仕事だと思っております。 |
| 問) | その政権を取る前に思っていた認識が甘かったかどうか、選挙前にですね、という2点目については。 |
| 答) | 岡田代表の時に私も執行部の役員でしたけれど、消費税の引上げを訴えているんですね。ただ、2009年にこれをクローズアップしていなかったということに関しては、やはりそういう点では反省しないといけない点はあると思います。ただ、全体に2009年の総選挙というのは政権交代中心でしたから、この消費税の問題に各党がクローズアップをして戦ったわけではなかったことは事実なので。ただ、昨年ですか、参議院選挙では、これが1つ焦点になって、我々はそういう意味では、その参議院選挙には勝てませんでしたから。そういう反省の上に立って、やはり次にしっかり審判を受ける時は、これらの法案の成立に信任をいただけるように頑張っていかなければならないと思っております。 |
| 問) | 別の話で大変恐縮なんですが、今日、竹島に韓国の李明博大統領が上陸しました。この行動に対するご見解、ご感想と、他方、日韓両政府の間で毎年日韓財務対話を行っていると思います。今年はソウルで行う順番だと思いますが、この扱いについてどのようにお考えでしょうか。 |
| 答) | 所管でないので詳しくは申し上げませんが、極めて遺憾なことだと思います。事情がちょっと委員会中で分かりませんでしたので、それは外務大臣なりに確認をしてください。 日韓財務対話については、今後官邸、それから外交、防衛関係含めて、内閣として相談をさせていただいて、しかるべき対応をしたいと思います。 |
| 問) | 今の段階で大臣としてはどのようにお考えですか。 |
| 答) | しかるべき対応は検討いたします。 |
| 問) | 概算要求の関係で1点教えてください。朝、閣議後会見で、今後のスケジュールについて、総理らと相談するというお話だったと思うんです。一度官邸に入られて、総理と会ったと思うんですけれども、その際概算要求のスケジュール感については、お話されたんでしょうか。 |
| 答) | いや、今日、総理にお会いしたのは、この法案成立の後の挨拶回りとか、私の発表する談話のことでございまして、特段その日程の話はしておりません。朝の段階から変わっていませんので、いずれ、今日これで成立をして。8月10日ですから予定よりは1週間程遅れていることは事実であります。これでお盆が入りますので、前原政調会長とも相談させていただいて、段取りというものは来週早々にも固めたいと思っています。 |
| 問) | 消費税収の使い途ですけれども、18条2項のところですね、先程もちょっとありましたが、18条2項に絡んで、その消費税収そのものを何に使うかではなくて、国会でも議論があった、余裕分を何に使うかという点で、岡田副総理は、13.5兆のうちの7兆円というところですけれども、基本は借金減らしに使うべきだとおっしゃっています。安住大臣はこの間国会答弁でも、財政規律は守ると。その一方で資金は重点配分すると。先程もこの会見の中で、2項は全く否定するものではないということもおっしゃっていましたけれども、岡田副総理のように、余裕分について基本は借金減らしに使うべきだということはおっしゃるおつもりはないんでしょうか。 |
| 答) | 基本的には、それは正しいと思います。副総理の言うことを私は否定しておりません。ただ、問題は、機動的対応が可能となるようにしなければならないというプロセスが問題なんであって、それが今の現時点では機動的対応が可能となる状況ではないということは私申し上げておりますから、そういう意味じゃ財政再建の道からはみ出すわけにはいかないということです。成長して、例えばプライマリーバランスを早い段階で本当に好転できるような状況にすれば、多少機動的対応というものはできるかもしれませんけれども、しかし、その枠をはみ出すということはないということは私、申し上げておりますから、そういう意味では、財政再建路線について岡田副総理と私の間に齟齬があるとは思ってないんです。必要な公共事業で、本当に緊急性のあるものですね、これは今でもやっておりますけれども、所管官庁等でプライオリティを高めてもらうということですね、まず。それから、どうしても必要な時には様々な資金の工夫はあってもいいとは思います。民間資金の活用とかですね。それからPFIとか、これからはそういう点での柔軟性を持って対応すれば、財政再建の道とは、私は矛盾はしないというふうに確信しています。 |
| 問) | 本来これだけの重要法案、通常の法案であっても国会審議が終われば、当然みんなで祝ったりというような話があると思うんですが、前回の衆院可決の際も、おそらく大臣の指示だと思うのですが、控えるという話だったと記憶しております。今回の全体の可決に当たってどのように対応すべきだと考えてらっしゃいますでしょうか。 |
| 答) | 心の中で、じわっと祝ってくれと。仲間うちで、それは本当に休みなくやってくれたから、多少、野暮なことは言いません。笑うなとか飲むなとかは言いませんけども、やはり明日から制度設計の具体的なことをきちっとやる責任がありますから、お預かりしたものを本当に、私は他のものに使ったら国民の信頼は一気に失いますので、言ったことをどれだけ守れるかが次の財務省の大きな仕事ですよ。そういう点から言ったら、古い言葉ですけど、「月・月・火・水・木・金・金」だと私はみんなに言いたいと思います。 |
| 問) | 各国もやはり財政再建、苦しんでいる中で、増税だけではなくて歳出削減というのもかなり切り込んでいると思うんですね。その点、まだまだ日本は、特に毎年1兆円以上伸びる社会保障、ここへの切り込みというものが焦点になっていると思いますし、次の予算編成もそれがかなり大きな試金石になってくるのではないかと思うんですけれども、大臣として今年度、特に社会保障への切り込みについてどう考えているのか。それから、概算について来週にも閣議決定ということですが、具体的に例えば生活保護費の削減ですとか、そういったところ、具体的に何か踏み込むお考えはあるのか、お聞かせください。 |
| 答) | OECDやIMFの指摘を読んでいただくと分かりますけれども、社会保障以外の日本の予算の切り詰め方は、もう限界であるというようなことも指摘をされています。ですから、それは認識の違いもあるかもしれないけども、相当そういう意味では切込みはやっているつもりです。公共事業も含めて、自民党政権から変わった段階だって相当なことはやりましたから。ただ、そこは今、社会保障はどうかというと、これはおっしゃるとおり、それらの政策的経費と違って増え続けているところに明確な歯止めがかかっていないということは事実です。ただ、全体に、団塊の世代の皆さんがこれから年金を受給する側になりますと、この3、4年で多分650万人位の方が自動的に年金受給者になれば、自然とこれはどうやったって義務的経費としてかかってくるんですね。そうしたものを抑えるのはなかなか今大変だと思うんですね。 ただし、一方で、今回の国会では大変議論か深まったのは生活保護の問題だったと思います。これについては、実は予算の作成、昨年度末に、これは大臣折衝で激しくやった時も申し上げたんですけど、私の方から厚労大臣には。やっぱりジェネリックをちゃんと浸透させていくとか、それから不透明だとも指摘されました医療費の問題とか、こうしたことにやっぱり本格的にメスを入れていかなければならないと思います。国民の皆さんは、弱い人を助けることに対しては、私は厳しい目で見ているというよりも寛容だと思います。しかし、その国民の皆さんの温かい、税金による支援は、やっぱり善意は正義で成り立っているわけで、そこにもし不正義を働かせて、不正なお金を余分に取るような仕組みがもしあるとすれば、これは所管官庁なり我々としては正していかなければなりませんから、具体的に、例えば生活保護の問題で削らなければならないようなものについては、来年度予算の中で、仮にこれは自民党や公明党が政権を取っても、我々が政権取っても、1つの大きな方向性としてはやはり透明化をして、今までの支給のあり方というものについてはもう少し見直しましょうという流れにはなるんではないでしょうか。私もそうしたいと思います。 |
| (以上) | |
