安住財務大臣、白川日本銀行総裁共同記者会見の概要(平成24年5月3日(木曜日))
| 【冒頭発言】 | |
| 大臣) | 午前中は日中韓の財務相会談に、新たに白川総裁をはじめ3カ国の中央銀行総裁も招いて、1時間にわたってそれぞれの国の経済状況について意見を交換し、有意義な時間を過ごさせてもらったと思っております。特に日本側から積極的に二国間の通貨スワップを働きかけておりますけれども、今回韓国の国債を日本が買うことで日中韓それぞれに持ち合いをすることが決まったということは、私達の国にとっても、また韓国にとっても前向きな話になるのではないかと思っております。今後とも3カ国の連携を強めていきたいということであります。 続いて行われたASEAN+3では、私の方から、先のIMFCにおける資金基盤強化が4,300億ドルを超えて、ASEAN+3の中からも7カ国資金拠出を表明してくれたことに対して感謝を申し上げました。アジア経済にとってもこの資金増強は大変効果があることではないかということで、私の方から言及をいたしました。それから地域金融経済について、私の方から、チェンマイ・イニシアティブの強化策で新たに資金を倍増して2,400億ドルにするということについては、時機を得たものであり日本としてもそれなりの貢献をしっかりやっていくということは表明させていただきました。また、サーベイランス機能の強化をやっていきましょうということも合意いたしましたので、これについてはAMROの事務局長が日本の根本さんになりますので、我々としては今以上に協力体制というものをしっかりやっていきたいと思っております。 明日、ADB総会で私の方から日本の経済情勢についてお話をさせていただきたいと思っておりますけれども、感想を申し上げると総じて、中韓もそうですけれども、昨年に比べてアジア各国、今日もASEANの国々からありましたが、比較的アジア経済は堅調に推移していると。特に我が国の大震災による落ち込みや、タイの洪水等、思わぬアクシデントがありまして、そういう点では年初の予想よりははるかに経済的に厳しいダメージがそのまま統計に現れた一年でありましたけれども、そういう点ではタイの財務大臣からも報告がありましたけれども、今年は順調に回復をしてきていると。我が国でも下振れ要因は多少あるわけですけれども、しかし現実には昨年とは随分違った経済指標が現れてきているので、私の方からは2%成長を目指してやっているという報告をさせていただいたところです。 |
| 総裁) | ASEAN+3の会議では、昨年まで、中央銀行からは代理レベルが参加していましたが、今回から財務大臣と中央銀行総裁が一堂に会して議論することになりました。また、この会議に先立って開催された日中韓の財務大臣・中央銀行総裁会議にも参加しました。 メンバー国の中央銀行総裁が加わることによって、域内の金融経済情勢や域内金融協力に関わる問題などをより包括的に議論できるようになったように思います。特に、ASEAN+3メンバー国間では、独立したサーベイランス機関、いわゆるAMROを設立したように、域内金融経済の動向を的確に把握、分析することの重要性を強く認識しており、大臣や総裁が意見交換できるこうした機会は大変有益だと思いました。実際、今回初めて会議に参加し、わが国と関係の深いメンバー国の金融経済情勢などについて幅広くかつ率直な意見交換ができたことは、有意義な成果であったと思います。 私からは、一連の会議において、わが国の金融経済情勢や金融政策関連の取組みについて説明しました。また、グローバルおよび域内の連関が強まっている中で、アジア諸国の関係当局が継続的に対話を続けて、域内の金融経済の安定を図ることの重要性を指摘しました。 今後とも、こうした機会を通じて、アジア諸国の関係強化が図られ、地域の安定につながることを期待したいと思います。 |
| 【質疑応答】 | |
| 問) | 先日、IMFの資金基盤強化がされましたけれども、今回アジア独自のチェンマイ・イニシアティブを強化することの意義、必要性を説明していただけますか。 |
| 大臣) | IMFの重要性は何ら変わるものではないけれども、域内の中で、他の地域の経済危機のあおりを受けて、堅調な成長に阻害要因が出ることがないようにこれを防いでいこうという考え方ですから、これには一番アジアは熱心に取り組まなければならないと思います。やはりヨーロッパ経済の影響をかなり受けているという報告を受けまして、金融の面で円滑に資金の調達が出来るような仕組み作りをアジアでしっかり構築するということから言えば、大変意義のある増資になるのではないかと思っております。 |
| 問) | チェンマイの強化について、危機予防に関する融資というのも今回合意の中に入っていると思うんですが、危機予防ということの意義についてどう思われているかということと、IMFもそうだったと思うんですが、このチェンマイも日本が主導して各国を引っ張ったケースだと思うんですけれども、何故日本が主導したのか、その背景と理由について教えてください。 |
| 大臣) | 大臣就任以来、非常に思っていたことは、世界の経済の中で最も成長しているのがこのアジアだと思います。改めてマニラにお邪魔して思いましたけれども、このフィリピンにおいても消費マインドが非常に強いんだと思うんですね。それはインドネシアの大臣に聞いても、今日お出でになられた大臣、ミャンマーの大臣でもそうだと思いますけれども、消費意欲が非常に高い、潜在的購買能力が高い地域であると。そういう点では成長が非常に高く見込まれる地域ですから、ネックは資金難に陥ることなんですよね。そういう点では欧州債務危機の場合、歴史的に繋がりのあるヨーロッパの銀行がこのアジアの国々から資金を抜いていくといいますか、そうした状況が一気に経済に対して反射的なダメージ、影響のある地域であると。それが過去のアジア危機でも覿面に出ているわけですね。いわばアジア経済の弱点を、アジアの国々、我々も中国も参加をしてASEAN+3でアジア経済の最大の弱点である金融のシステムを安定化させる、このことが世界経済を引っ張る上で重要なことだと思っております。危機になってから例えばIMFを通してやることは十分それはあるんですが、あらかじめチェンマイ・イニシアティブのようにしっかりとした基金を持つことによって、そうした域外の経済危機でそのあおりを食って、せっかく成長している産業、そうしたものに腰折れ感が出てきたりしないような仕組みが必要だということで、ずっと訴えてきました。IMFの先々週のワシントンでの会合と、そして今日のマニラでのチェンマイ・イニシアティブの強化と、日本の通貨外交といいますか、国際金融の分野での大きな柱と言いますか、懸案として思っていたことが2つともこれで見通しが立ちましたので、我々としては諸外国に対する訴えかけをして理解をいただいたことで、大きな成果を得たのではないかと思っております。今後、昨年のようなことや欧州危機によって煽りを受けて成長著しいアジアのマーケットが一気に冷え込まないようにすることが日本の経済にとって大きなプラスになると。そういう観点から今回の会議に臨みまして、かなり大きな成果は得られたと。また各国からの感謝ももらったと思っております。 |
| 問) | チェンマイ・イニシアティブの機能拡充、今回合意出来たと思うんですが、機能的にはこれで十分なんでしょうか。むしろ更なる拡充というものは視野に入っているのでしょうか。 |
| 大臣) | 危機予防のための基金の創設というものは非常に大きいと思うんですね。更に必要かどうかについては、現時点では、かなり安定感が出てきましたから、緊急に何かこれを上積みするような資金が必要である国はないと思います。今後、ミャンマー等について、政治的にどのようになっていくか分かりませんが、現状のような改革開放路線とでもいいますか、スー・チーさんも登院なさったようだし、民主化がどんどんこれで進んでいくようになれば、更に投資活動が活発になる可能性が非常に高くなってくると。そういう点では民間金融機関等の融資、我々で言えばJBIC等、様々な融資によってアジアの投資を活性化するチャンスが出てきたのではないかと思っていますから、危機が迫っていて、そのために更に上積みするような考えは今のところ持っていません。ただそうなれば、いつでも集まれるような体制は構築出来たのではないかと思います。 |
| 問) | 今日は初めて中銀総裁が参加しての会議だったということで、為替についての話が議題に上ることはあったのでしょうか。 |
| 大臣) | ないです。 |
| 総裁) | そうした話はありませんでした。 |
| 問) | 金融政策関連についてご説明されたとのことですが、どういうお話をされたのか、もう少し具体的に伺えますか。 |
| 総裁) | 日本銀行が2月以降に採ってきた金融政策について説明を行いました。内容自体については、これまで記者会見の場等で申し上げてきたもので、特に新しいことを申し上げたわけではありません。あらためて日本銀行が取組んでいる金融政策を説明したということです。 |
| 問) | チェンマイ・イニシアティブについては、規模を拡大することで、モラルハザードというか貸し倒れのリスクとか、そういうものの問題点が指摘としてはあったかと思うんですが、この点について大臣はどのようにお考えでしょうか。 |
| 大臣) | まず強化をして、サーベイランスをしっかりやることで、そうしたものを防いでいくという、いわばセットで合意をしましたから、これはちゃんとシステムとして機能していけば、今のご指摘の点というものは防げるのではないかと思っております。ですからAMROとか非常に重要ですね。それについても根本さんに事務局長になっていただくので、財務省としても全面的に協力して、市場から見たときの透明性ですね、そうしたものに応えられるようなチェック体制を敷いていきたいと思います。 |
| 問) | 今日、チェンマイ・イニシアティブの拡充ともう一つの柱として、アジアの債券市場育成イニシアティブもある程度工程表を作ったりとか、具体的な話が出てきたと思うんですが、これに対する受け止め、感想などを聞かせていただければと思います。 |
| 大臣) | いわゆるABMIについては、私の方からこの10年の日本政府としての市場育成イニシアティブ、いわゆるABMIについての努力については評価をするということは申し上げました。今後、信用保証や投資ファシリティですね、これによって保証案件というのが出来るのかどうか、これを具体的に成果を見てみたいと。それからASEAN+3の債券市場ですね、これの市場フォーラムでの債券共通発行プログラムの策定、こうしたことをしっかりやっていきましょうという話はさせていただきました。その成果を期待していますということでしたが、実は各国からこのABMIの重要性については、やはり同じような指摘がありました。事務局を通して債券市場の育成というものに対して、ここはこれから重点を置いてやっていけば、アジアに対する資金のキャッチアップの一つのツールになるのではないかと期待しております。 |
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