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安住財務大臣、白川日本銀行総裁共同記者会見の概要(平成24年4月20日(金曜日))

 
 
【冒頭発言】

大臣)

 昨日今日と、緊急のG7、G20と、相次いで連日会議を行いました。言うまでもなく、今回のG20の最大の懸案事項は、IMFに対する資金基盤強化、増強をどうするかという一点に尽きたのではないかと思っております。ご存知のとおり、我が国は他国に先駆けて600億ドルの融資枠を拠出するということは表明をしまして、その前後から参加各国をIMFと一緒に募ってまいりました。様々報道の中では、BRICSを含めて、中々うまくまとまらないんじゃないかということも懸念をされておりましたけれども、本日、最終的なセッションで、私どもが600億ドル、更に追加の国々が相次いで参加表明をしていただいた国が10カ国以上に及びました。また同時に、BRICSの国々については、本日それぞれ発言を行いまして、資金基盤強化に参加をすることを表明していただきました。これは非常に大きな成果だったと思っております。これらを総合的に勘案すれば、現時点で4,000億ドルの目標は十分クリアできるところまで来たということは言えると思います。私どもとしても日本としてもということでございますが、IMFと一緒になってかなり多くの国々に働きかけを行い、また先駆けてこの支援表明をさせていただき、その成果は非常にあったのではないかと思っております。IMFCのターマン委員長から、冒頭、私どもの国に対して感謝の言葉がありました。ヨーロッパ各国からも私に対しては温かい感謝の気持ちがありました。日本の国民の皆さんの支援を決して忘れないという国々もありました。私どもも、この4月の非常に重要なIMFの資金基盤強化に向けて、大きな貢献を果たせたのではないかと思っております。BRICSの国々についても、この参加を表明してくれたということで、大きなまとまりはこれでできたと。今後危機の抜本的な解決に向けて、ユーロ圏の国々の努力とともに、このIMFの資金を十分活用して、世界の市場に対してこの欧州問題の解決に向けた取り組みというものを評価していただけるんではないかと思っております。同時にIMFに対しては、これまで2010年のクォータガバナンス改革で合意されていることを履行していない国々があるので、こうしたことをしっかり履行してもらいたいと。秋に東京で行われる総会までの間には大きな進展があるように、私どもとしてはIMFに対しても、また履行していない国々に対しても、そのことをしっかりやっていただけないかということを強く申し上げました。また、我が国としても、このクォータの見直し、これだけお金を出している国に対するいわば十分な配慮というものを、今後のクォータ見直しの中で行ってほしいということも申し上げました。最後のIMFに対しては、資金も十分私達としては、厳しい中ではありますが世界経済の中で貢献するためにこの額というものは出しますと。私は今日のスピーチの中で申し上げたのは、昨年の東日本大震災の中で、多くの国々から支援をいただいたわけです。そうした国々に助けられて今復興に向かって力強い歩みをスタートさせてますけれども、世界の人たちが困ったときに助け合う精神というか、これは日本の財政支援の基礎になる考え方だということは申し上げました。そういう中でこの600億ドルがあるということはわかって欲しいと。同時にIMFに対しては、お金だけではなくて人的貢献もこれからしていきますので、それに見合ったポストを我々に与えて欲しいということは申し上げました。私の認識では、4月は本当に日本経済、世界経済にとって重要な月になるということは再三申し上げてきましたが、特にこのワシントンでの会合をどう乗り切るかが当面世界経済を占う上で重要だったと思います。そういう中では、当初の予想以上の成果を挙げることが出来たということで、これはIMFにとっても、また世界経済にとってもG20にとっても非常に成果があった会合ではなかったかと思っております。

総裁)

 日本経済については、第1に、堅調な個人消費や復興需要の強まりなどを背景に、なお横ばい圏内ではあるが、持ち直しに向かう動きがみられていること、第2に、先行きについては、緩やかな回復経路に復していくと考えられることを説明しました。
 次に、欧州情勢について、私からは、第1に欧州でのファイアー・ウォールの強化やIMFの資金基盤拡充は、世界の金融市場の安定維持という観点から有効な手立てであること、第2に、こうした策はあくまで時間を買う措置に過ぎず、問題の根本的な解決はできないこと、第3に、したがって、こうした策によって買われた時間を有効に使って、問題国の財政赤字削減やユーロ圏の域内不均衡を改善するための構造改革をしっかりと進めることがきわめて重要であることを申し上げました。
 世界経済全体については、米国経済の改善の動きなどを受けて、持ち直しの動きもみられつつあるものの、欧州情勢と原油価格の動向については、リスク要因として、引き続き注視すべきであることを申し述べました。
 金融規制改革に関しては、3点申し上げました。まず、現在議論されているFSB(金融安定理事会)のガバナンスの見直しについては、引続きBISとの緊密な関係を大事にする必要があること、第2に、システミックに重要な国内銀行への対応については、各国固有の事情に十分に配慮した枠組みが必要であること、第3に、いわゆるシャドーバンキングの議論に関しては、国債レポ市場など主要な金融市場も含まれる中、規制強化といった側面だけでなく、健全な市場の発展を促していく必要があることを、それぞれ指摘しました。

大臣)

 うれしい訂正ですけれども、先程4,000億ドルと言いましたが、今連絡が来まして、4,300億ドルを上回るという訂正をするということでしたので、4,300という数字にしていただきたいと思います。
【質疑応答】

問)

 大臣に質問ですが、今回日本は資金基盤強化において重要な役割を果たしましたが、より具体的に何をされたか教えてください。また、日本がホストする秋のIMF・世銀総会に向けて更にどういうことをするつもりかお聞かせください。

大臣)

 これまでの、19・20日のワシントンでの会合というのは、IMFの資金基盤が全体としてまとまるかどうか不安視している国々が多かったと思います。私どもも率直に申し上げて、10日程前であると4,000という数字はちょっとまとまるのは大変かもしれないという認識でありました。しかし、どこかの国が、ユーロ圏以外の国が、まずオープンゲート、突破口を開いて、ゲートを開くということが大事なんじゃないかと。これは私も事務方に指示をしまして、その後IMFと一緒になりまして拠出をする可能性がある国々の意向を探っておりました。その中でも一番私どもが配慮をしたというか、そういう国々は、中国や、それから非ユーロ圏の国々がどうかということでありました。断続的な会合を続けた中で、私の至った一つの結論は、まず我々の国が金額をしっかり示して、むしろ先駆けてやってみようと。そのことがどうもためらっている国を後押しするというか、そういうふうなことが可能性としてあるのではないかと思いました。そういうことで、思い切って、これはラガルド専務理事とも相談をしながら、私どもの方でまず最初に額の表明をさせていただきました。表明した時点では、どれだけの国が我々に追随してくれるかよくわからないところもありましたけれども、このワシントンに来るまでの間、極めて慎重な立場を示していたBRICSも、我々の考え方に共鳴していただいて、拠出の表明をしていただいたと。残りの殆どの国々についても、具体的な金額を含めて公表した国々も、かなりの数に上ったということであります。公式・非公式に、勇気を持った日本の行動を歓迎するということは相次いでお話をいただきましたし、ドイツの代表からはドイツ国民は日本の支援に本当に感謝し一生忘れないという言葉もいただきましたし、イタリアの代表からも私のところに本当にありがとうと、心から感謝するということでありました。私は結果的には良かったのではないかと思っております。これから東京の秋の会合に向けては、一ついえることはIMFに対するリクエストもあるということですね。IMFの今の時点での改革の必要性、資金を出したことに対する発言力をちゃんと担保して欲しいという国々が途上国等あります。私どもは今回、そうしたことも踏まえて、IMFにもそうした声を伝えたつもりでおります。中国側からのそういう要望があったことについては私もラガルドさんに率直に伝えました。一方的に私たちの考えを押し付けただけではなくて、今回我が国はIMFに対する懸念を表明し、またその資金についてためらっている国々についての理由についても十分声を聞いて、逆にIMFに届ける作業もさせてもらえたので、そういう点では日本の貢献ということに対して、世界の皆さんから評価をいただいたのではないかと思います。今後東京までの間に、先程申し上げましたクォータの問題等について、大きな前進を図るために、なお我々としては努力をしたいと思っております。

問)

 今回の対策で、先ほど白川総裁は時間を買う政策と仰っていましたが、昨年以来ECBの3年物の低利融資や色々な措置も含めて時間を買う政策で、いったいどこまで時間を買えたのか、どれくらいの猶予ができたのか、あるいはこの政策を採ることによる副作用の指摘、例えば抜本的な解決策がこの間に採られない場合、ますます金融機関をゾンビ銀行にしてしまうといった指摘について、どのようにお考えになっていますか。

総裁)

 ご質問が何年時間を買ったのかという具体的なことであるとすれば、「何年」と定量化できるものではないと思います。今、記者の方が仰ったように、また、今回の会合あるいは様々な場で欧州の当局者自身も言っているように、定性的には、こうやって時間を買っている間に抜本的な経済・財政に関する構造改革を進めていくことが大事だということは、認識されていると思います。ただ、そう申し上げたうえで、そのような抜本的な改革が効果を発揮するには時間がかかるのも事実です。その間にマーケットの心理が不安方向に傾くと、そのこと自体がまた自己増殖的にマーケットの混乱を生みますから、そういう意味では時間を買うことは、時間を買うに過ぎないとも言えますが、時間を買うことの意味も大きいと思います。そういう意味では、私自身は、ヨーロッパの文脈でもそうですし、日本の文脈でもそうですが、両方の努力、すなわち、しっかりした改革努力と金融の面から支えていくことの両方が必要だと思います。

問)

 今こうして日本がリーダーシップを取って、一つの国際的な支援のメドが立った今こそ逆に、危機の震源地に対して、ユーロ圏に対して何を仰りたいでしょうか。

大臣)

 これからショイブレ蔵相とも会談します。その中で我々の考え方というものも伝えますけれども、ECBをはじめ的確な政策は打ってきたと思いますが、やはりスペインの国債の状況を見ればわかるとおり、油断すると危機が再現しかねないという状況があるわけですから、そういう点ではIMFに対して非ユーロ圏の国々がこれだけもう、十分サポートしましたので、むしろこれからファイアウォールを含めて、今の状況が不十分であるならば今度は逆にユーロ圏の国々が更なる努力をしなければならないことになると思うんですね。同時に、今の総裁のお話ともつながるんですが、時間は多少買えたと思うんですけれども、その中でやはり構造改革、これを国としてもやっていかなければならないと思います。財政再建、それから成長分野をどう図っていくかですが、これは実は我が国にも言えることなんですね。私は今いい話をしましたけれども、我々にとって今回の会合では耳の痛い話もありました。日本とアメリカを名指しして、財政再建をしっかりやるべきだという意見も寄せられております。そういう点では、財政再建と構造改革、それと成長分野を作るための規制緩和。欧州は特に直面している危機が大きいだけに、そうしたものに与えられた時間の中でどういうふうに答えを作るのかということが問われていると思うので、それについてもドイツやフランスにリーダーシップを是非取ってもらいたいということは申し上げたいと思います。

問)

 戦略上、IMFとチェンマイ・イニシアチブを含む地域的な組織とのいずれにおいて、中国との連携も含め、主導的役割を果たすことにより関心を持っているのかを大臣にお聞きしたい。
 中国の経済成長率7.5%は他の各国にとってハードランディングになると思いますか。また、現状、中国に対して、より緩和的な金融政策を行うようにアドバイスされますか。

大臣)

 アジアの問題をこれから安定化させるためには、中国と日本と韓国のイニシアチブは非常に重要だと思います。私はこれまでも、王岐山副総理と直接お会いもしたし、電話でもお話はさせていただいておりますけれども、その中で話をしているのは、IMFとチェンマイ・イニシアチブのどちらが重要かということではなく、どちらも重要なんですね。我々が主体的に、ヨーロッパやアメリカに頼らずにチェンマイ・イニシアチブを取ることによって発展するアジア経済を金融面から安定的に支えていくと。それはお互い助け合ってやっていこうということですね。我々から見れば、足元のチェンマイ・イニシアチブをしっかり履行するというか、資金の安定供給について不安を与えない、その中で堅調な成長率をアジアの国々に維持してもらうということは重要だと思います。そういう点では、日本と中国の関係というのはより深めていかなければならないものではないかと思っております。IMFとアジアの関係で言えば、答えで言うとどちらも重要だということになると思います。

総裁)

 中国の金融政策に関するご質問ですが、日本の中央銀行の総裁として、他国の金融政策についてコメントすることは差し控えたいと思います。周総裁とは、BISの場でも、今回の会合の場でも、常日頃から密接な意見交換をしていますが、今のご質問に対しては、お答えを差し控えたいと思います。

問)

 2点お伺いしたいのですが、IMFの中国の拠出について、王岐山さんとの会談では足並みをそろえるということだったと思うんですけれども、今回ゴールでは足並みはそろったのかもしれませんけれども、途中ではそろっていなかったと思います。その点についてもう少しお話をいただければと思います。
 2点目は、支出に見合ったコストを求めるということを仰ったんですけれども、今のIMFの幹部では副専務理事に篠原さんがいらっしゃいますが、それ以上のポストを日本として求めるということなのか、伺えればと思います。

大臣)

 中国と私たちの国というのは、他の国にはない近くて深い関係にあるわけで、逆に言えば中国がどういうふうにお考えになっておられるかというのを、日本はどう思うとヨーロッパの国々から聞かれることもあるぐらいですから、そういう意味では私も王岐山副総理のお気持ちを大体、お話を聞かせていただいて、今度のことについても中国側の考えというものは十分理解ができるものでした。中国は元々カンヌ以来、IMFの資金の増強について、決してネガティブだったことはないんです。ただ、具体的にこれを増強するときには、クォータの問題とかですね、IMFとしてちゃんとやってもらわなければならないことがあるのではないかと。それから中国の国民に対して、豊かなヨーロッパを自分たちの国が支える大義が必要だということをよくお話しされていましたので、私もそれは十分理解できると。ですから逆に今回、中国側のそうした考え方をIMFのラガルドさんに直接お伝えしましたし、橋渡しはできたんではないかと思います。一方中国は、今回額は表明しませんでしたけれども、共通の認識は、お互い何か額を競い合うとかいうことではなくて、お互いの支出できる範囲の合理的な枠の中で、お互いIMFに協力しながら、お互い発言力を高めるために連携していこうということだと思います。今回中国側から見ればBRICSという一つのチームもあるわけですから、日中でイニシアチブを取ってずっと行ければよかったわけですけれども、そうした途上国側の代表と考えも中国にはあるので、そういう点では最終的には一致が出来たので非常に良かったと思います。途中でそこは、それぞれの立場を尊重してやってみましょうと。私が電話で王岐山副総理にお話させていただいた時には、副総理からも十分日本側の600億ドル、そしてイニシアチブを取るために色々な運動をするということについて、中国側に理解をしていただきましたし、逆に中国側の考えを私も理解をしてこの話を進めてきましたので、プロセスも結果も含めて、十分コミュニケーションを取りながら、納得のいく結論になったのではないかと思います。
 それからIMFに対してしっかりとしたポジションや人材をというのはですね、篠原さんより上となるとラガルドさんになってしまいますけれども、そうではありません。私どもが言っているのは、若いスタッフをどんどん送るので、是非、財務省や日銀ということになるのかもしれませんが、受け入れていただければ、我々はそうした人材を色々なポストに送っていく用意がありますということを申し上げたということです。

問)

 今日、ワシントンポストで記事が出て、日本の国債の総額が対GDPで230%を超えたという囲み記事が出ました。日本は自分の国を救えるのかという見出しになっておりまして、昨日から伺っている日本の財政健全化策についての各国の反応あるいはIMFの反応がありましたら教えていただけますでしょうか。

大臣)

 累積債務が多いのは隠しようのない事実ですから。それは会議に来る度に皆さんからご指摘いただいているわけです。今、社会保障と税一体改革ということで、これは歳入改革ということで消費税を提案させていただいていると。今後、2020年にプライマリーバランスを均衡化していくということを国際公約にしていますから、税収を上げるための成長戦略、更には歳出の思い切った削減ですね。ここは中々、今の日本の予算の仕組みでは難しいんだけれども、そうしたことをやることで、三つの道と言いますか、確実にプログラムを履行していくということだと思います。そういうことをしっかりやらないと、急に国債の問題で、日本の国債が減るとかそういうことは無いわけですね。残念ながらそれは無いんだけれども、これ以上増やさない努力というのはできるかもしれないので、我々としてはそれを世界に見せていかなければ、決して世界も寛容な目だけで日本を見ているわけではないということは、国際会議に来れば来るほど感じるので、それを実現したいというふうに思います。一方、日本に限らず、アメリカのこともかなり厳しく指摘された国もありました。これはG7等でも議論になったんですけれども、財政再建と経済成長は非常に難しいと。財政を緊縮財政にして、歳出カットしていけばいくほど経済成長との問題が矛盾をはらむということは、お互いの国々が悩みを打ち明けている状況でしたから、我々としては、消費税の問題もあるけれども、一方で復興の予算というものもしっかり付けて、この両立というものをどうやって図っていくのかということを今年は是非トライをしたいと。そういう年になるんだということを申し上げました。

問)

 IMFの資金基盤強化への協力なんですけれども、600億ドルということで、かなり日本は、ユーロ圏以外ではもちろん最大ということになるんですが、一体改革で国民に対しての消費税増税をこれからお願いしていく、理解を得ていくという中で、外準の有効利用、優先順位でどこにそれを使えば一番いいのかと。一方で財政が厳しく、一方で復興にお金が必要だというところで、今回600億ドルを拠出すると。これは極めて毀損するリスクは低いお金だとは思うんですが、あるお金を優先度を付けて使っていくという中では、今回このタイミングで600億ドルを出すということを国民に対してどのように説明をし、理解を得ていきたいとお考えでしょうか。

大臣)

 日本の今の国力、経済規模から言って、今のご指摘の3点はいずれもやらなければいけない重要なことなんですね。復興を一生懸命やるから、ヨーロッパの危機はどうでもいいんだということにはならないんですよ。日本の今の国力、経済規模から言って、全てに関して日本は関わらざるを得ないぐらい大きな国なんですね。財政再建の問題もほったらかしにもできないし、一方で復興のことについても世界が驚くようなスピードで我々は成し遂げなければならない。為替も国内の株式市場も非常にヨーロッパの景気経済に影響される反射的市場ですね、日本は。そういうことを考えれば、ヨーロッパに貢献をして安定してもらうことが、日本の経済に直ちに跳ね返ってきますから。そういう点では今ご指摘のように、この融資枠というものは毀損する可能性というものは私はないと思いますし、我々とIMFの関係ですから、十分、今のタイミングだからこそ、これだけの規模の貢献というものをやることで日本の姿勢というものを明確にすることができるということでは、いずれも合理性があったのではないかと思っています。

問)

 日本の潜在成長率に関して、「失われた20年」以降のトレンドについての見解を伺います。また、人民元の国際化に向けて、中国はどのような教訓や経験を日本から学ぶことができるか教えて下さい。

総裁)

 日本の潜在成長率には、色々な計算手法があります。日本銀行が展望レポートで示している潜在成長率は、ゼロ%台の半ばと表現しています。別の角度からは、例えば潜在成長率は働いている人の数と働いている人の生み出す付加価値・生産性の両方の伸びの和で決まると言えます。向こう10年間の労働人口の減少率は0.7%です。過去20年間の労働生産性の伸び率は1%、金融危機の時などを除くと1.5%。したがって大体、労働生産性の伸びは1〜1.5%です。そこから先ほどの労働人口の減少率0.7%を引くと、1%以下になります。したがって、色々な計算手法がありますが、大体ゼロ%台の半ばというのが日本の潜在成長率です。この潜在成長率の数字をもう少し高めていく努力が必要であることを、私や日本銀行は色々な場面で強調しています。
 それから、人民元の国際化について、私自身がアドバイスする立場にあるかどうか分かりませんが、日本の経験から、1つの重要な条件は、規制・監督をしっかり整えていくということだと思います。資本が自由に移動する中で、規制・監督が十分に整っていないと、バブルを生んだり、最終的に金融危機を生んでいきます。したがって、人民元の国際化と、国内における規制・監督の整備は、平仄を取って進めていく必要があると思っています。
 

(以上)

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