現在位置 : トップページ > 広報・報道 > 大臣等記者会見 > 白川日本銀行総裁、中尾財務官共同記者会見の概要(平成24年2月26日(日曜日))

白川日本銀行総裁、中尾財務官共同記者会見の概要(平成24年2月26日(日曜日))

 
 
【冒頭発言】

総裁)

 昨夜の世界経済に関するセッションに続いて、本日のG20では、フレームワーク、国際金融アーキテクチャー、金融規制改革・金融包摂、エネルギー・一次産品について議論をしました。会合の成果は、コミュニケにとりまとめられていますが、私から簡単にポイントを紹介いたします。コミュニケの詳細については、後ほど財務官よりご説明があります。
 まず、世界経済については、ギリシャ第2次支援パッケージの合意等、最近の欧州における重要な進捗を歓迎しました。他方、為替など金融市場のボラティリティは足元では下がってきてはいますが、なお警戒が必要な状況であり、下方リスクが発現しないよう注視する必要があるとの認識が共有されました。
 フレームワークについては、これまでのG20における各国のコミットメントが達成されることを確保するため、モニタリングとアカウンタビリティを強化することが確認されました。また、6月のロスカボス・サミットに向けて、今後、G20としての新たな行動計画であるロスカボス・アクションプランを策定することに合意しました。
 国際金融アーキテクチャーに関しては、昨日のワーキング・ディナーにおける議論を踏まえまして、IMFの資金基盤強化について補足的に議論が行われ、その結果、3月に行われるユーロ圏諸国によるEFSF/ESMの資金規模の再評価を重要な判断材料として、IMFの資金基盤強化を検討していくことが合意されました。これについては、昨夜のセッションで、安住大臣より、欧州自身による一段の努力の結果を踏まえた上で、IMFの資金基盤強化や我が国の貢献について具体的に検討する旨発言したところであり、我が国の考え方が今回の合意に十分反映されていると考えています。
 金融規制改革については、既に合意されたスケジュールどおりに金融改革を遂行するというコミットメントを再確認しました。私からは、FSBのガバナンス改革ではこれまでの柔軟な対応を可能にした現在の枠組みの利点を維持することの必要性を指摘しました。規制を国内で実施する際には、意図せざる影響がクロスボーダーに発生し得ますので、国際的な協調は重要であり、米国の自己勘定取引の制限を目的としたいわゆる「ボルカールール」について、米国当局がこの点を十分に勘案した上で適切に実施されることを期待している、と申し上げました。
 エネルギー・一次産品については、これまでのG20における作業――この中には昨年日本銀行の中曽理事が議長を務めたスタディグループの成果も含まれるわけですが――、これらを踏まえて、価格変動が経済成長に与える影響に関する報告書を作成することに合意しました。
 今回の会議は、メキシコが議長国となって初めてのG20でした。議論の結果、6月のロスカボスでのG20サミットに向けた良いスタートが出来たものと考えています。

財務官)

 私の方から、IMFの資金基盤強化のことについて補足させていただきます。昨年のカンヌ以来、ユーロの問題との関連で、IMFの資金基盤についても評価していくということが決まっていたわけですけれども、今回、先ほど総裁からご紹介がありましたとおり、ユーロ圏諸国は3月にユーロ圏の支援ファシリティ、これはESMとEFSFですけれども、これの強固さを再評価すると。このことはIMFの資金動員に関する現在の我々の検討にとって、重要な判断材料を提供するということでございまして、ヨーロッパの方の欧州安定の枠組み、これは恒久的なメカニズムですが、それと今とりあえず行っているEFSF、これの両方の金額が5,000億ユーロというキャップが入っている、こういうことの問題を含めて、3月中に再評価されることになっているわけですけれども、これを受けて、IMFの資金動員に関する現在の我々の検討を判断していくということでこざいますから、今日の時点では具体的な金額とか、具体的な支援の方法について、議論があったわけではありません。我が国は、IMFの資金基盤強化、我が国の貢献については、欧州による一段の努力の結果を踏まえた上で具体的に検討をするということを申し上げている。逆に言えば欧州の一段の努力があれば、我が国の貢献について検討する用意があるということを今まで一貫して主張してまいりましたが、今回もそのような立場に立って対応したわけでございます。特に最近では、先週の日曜日に安住大臣が中国の王副総理と会談をいたしましたし、英国のオズボーン大臣とは共同でフィナンシャルタイムス等に共同投稿しておりますけれども、そういう形で各国との意見調整を行いながら対応したわけですけれども、今回は日本が今まで言ってきている考え方に基づいて方向性が確認されたのではないかと思っております。安住大臣の昨日の発言をはじめとして、日本の考え方が一つのリード役になってきているのではないかと考えております。
【質疑応答】

問)

 声明に為替についての文言が入っていないですけれども、入っていない背景について伺えますでしょうか。

財務官)

 今回のG20について、コミュニケを見ていただきますと、パラグラフ2の中に、「国際金融市場におけるボラティリティは下がってきてはいるが、なお総じて高止まりしており、我々は、下方リスクを更に減少させることにコミットしている」という部分がございます。これは為替も含めて全体にボラティリティがあるということでございまして、そういうことについては注意していくということが認識されていると。敢えて言えば、新興国の為替が欧州のデレバレッジを受けて切り下がっている、あるいは先進国、日本も最近まで過度の円高というものがあったわけですが、そういうことも含めて、こういう文書が書かれていると理解をしております。これに加えて今回のコミュニケでは、カンヌ等でのG20のコミットメントについて、パラグラフ3で「モニタリングとアカウンタビリティを強化する」と入っておりまして、「金融及び為替」ということが入っております。これはカンヌの時に何を言っていたかといいますと、新興国に関する為替レートの柔軟性、加えて為替レートの過度な変動および無秩序な動きは金融の安定に悪影響を与えることを再確認するということを言っておりまして、そういう意味では今回同じ文言は入っていませんけれども、この2つの部分に関して言えば、我が国が主張してきたような為替の過度な変動は良くないという部分は入っていると思いますし、いずれにせよ、そういう考え方は国際社会で共有されているものであって、我が国としては引き続き緊張感を持って主要動向を注視し、適切に対応していくという考え方には変わりはないということでございます。

問)

 欧州に対応するIMFの資金基盤強化の点で、今回の会合全体を通じて欧州側の決意というか、特にドイツがファイアーウォールの構築に対して慎重な姿勢を崩していないということですが、本当にESMとEFSFの強化に対する手応えが感じられたかどうかを伺いたいと思います。

財務官)

 パラグラフ4で、「ユーロ圏諸国は、3月にユーロ圏の支援ファシリティの強固さを再評価する」とはっきり言っているわけですね。3月1日・2日とユーロ圏の首脳会合がございますけれども、その会合を含めて、ESMとEFSFの5,000億ユーロのキャップというものをどうしていくのかということについて、はっきりとしたそれを取り除くんだとかいうことが出てきたわけではありませんけれども、この言葉に表れているように、きちっと見直していこうと、それを踏まえてIMFの資金基盤強化をするということですから、当然そこに含まれている意味は、そういうものを強固にしていこうと意思がヨーロッパ側にあると思っております。勿論、17の国が集まって議論しないといけないわけですし、その背景には議会もありますから、予断をもって言うことはできませんけれども、今回の会合の中ではヨーロッパが再評価をして、強化する方向で考えていくという意思は伝わっていたのではないかと思います。

問)

 IMFの資金増強について、次の会議でレビューという言葉が使われているんですが、これは4月の時点で具体的な金額や、そういった詳細なことまで合意を得るのは難しいのか、得たいのか、距離感を中尾財務官に伺いたいのと、その答えを伺った上で白川総裁に伺いたいのは、金融緩和などの政策を通して、ヨーロッパの危機に対応するための時間を買っている、ということをこれまで総裁は仰っていましたが、金融当局から見て、IMFの資金増強の議論は、例えば4月以降では遅すぎるのか、もっと早くしてほしいのかについて、どう思っているのかを教えて下さい。

財務官)

 4月の会合というのは、4月にワシントンでIMFの国際通貨金融委員会というものが開かれて、各大臣が集まるわけですけれども、その際にG20の大臣も集まる可能性があるわけです。そこが一つの時間的な一里塚になっているわけですけれども、パラグラフ5に、これはカンヌで首脳から要請されているわけですけれども、「IMF資金がタイムリーに動員され、様々な選択肢を通じて活用されうることを確保するため」ということを言っています。つまり、併せて読めば大臣会合で一定の進捗が期待されているということになります。現時点では、3月にユーロ側のアクションが取られることを前提にすれば、4月に一定の判断が進んでいくと。パラグラフ5にIMFの資金を増強させる一つの手段として、引き続きクォータ、日本で言えば資本といっているものですけれども、これを基本とする機関ではあるけれども、短期的に、直ちにタイムリーにIMFの資金を増加させることが可能な方法の一つは、幅広いIMFの加盟国からIMFが借り入れを行う、あるいはIMFが債券を出して買ってもらう、中国は前回、日本がIMFに1,000億ドル出したときに中国は500億ドル貸し出しをしているわけですけれども、これは貸し出しではありますけれども債券の購入という形で中国はやっています。そういうことまで書いてあるわけですから、条件が整えばタイムリーにやっていこうということになるのではないかと思います。絶対4月に全て決着するかどうかは、ここに書いてあるとおり慎重な書き方をしていますけれども、色々な条件が整えば進捗させたいということでございます。

総裁)

 時間を買っている間に様々な施策にしっかり取り組んでいくことが大事だということは、かねがね申し上げている通りです。資金基盤の強化についても、様々な意見の違いがある中で、今回4月にレビューをしていくということになったのは一定の前進であったと思っています。欧州の債務問題の解決に向けては、資金基盤の強化ももちろん大事ですが、これに加えて、経済・財政の改革、ガバナンスの改革の3つが必要です。したがって、資金基盤だけでなく、この3つの点がいずれも着実に前進していくこと、時間を買っている間にこういうことをしっかりやっていくことが大事だという評価は変わっていません。

問)

 今回の議論の中で、IMF、もしくはEFSF及びESMの資金の拡充と規模について、何らかの議論があったのか、例えばIMFは5,000億ドルという数字を既に出していますけれども、それについての各国の反応とどういった議論があったのか、また選択肢、手法に関することですけれども、先ほど仰った債券を買うのか、バイで貸すのかとか、そこら辺の議論については言える範囲でどの程度議論の進捗があったのかを教えてください。

財務官)

 5,000億ドルというものがIMFの資金基盤の強化の一つの目標になるということは、既にIMFがラガルド専務理事を含めて外に出している数字です。今回もそういう数字が言及されました。ただ各国がそれについて、目標にしていくべきであるとか、目標にすべきではないとかという議論は、具体的には行われておりません。それからその方向ですけれども、二国間融資と債券の購入というものは殆ど同じ意味ですね。ですから貸し出すときに債券を買ったという、これも市場で債券を出しているわけではないですから、債券という証書を出して、約束の証書の代わりに証券を出していることですからあまり変わりはないわけですけれども、一般的にIMFの一般資金に対して、それぞれの国が、できるだけ広い範囲の国ですけれども、貸していくということが書いてあるように、前提になるのではないかと。一般資金と申し上げましたけれども、そのことは書いてないかもしれませんけれども、そういう理解に立っているということは申し上げていいと思います。

問)

 5,000億ユーロについてのキャップについては、どこまで引き上げる予定であるとか、額についての話はありましたでしょうか。

財務官)

 今、ESMが5,000億ユーロ、EFSFが4,400億ユーロの貸し出し規模を持っている、ギリシャとかアイルランドとかポルトガルには2,000億ユーロをコミット、ギリシャは第2次支援を入れればですけれども、そういうことになりますから、2,500億ユーロEFSFに残っている、そういうことは既に公知の事実ですし、全体に対して5,000億ユーロのキャップがかかっていることも事実ですけれども、そういう話は言及はございました。それをどういうふうに変えていくかということについては、具体的な言及は無かったということで、今後議論されていくということです。

問)

 最初に日本の考え方がリード役になったということでしたけれども、このタイミングでリード役を務め始めたということはどのような背景があるのかを教えてください。

財務官)

 リード役になるということは、私共の意識としてそういうことですけれども、今まででもIMFに対してリーマン危機の後に1,000億ドル融資を表明した、これは2008年の秋に唯一日本が始めたわけです。これまでもIMFの中で日本が第2位の出資国ですし、色々な形でリーダーシップを取ってきたわけですが、今回日本だけというわけではありませんけれども、アメリカ・中国・イギリス・韓国・カナダ、そういった国とは大臣レベルあるは事務レベルでも相当緊密に協力してきている、特に象徴的なものが王副総理を大臣が訪問して議論を行い、今後も議論をしていこうということです。それからイギリスのオズボーン大臣が来られた時にそういう話を始めて、共同の寄稿という形で明らかにした、そういうことを含めて一つの国際世論を作っていっている部分はあるんだろうと思います。急に始めたわけではなくて、これだけ大きな資金が議論されている中で、やはり日本として協調しながら、立場をはっきりさせながらやっていこうと。勿論、建設的に議論に貢献するということを含めて、しっかりやっていこうということでございます。
 

(以上)

財務省の政策
予算・決算
税制
関税制度
国債
財政投融資

国庫

通貨

国有財産

たばこ塩


国際政策
政策金融・金融危機管理
財務総合政策研究所