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安住財務大臣、白川日本銀行総裁共同記者会見の概要(平成23年9月22日(木曜日))

 
 
【冒頭発言】
安住大臣)

 G20の会議が7時半から夜の先ほどまで行われました。話の中心議題というのは、失速する世界経済、特に大きな原因ともなっている欧州の経済状況についてということでございましたけれども、私と白川総裁の方からは日本を取り巻く状況について、議長の方から説明を求められましたので、そのことについてまず説明を申し上げました。
 アメリカ経済、欧州経済、日本経済の現状ということでまず議論があって、その後フリーの話し合いということになりましたんで、私の方からまず申し上げたことを掻い摘んで申し上げます。 
 私の方からは3月11日の大震災以降一時的な経済の落ち込みと生産商品そのものも冷え込んでいた状況でありましたけども、思いのほかサプライチェーンも早く回復し、消費マインドも連休明け以降活発になってきたと、そういう点では日本の経済っていうのも非常に原子力の事故等々がありましたけども回復傾向にあったと。しかし8月以降非常に円高がそれに水を差すような状況になっているので、これに対しての懸念を申し上げました。一方、日本経済全体の中でこれをどう考えて、また世界経済の中でどう考えるかということは、後で白川総裁の方から説明いただきましたんで総裁の方からお話をいただきますけども、もっぱら私の方からは、そうした状況の中で、財政の問題について報告をいたしました。ソブリンリスクをみてもそうでございますけども、やはり今や財政危機という言葉が、普通に使われる位に国債のリスクっていうのは、そのままその国の財政危機を反映しているわけであります。日本においてもご存知のようにGDPの180%というこの財政状況について、どういうふうに改善していくのか、そこが世界から求められているということで、大震災での復旧・復興経費、これ都合すると19兆というふうに今は政府は出しているわけですけれども、さらに税と社会保障を含めた改革、特に2020年にはもっぱらプライマリーバランスを黒字化していくということを謳っているわけですが、今、野田内閣になりまして具体的に工程を私の方から説明をしたということです。政府税調において19兆にならんとする財政支出については、これまでの赤字国債ではなくて、償還財源をしっかり決めて次世代につけを残さない形でこれをやっていくと。具体的には今、所得税と法人税の増税というのを提案し、話しをしている最中で、早ければ来月にも法案を提出するということを申し上げました。と同時に税と社会保障に関係しても、これもいろいろと努力はするけれど、やはり少子高齢化の中では国民の皆さんにご負担をお願いせざるをたぶん得ないということで、これについても法律をしっかり出して2010年半ばには消費税を10%にしていくと。とにかく財政再建というものを緒につけないと欧州での火事はまったく質からいうと日本は対岸の問題ではないということを私から申し上げました。そのことに関してはトルコをはじめ各国の蔵相・中央銀行総裁からも日本ということに限らず今や世界の中で財政危機を避けてとおってはならないというふうな同じ危機感が表明をされたということはこれまでにないG20だったんではないかなというふうに思います。最後に特にこの会議の声明が出ておりますので、それは財務官の方からご説明しますが、私から説明させていただいた後、白川総裁の方から日本経済、世界経済どういうふうに中央銀行として考えているかということについてお話をいただきましたのでご報告いたします。

白川総裁)  私からは、日本経済、世界経済、および、世界全体としての政策対応のあり方を中心に話をしました。ポイントを4点に分けて申し上げます。
 まず日本経済ですが、震災直後の厳しい供給制約がほぼ解消し、経済活動が着実に持ち直しているということを申し上げました。世界経済については、先行きを巡る不確実性が高まり、国際金融・資本市場の緊張も高まっていることについて説明致しました。3番目は、そうした不確実性の増大のもとで、安全資産選好が生じ、そのことが日本の円高の原因となっていることを申し上げました。そして、この円高が日本経済に対し悪影響を及ぼしていることを申し上げました。4番目は、こうした状況のもとでの政策対応についてですが、なかんずく現在、欧州の問題が大きな焦点となっています。その欧州について、既に7月の首脳会談で決まったことを着実に実行に移していくことが大事であることを強調致しました。
 
【質疑応答】
問)  今回震災の関係で大臣ご自身が宮城のご出身ということで、復興について説明されたと思うんですけども、どのような説明をされて、それに対する国際社会の反応というのはどんな手応えを感じていらっしゃいますでしょうか。
安住大臣)  3月の震災以来、復旧復興はかなりがれきの処理等が進んでいて、今、復興に向けた計画が立てられつつあると、私の方からは来月に第三次補正予算を議会に提出をして、それが成立すれば大幅な需要は国内で見込まれるということは申し上げました。あわせて国債によらないで償還財源をしっかり決めて今回は19兆という、あわせて19兆近くなりますけれども、すでに6兆出してますから。巨額の財政支出になるけれども、これはすべてこれまでのような特例公債によらないでやるんだということを申し上げました。
問)  国際社会からどんな反応がありましたか。
安住大臣)  議長からヨーロッパ、アメリカ、日本というふうに立て続けに報告を中国と求められたところでの話しでしたので、順次報告をしていったということですから、それに対する質疑ということではありませんでした。
問)  今回、G20で欧州の問題につきましては、世界経済をみましても先進国が減速する中で新興国の役割というのが大きくなっていると思うんですけども、こういう世界経済を取り巻く先進国、新興国の役割ですね、過去に比べて変化というのをどう捉えていらっしゃって、その中で日本の存在感というのが先進国経済が落ち込むという中では、今後どういうふうにして発揮していくのかというあたりを大臣と総裁それぞれどうお考えになっているのか教えていただけますか。
安住大臣)  それは経済力っていうのは衰えたという人もいますけれども、それは大きなウェイトを占めているわけでありますし、その中でもうひとつの局部であるユーロ圏が、本当に20数年前に日本が不良債権で過小評価がその後長引いた大不況の引き金になったわけですけれども、今度の問題は持っている債権が国債ときているわけですから、危機感たるやその比ではないというか、ヨーロッパ国内皆さん共有していると思うんですね。何本か、4本くらいの足で経済は何とか動かしているわけですけれども、その1本がぐらつけば当然アメリカや日本に波及効果というのは出てくるわけですから、そういう点ではいずれの国もヨーロッパに対して今のリスクの解消を強く求めて、具体的な行動に、特に7月21日の決定を速やかに履行することによって安定感を取り戻してほしいという意向がずいぶん寄せられたと思います。私が問題提起をしたのはですね、これまでの経済的な感覚からであれば、財政支出と景気対策と財政再建というのは相矛盾するという意識があったんですが、財政再建と経済成長というのは今や逆に、正比例とまでは言わないけれども、それを避けて財政支出だけをすれば景気が良くなるっていう局面は全くないと。そういう点では財政再建をすることで安心感や安定感を持った社会こそが成長するというふうな考え方をこれからの世界経済はとるべきではないかということは、私の方から申し上げました。
白川総裁)  先進国と新興国の経済は、もちろん実体経済面、金融面でリンクしています。かつてデカップリング論という議論がありましたが、完全なデカップリングも完全なカップリングもなく、真実はその中間にあるわけです。いずれにしろ、先進国、とりわけ欧州の経済・金融市場の混乱がもし広がれば、実体経済面、金融面を通じて新興国にもやがて影響して来るので、そういう意味で、この問題は、どちらかの問題ではなくて、世界経済全体の共通の問題だという認識で取り組んでいるということです。
 それから日本の貢献についてですが、日本の経済は確かに、GDPの相対的な順番は現在、第3位になりましたが、それでも日本の経済規模は非常に大きいわけですし、金融の面でもプレゼンスはなお大きいわけです。その日本がどのような状況であるのかは、世界経済に大きく影響するわけです。
 一例を挙げると、欧州の短期金融市場は緊張感を強めていますが、日本の金融市場、円の金融市場は(相対的には)非常に安定しています。世界経済が不確実性を増す中で、大きな経済規模を占める日本の金融市場が安定していることの世界経済に対する貢献は非常に大きいと思います。
 ふたつめは、現在の状況にどう対応するかという時に、日本はこの問題を先んじて経験しましたので、私どもの経験した中で学んだことを、できるだけ相手の立場に立って伝えていく努力をしていく必要がありますし、これを通じる貢献も大きいと思います。
 それから中央銀行プロパーの貢献としては、先週、日本銀行も含めて主要国の中央銀行は3か月物のドル資金供給の面でさらに協調行動を強めたわけです。これはバックストップとしての意味が非常に大きいと思います。もちろん、協力関係はこれに限るものではありませんが、引き続き中央銀行としての協力を行う中で、日本としてしっかり貢献していきたいと思っています。
問)  今日は円高についてどのような訴えをして各国からはどのような反応があったんでしょうか。 
安住大臣)  私の方からは、それぞれ報告を議長から求められている中で先ほど申し上げたような話をしたということです。
問)  特に各国から円高についての言及はなかったということですか。
安住大臣)  状況報告の中でしましたんで。声明の中には為替レートの無秩序な動きや過度な変動に対しては経済や金融の安定に悪影響を与えるということを盛り込ませることができましたので、共有の認識になっているんだというふうに思っています。
問)  白川総裁にお伺いしたいのですが、声明の中でも金融システムについてかなり言及があるようで、欧州債務危機から銀行部門への悪循環というかネガティブフィードバックがIMFの報告等でも指摘されていました。この金融部門の波及に関して今回G20の中ではどのような議論がなされ、総裁はどのようにそこでの議論を感じられたのか見解をお聞かせ下さい。
白川総裁)  今、記者の方がおっしゃったように、この会議に合わせて公表されたIMFのレポートでもそうですが、財政、金融システム、実体経済の三者の負の相乗作用が現在の国際金融市場をみていく上でのキーワードであると思っています。そうした認識を私自身も持っていますし、会議の出席者は、――もちろん全員がこの点について発言したわけではありませんが、皆が共有している問題意識だと思いました。したがって、そのフィードバックを断ち切るためには、この声明にも書かれているとおり、各国が財政の再建にしっかり取組むこと、さまざまな構造改革に取組むこと、それから金融の面では最後から2番目のパラグラフに書かれているような銀行システム・金融市場の安定化に向けた対策をしっかりとっていくことが大事だと思いますし、中央銀行については先ほど申し上げたとおりです。
問)  大臣に質問ですが、お昼にEFSF債についての言及があって、大変恐縮ですが、今夜G20のミーティングがあって世界経済の課題へ協調対応をするということで、改めてユーロ圏の国債を購入する選択肢やEFSF債の購入についてご見解を教えて頂けますでしょうか。
安住大臣)  これは総理も一部NYでご発言、会見か何かでして頂いたようですけども、私も申し上げたのは、このファシリティーをまずしっかり固めるといいますか、ユーロ圏の中で、今日もユーロ圏の方々から発言がありましたが、まず一義的には、ユーロ圏の中の問題をしっかりユーロ圏で解決していこうということだと思います。その考え方を我々は否定するものではなくて、それを尊重します。一方で、この先想定を超えるような資金の必要性というものが、この債権処理等で迫られた時には、やはり一つの受け皿としてEFSFというのはあるかと思います。ただ何か無条件でとにかくどんどん出しますということではなくて、必要があれば、我々として、欧州がそれに対してですね、きちっとこれをもって危機を処理できるようなスキームが作れるのであれば、追加の支援というのは十分考えても私はいいと思っているということです。
問)  ヨーロッパ諸国からそういった要請はもう既にあったということでしょうか。
安住大臣)  いやまだ来てません。今日もヨーロッパのそれぞれの国々からは、7月21日に決めたことについてそれぞれの国の議会で今承認を行っているところであると。来月ぐらいまでにはその実行の可能性を高めていきたいということだったので、まずはそのことについて我々としても期待を持っているところでございます。
問)  大臣・総裁にそれぞれ聞きたいのですが、今日のG20の議論の中で、ヨーロッパ側に対して、対応が遅いとかそういった不満が述べられることはなかったのか、それから、それに対するヨーロッパ側はどういう、細かいやりとりまではお聞きしませんけど、どういう印象だったのか。と言うのは、ブラジルのマンテガ大臣が今日午後会見した際、かなり不満を持っていて、かなりフラストレーションを述べていたので、その点やりとりがどうだったのか大臣にお聞きしたい。また、総裁にお聞きしたいのは、昨日FRBのFOMCが出てその中でダウンサイド・リスクがシグニフィカント・ダウンサイド・リスクという表現でかなりマーケットもそれによって動いたりしていますが、マーケットの反応はお聞きしませんけれども、今の世界経済の現状として、このFRBが言うダウンサイド・リスクがどのような状況にあるのか、また、今の状況とリーマン危機の後の世界経済の状況と比較して今どういう状況にあるとお考えでしょうか。
安住大臣)  ヨーロッパの国々の蔵相・中央銀行総裁の発言を要約しますと、順序立ててしっかりやっていると。説明不足であるということに対しては、それはあるかもしれない、しかし、例えばドイツにしてもですね、トリシェさんにしても、きちっと手続きを踏みながら段階を踏んでやっているので、そのことはしっかり説明をしたいということで、何度も今日は説明しておられました。ですから、先ほど質問にもありましたけれど、この国はいつ、この国はいつと承認を列挙されまして、10月までの間には、なんとか議会での大筋の合意を得て7月21日の行動を実行に移していくんだという説明がありましたから、そういう点では、会議のスタートの時点でそういう質問はかなりあったと思いますけども、丁寧な説明を聞いておりましたので、ある意味で10月までの間にそれぞれの議会での承認等が得られる手続きが、プロセスを得ているのかを注意深く各国が見守っているというのが正直なところだと思います。
白川総裁)  世界経済の下振れリスクについての認識ですが、日本銀行の8月初の金融政策決定会合後の発表文にもあるとおり、日本銀行自身も世界経済の不確実性の増大を強く意識しています。そういう意味では、――もちろん言葉は正確には同じではありませんが、昨日の発表文を見ながら、同じような問題意識を持っていると感じました。その背後にある原因としては、先進国におけるバランスシートの調整は、もちろん国によって部門は違いますが、――米国の場合は主として家計部門と政府ですし、欧州の場合には金融機関と政府ですが、バランスシートの調整にまだ時間がかかるということが問題の根源だと思っています。
 それから、リーマンとの比較についての質問について申し上げると、経済の局面が少し違っていると思います。リーマンの時は景気が既にピークを過ぎていました。現在の世界経済は、ごく最近までは全体の成長率が4%台の半ばと、高い成長率の状況でした。そういう状況の中で今、国際金融市場の緊張が発生しているわけですが、前回との違いを中央銀行の世界からみると、例えばドル資金供給ひとつ取ってみても、先進国間の体制は随分と整備されていると思います。危機というものは、――もちろん問題の根源は色々あるでしょうが、現われ方は流動性の危機という形で出てくるわけです。この流動性という面でみて、中央銀行の体制はしっかり組めていると思います。ただ、中央銀行の流動性供給は基本的には「時間を買う」という政策ですから、その間に(各国において)しっかりとした取り組みがなされるかどうかがポイントです。しかし、ここは予測ではなくて、そういうようにならないように各国が取り組んでいくという決意を新たにしているということだと思います。
問)  新興国側からヨーロッパに対して対応が遅いじゃないかというようなやりとりがあった?
安住大臣)  今日はそこまでのやりとりはありませんでした。
 

(以上)

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