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安住財務大臣、白川日本銀行総裁共同記者会見の概要(平成23年9月9日(金曜日))

 
 
【冒頭発言】
安住大臣)

  私にとりましては初めてのG7の出席でございまして、総裁と非公式会合で各国の財務大臣、中央銀行総裁と率直な意見交換ができたというのは有意義だったと思います。私のほうから全体のセッションの中で発言した骨子につきましてお話したいと思います。
 野田内閣が出来て一週間でございますが、総理から皆さんによろしくとメッセージを承っておりましたので、私の方からお伝えしました。
 私自身が被災地の出身であって、本当に各国の支援に感謝するということを申し上げ、そして日本の抱えている震災復興のための第3次補正予算等々政治日程を説明して、大規模な事業になると、一方、財源については、次の世代に負担を先送りしないでやろうということで野田内閣ではやっていますと。更に、税と社会保障については、しっかりと2010年代半ばに消費税を10%にさせていただいて、財源の問題を確保したいと。これはひとえに、私も会議に参加して思いましたけれども、ソブリンの問題も含めて、根底にあるのは財政再建をどうやっていくか、この話に尽きると思います。景気の動向や経済状況に著しく影響を与えないように、そこは慎重な財政運営、経済運営が必要ではございますが、しかし財政再建の問題というのは避けて通れないと、むしろ財政再建をしっかりやっていって、健全な財政運営を取り戻さなければ、経済的な成長は見込めないということの認識というのは、我が国だけでなく欧米諸国も一致した考え方ではないかと意見交換の中で確信をいたしました。
 一方、円高の問題についても私の方からお話をさせていただきました。復興のスピードが予想以上に速いと。そういう中でサプライチェーンも皆さんご存知のとおり当初1年近くかかるのではないかと思っていたものも、7月8月9月ということで工場再開してですね、特に自動車関連等々の作業についてはフル操業の段階にまで入ってきたと。そういう意味では非常に景気回復の足音というのが復興を含めて出てきたところで、円高傾向が続いているということで、景気の足どりに冷や水を浴びせかねないという状況であると。8月にそういう点で介入をさせていただいたけれども、今後も動向を注視して、機動的に、また投機的な動きに対しては断固たる措置を取りたいということは、私のほうから申し上げました。
 世界経済全体にとって、どういう風に我々が見ているかということについても、多少お話しましたが、やはりアメリカも景気対策をオバマ大統領が発表しましたし、欧州における財政問題、それぞれの国の国債の問題がそのまま金融不安に跳ね返っていると。世界全体が下振れ感がある中で、このトレンドを変えていくというのはとても大変なことであるということは私共の認識として話した訳でございます。
 だからこそ逆に日本の経済が1%、2%と成長していくということは、世界の経済にとっても大きなメリットがあるということを申し上げました。
 最後に原子力のことにつきましても、現在工程表にしたがって収束に向けて努力をしているというロードマップの進捗状況について私の方からお話を申し上げまして理解を得たと思います。
 なお、今回はG7財務大臣・中央銀行総裁における合意事項というものを作成いたしました。この作成に時間がかかったのですが、これについては後程財務官からペーパーをお渡しして、そのブリーフィングについては財務官からお話をさせていただきます。私からは以上です。

白川総裁)  ただいまの安住大臣のご説明に尽きますが、今回のG7でも非常に率直な意見交換ができ、有意義であったと思います。日本経済については大臣から包括的な説明がありましたので、私からは主として円高が日本経済に与える影響について詳しく説明しました。この円高の背景を考えてみると、世界の投資家の安全資産選好があるわけですが、その根源を辿ると、世界経済全体の不確実性の増大ということが指摘できます。なかんずく欧州、米国における債務問題が、不確実性の増加につながっています。私からは、欧州、米国が財政の問題にしっかり取組んでいくことを期待する旨、申し上げました。
 それ以外にも様々な議論がありましたが、経済政策運営との関係では金融危機の後の経済政策運営を考えるうえで、日本の経験にも言及しながら、どのような教訓をひき出し、政策運営にどのように活かしていくべきかということを説明しました。
【質疑応答】
問)  為替について、日本の方から協調介入について今後も要請するという話をしたのかどうか、それに対してどういう反応だったのかということと、アメリカ高官によると、今回のG7ではヨーロッパの話が中心であったという説明があったんですが、どのような話があって一致したのかしなかったのか、お聞かせください。
安住大臣)  為替については、私のほうから今が円高の状態で、これについて我々は非常に懸念をしているということ認識を申し上げました。相手がどういう対応をしたということについては申し上げられません。会議の全体の中身については、後ほど、財務官から合意事項について話がありますから、その合意事項の中身というのは、ヨーロッパにおけるこの金融不安の問題について率直な意見交換が交わされたということだと思います。
白川総裁)  為替介入については、財務大臣のご説明に尽きていますので、私から特に申し上げることはありません。
 後ほど財務官からご説明がある発表文書をみても、欧州の債務問題に割いている字数は多いわけであり、様々な議論がなされました。議論のポイントは欧州各国が既に7月のユーログループの会議で決めた合意内容にしっかり取り組んでいくことが大事であること、欧州の金融の安定にしっかりと取り組んでいく必要があるということで意見が一致していたと思います。
問)  欧州以外の国の役割についてはどのようにお考えでしょうか。
白川総裁)  発表文書にもありますが、現在、FRB、欧州中央銀行、イングランド銀行、スイス国立銀行、カナダ銀行、日本銀行はスワップ協定を結び、ドル資金供給を行っています。こうした中央銀行による流動性の供給は今もしっかりと行っていますが、今後もしっかり行っていくということは改めて確認されています。
問)  円高の説明をされた際に、今年3月に行われたように協調し対応をお願いしたいという、協調してというお話はされているのでしょうか。
安住大臣)  協調という言葉は使いませんでしたが、理解という言葉は使いました。私のほうから。
問)  何の理解を求めたんですか。
安住大臣)  円高の認識といざというときは断固たる措置をとるということの理解を求めたということです。
問)  それに対する反応というのは特に何かあったのですか。
安住大臣)  申し上げられません。付け足すと、それに対して特段何か発言を求めた国はなかったということは事実です。
問)  財政再建の重要性で一致したということですけども、先月、財政問題がフランスにも波及して、急遽増税法案を発表し混乱しているようです。大臣は、増税というのは心苦しいけれどもお願いしたいと言うことをおっしゃっていましたが、改めて日本国内に対して、税金を上げるということに対してどのような気持ちで臨まれるのかということについて教えてください。
安住大臣)  野田総理は総理就任時、また代表選挙の時も、次の世代に負担を回す、付け回しをするのではなくて、我々の今を生きる世代で頑張って復興にかかる費用や特に税と社会保障の問題を解決していこうと訴えました。私はそういうことをしっかり公約に掲げて総理になったというのは非常に重いことだと思っております。このところの世論調査を拝見しても、日本の国民の皆様の半数を越える方々が、税負担に対して理解を示していただいていると。これは裏を返せば、いかに我が国の財政問題が危機的な状況にあるかということに対しての認識が深まっていると思っております。私としては、この欧州、アメリカもそうですが、経済不安、金融不安の背景にあるものは結局我が国と同じで、財政の健全性が市場から問われているわけですね。そういう点から言っても、勿論政治や行政への信頼がなくしてそういう増税をすることはできないわけですけれども、我々自身がまず信頼を得て、その上で心苦しいことではありますけれども、日本の経済の成長をを確実なものにするためにも、ある程度の財政負担はお願いせざるを得ないだろうと思っておりますので、そのことについては、私が就任してから全く変わっておりません。今回G7にお邪魔して、いかに欧州が自らの財政運営に苦しんでいて、それが金融問題に波及しているのかというのを目の当たりにいたしましたので、なおさらその気持ちを強くしたというところでございます。
問)  円高と世界経済との関連の話ですけれども、円高の背景に世界経済の減速や財政再建に対する不安というものがあって、円高に繋がっているということもあると思うのですが、今回の会議を通じて財政再建、世界経済の反転ということに向かっていって、円高が是正されると、そういったことにまで繋がるような会議なのか、どのような認識をお持ちでしょうか。
安住大臣)  欧州の問題というのは見方によっては歴史的な時期だと思っております。財政出動によって景気を良くしていこうというパターンは今までずっと続いてきたわけですけれども、今や日本もそうですけれども、世界的に財政の健全性というものがそのまま株価に反映し、それぞれの中央銀行以外の市中銀行の信用にかかわってくると。やはりそれは成熟した国家にとって成長していく投資先が中々見つからなくなって、どうしても国債を引き受けるというパターンは続いてきたと思うんですね。であればこそ、国債を発行する元の財政運営がいかに健全であるかということはどうしても問われてくる訳です。それに応えていかないと、市場は非常に厳しい目で見ていると思うんですね。そういうことから言うと、一見矛盾するように思うかもしれませんが、我が国においても税と社会保障でしっかりと財源を確保して、国民の皆さんに逆に安心感を持っていただく、世界から見ても安心感をもっていただくことで、経済成長の土台が出来てくるのではないかと思っております。
白川総裁)  先進国の財政の悪化は、バブル崩壊後・金融危機後の経済の落ち込みという要因と、高齢化の進行に伴う社会保障の支出の増加の問題、あるいは過去の様々な施策の結果であり、こうした財政の姿が本日のG7で直ちに変わってくることはもちろんありません。ただ、大事なことは、財政健全化の大きな方向に向かって、各国が取り組んでいくということです。そうしたことについて、今回もずいぶん色々な議論が行われました。実際にどのような取り組みがなされていくか、各国それぞれの政府・議会が決めていく話ですから、今回のG7と直結するかたちで今のご質問にお答えすることは難しいですが、いずれにしても、そのような方向が大事であるという認識が共有されていると思います。
問)  円高について、各国に理解を求めるということで、反応については言えないとのことですが、大臣ご自身は理解を得られたと実感してらっしゃいますでしょうか。
安住大臣)  事実関係は理解を得られたと思っています。現に復興からの力強い足音が聞こえてきた中で、サプライチェーンも回復をしてきたと。十分消費も活発になりつつある中で、急激な円高によって統計的にも落ちているということを説明しました。そういう点では私の説明に対して異論を挟む国はありませんでしたので、私としては、私共の為替の認識というのは理解をいただいたと思っております。
問)  合意文書の中で、中央銀行に関する段落があると思いますが、この中で、金融システムや金融市場を安定化させるために必要があればアクションをとるとの書きぶりがあると思います。これについては金融政策の追加緩和を意味しているのでしょうか、それとも信用秩序の維持に関しての資金供給などを意味しているのでしょうか。また、日本銀行にとってはこの段落全体がどのような意味合いを持っているのか教えていただけますでしょうか。
白川総裁)  この第4段落ですが、(ご指摘の部分の表現の)主語は「我々は」と始まっており、これは中央銀行と政府の両者を含めて「我々は」と表現しています。したがって、もちろん中央銀行による流動性供給も含めて、また、政府の取り組む様々な、例えば資本面での取り組みを含めて、当局として「銀行システムと金融市場の強固さを確保するため、必要な全ての行動を取る」という、文字通りの意味です。
 金融政策については、前の文章に書いてあり、「物価の安定を維持し、引き続き経済回復を支える」、これはまさに日本銀行も含めて各国中央銀行が現に取り組んでいることを改めて書いているというように思います。
 それから、その次の文章の、「必要な場合に銀行システムに流動性を供給する準備がある」、これは中央銀行とって当然のことです。現在のように経済の不確実性が増している、金融市場でも非常に神経質な地合いであるときに、金融市場の安定を確保することは中央銀行の責務であり、改めてそうした責務をここで確認し、日本銀行も含めてこうしたことを現時点で取り組んでいるということだと思います。
問)  今日はユーロ安が進んでおりまして、そういう時にG7が開かれたと。今回のG7を総括して、今の金融市場の不安定な状態を安定化しているというようなメッセージを聞かせたと認識しているのか、それともまだ足りない部分があると思われているのでしょうか。
安住大臣)  合意事項については、普段であればそういうペーパーを出さない訳ですけれども、今回やはり合意事項をペーパーにして皆さんにお配りしたというところに、我々自身、またG7全体の危機感というか現状に対する認識というものは表れていると思っています。
白川総裁)  マーケットの反応に関しては、私の立場でのコメントは差し控えますが、金融市場の安定に向けて、必要な政府・中央銀行の取り組みの基本的な考え方はしっかりと書かれていると思います。そのうえで、当局がしっかりとこうした線に沿って取り組んでいくことが大事だと考えています。
問)  財政再建につきまして、大臣も強くおっしゃりましたけれども、一方でアメリカは足下の景気の下振れを認識されて雇用対策を打たれたと。成長と財政再建のバランスというのは、G7でどのような議論がされたのでしょうか。
安住大臣)  アメリカの場合は、上限問題の時に歳出削減を方針として既に出しているわけですよね。その上で可能な限り経済対策を大統領として発表なさったという訳ですから、財政再建を放棄して財政支出をとにかくじゃぶじゃぶ出せば景気が良くなるという認識はアメリカも全く持っていないことは事実だと思います。財政再建をしっかりやることを前提としてやっていかないと、金融不安そのものに跳ね返っていくという状況だということを皆さんが共有したということは事実だと思います。
 

(以上)

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