野田財務大臣記者会見の概要(平成23年8月24日(水曜日))
| 【冒頭発言】 | |
| 急激な円高の進行に対して早急に対応措置を講じ、民間円資金の外貨への転換の促進による為替相場の安定化等を図るため、今般、円高対応緊急パッケージを取りまとめました。 具体的には、第1に、1,000億ドル規模の円高対応緊急ファシリティを創設し、外為特会のドル資金を国際協力銀行、JBICを経由して活用するという内容でございます。これにより日本企業による海外企業の買収や資源エネルギーの確保、中小企業の輸出等の促進を図り、民間の円資金の外貨への転換を促進するというものです。期間については1年間の時限措置といたします。 第2に、為替市場における投機的な動きに対してモニタリングを強化するために、主要金融機関に対して為替トレーダーが保有する外国為替の持ち高、ポジションを当面9月末までの期間、報告するよう求めることといたしました。 これらの措置により、最近の為替市場における一方的に偏った円高の動きが是正されることが期待をされますが、当局としては市場において投機的な動きがないか、これまで以上に注視し、今後ともあらゆる措置を排除せず、必要な場合には断固として行動をしていく決意でございます。 私からは以上でございます。 | |
| 【質疑応答】 | |
| 問) | 先週末に海外市場で円が戦後最高値を更新したわけですけれども、それから2営業日置いてからの今回の対策発表ということになりました。2日間とはいえブランクがありましたが、なぜこの時期に発表されたのか、まずお願いします。 |
| 答) | 先週末からの動き、そして引き続きマーケットを緊張感を持ってチェックをしてまいりましたけれども、依然として一方的な、偏った円高の動きが進行しているという状況を踏まえて、早急に対応策を講じなければいけないという思いで、こういうパッケージを決めたということでございます。 |
| 問) | パッケージの中で今回緊急ファシリティとして発案されましたこのフレームですけれども、日本経済の国際化、あるいは円の国際化という意味ではこういった取り組みというのは単発的なものではなくて、継続的に、構造的に取り組むべき課題ではないかというふうに思いますけれども、そういった点について今後の取り組みとしていかがお考えでしょうか。 |
| 答) | 中長期に取り組まなければいけない課題もあると思います。でも、今回は緊急的な、時限的な対応ということでございますので、位置付けが少し違うと思います。 |
| 問) | 今回の措置による効果をどれ位見積もっているか、何かありましたらお願いいたします。 |
| 答) | 少なくともこの外為特会、JBICを活用して、こういう公的部門からの融資を通じてまさに民間部門においていわゆる円転、円投ですね、いわゆる円資金を外貨に転換をさせて投資をするという動きを加速させながら、これが為替の安定につながるように期待をしたいと思いますし、そのことによって、長期的には国富の増大にもなりますので、そういう願いを込めての政策手段でございます。着実にこれを実施しながら、効果が上がるように進めていきたいというふうに思います。 |
| 問) | この策について海外の、欧米の当局とはどのようなやりとりがあったか、ご紹介いただければと思います。 |
| 答) | これについては特に海外当局との連携というよりは、既存の国内のまさにやれることを総動員するという観点から緊急の対応であって、特段、法律の改正を伴うものでもございません。また新たに予算措置を必要とするものでもございません。今、我々の持っているいわゆる武器、資源の中で対応できるものについて知恵を出してまとめたということでございます。 |
| 問) | 本件と直接は関係ありませんけれども、今朝のムーディーズの格下げの件について、今回のその理由が財政赤字、政府債務の増大、そして政治の不安定感というのも一因になったというふうに聞いておりますけれども、こういった理由も含めて受け止めをお願いします。 |
| 答) | 民間の格付け会社のご判断について、政府として逐一コメントするということは控えたいと思いますけれども、ここ最近の特に震災以後、さまざまな機関の国債入札を行ってまいりましたけれども、いずれも円滑に、着実に入札が出来ております。ということで、日本国債に対する信認は決して揺らいでいないと思います。政治的なお話ございましたけれども、だからこそ政治空白を作っていけないと思っていますので、しっかりとそれは、必要な対応は適時適切これからもやり抜いていきたいと思います。 |
| 問) | これはあえて国内の民間企業に円資金を提供することではなくて、ドル資金を提供することで政府の立場としてはあくまでこの間のG7で確認されたように、為替の動きについては市場の動きを尊重しつつ、あくまで民間の動きによって、民間企業が円資金を海外に投じることによって円安方向に促すと。政府としてはある程度中立性を保ちながらという理念があると考えてよろしいでしょうか。 |
| 答) | 基本的にはそうです。公的部門を活用しながら、外為特会、JBIC活用しながら、要は民間の動きを、言ってみれば公的部門の動きを呼び水としながら、円滑に、スムーズに、例えばM&Aであるとか資源の確保、既に民間の部門でご努力いただいている部分もありますけれども、それをきちっと後押しを出来るような、そういう状況を作っていきたいという思いでございます。 |
| 問) | 例えば民間の鉄鋼会社なんかが海外の石炭とか鉄鉱石などを買う場合には、政府としてはどういうオペレーションになるのでしょうか。 |
| 答) | これは例えば中小企業の場合の対応とかいろいろあります。個別のケースはきちっとJBIC等を通じながら対応していきたいと思いますし、特に法改正とか予算措置を伴うものではございませんので、速やかに実施出来ますので、JBIC等でそういう相談部門を早急に立ち上げていただきたいと考えております。 |
| 問) | 1年間の時限措置となっていますけれど、1年後は状況を見てどのように判断されるのでしょうか。 |
| 答) | それは、いわゆる過度な円高が進んでいるかどうか、この政策効果が出てきた場合には、もちろん時限措置で、緊急の対応でございますので、この期間が延びることのないような、そういうことで終わりたいなという思いでいっぱいでございます。 |
| 問) | 今回緊急対応ということで行われましたけれども、今後予備費などを活用した例えば中小企業向けの対策とか、そういったところについてはどういうふうに検討されるのでしょうか。 |
| 答) | これも引き続き経済の動向を見ていきながらの判断があると思います。こういう形で予算措置や法改正を伴わない形でも出来るものもこれから随時考えていきたいと思いますが、一方で予算が必要なものについては、例えば円高経済対策については予備費の活用というのも1つ視野に入りますし、加えて第3次補正予算の編成において、第3次補正予算は本格的な復興予算という位置付けでありますけれども、一方で経済対策を講じる必要があるならば、そちらも視野に入ってくるだろうと思います。 |
| 問) | 今日の格下げの理由の1つになっている財政再建について、改めてどういう取り組み、また増税に関してどういうお考えで取り組まれようと思っていますか。 |
| 答) | 格付けの逐一コメントはしないと申し上げましたけれども、財政の再建というのは、これは避けて通れません。避けて通れない時に、例えばEUも債務の問題、そしてアメリカにおいても債務の上限問題、それぞれの財政状況が原因となって1つの経済の不安が生まれているということは事実でございます。ということは、そういう世界経済の動向をよく踏まえて、一国財政主義、一国経済主義に陥らないような注意深い対応は、私は日本において必要だと思っています。 |
| 問) | 増税に関してはいかがでしょうか。 |
| 答) | 注意深い対応というのはそういうことです。先送りをしていけないものは先送りをしないということが大事ではないでしょうか。 |
| 問) | 今回の円高の背景で、アメリカと欧州の色々な、日本以外の要因があったとも言われておりますけれども、改めて円高の背景、どのように分析されていて、今回の対策はどの程度効果があるものなのでしょうか。 |
| 答) | 1つには、欧米のさまざまな、いわゆる対外的、海外による要因というのはあると思います。そのことによって相対的に日本の円が買われるという状況が基本的にはあると思いますが、一方で、やはり投機的な動きも、私はこれ注意深く、引き続き見ていかなければいけないと思っておりますので、そういう意味でこういう円高が定着をする、あるいは更に進むということに対する政府としての強い覚悟とメッセージを打ち出すという意味で、今回のパッケージをまとめたということでございます。 |
| 問) | 為替の持ち高の報告を求めるということですけれども、これはその報告を求めて、仮にその持ち高がかなり偏っているという場合にはどういう対策を取られるのでしょうか。 |
| 答) | とにかくその状況把握、モニタリングの強化をすることが大事であって、その結果をどうするかというのは、出てきたものによって対応だと思います。これも法律上はありますけれども、異例の措置でございますが、しっかりやっていきたいと思います。 |
| 問) | 今回の円高対策ですが、今週アメリカではジャクソンホールでバーナンキ議長が講演して、一定の追加緩和策が出るんじゃないかと。更に、アメリカの中では年末にかけて追加緩和をするという話になっていて、そういった構造的にアメリカがどんどん金融緩和していく時に、今後この緊急パッケージがどんどん、更に追加されていくのか。そういったアメリカの金融体質をどのようにご覧になっていて、またどのように対応されるお考えでしょうか。 |
| 答) | まだどういうお話になるか、今一定の仮定でお話をされておりますけれども、ともかくこの週末のバーナンキ議長のジャクソンホールにおける講演については、これはよく把握をしていきたいと思います。その上で政府として取り組まなければいけないこともあります。一方で、これは日本銀行ともしっかり連携して、金融政策を通じて日本経済、特に円高の対応をしていただく部分もあると思いますので、十分と連携をしていきたいと思います。 |
| 問) | それは、議長が追加緩和と言ったら、もう一段日本としても。 |
| 答) | 仮定の話ですから、それはお答え出来ません。 |
| 問) | そういう用意はありますか。 |
| 答) | 仮定の話ですから。しっかり日銀と連携をしていきたいと思います。 |
| 問) | この円高が続いたり、さらに悪化する場合には、このパッケージを更に金額を大きくしたり、それなりの何か用意というのはあるのでしょうか。 |
| 答) | まずはこうした政策を着実に実施する。その効果がどう現れるか、それを見ての判断をしたいと思います。 |
| (以上) | |
