現在位置 : トップページ > 広報・報道 > 大臣等記者会見 > 野田財務大臣、白川日本銀行総裁共同記者会見の概要(平成23年4月15日(金曜日))

野田財務大臣、白川日本銀行総裁共同記者会見の概要(平成23年4月15日(金曜日))

 

於:ワシントンDC

【冒頭発言】
野田大臣)  昨日から今日にかけまして、G7財務大臣・中央銀行総裁会議、G20財務大臣・中央銀行総裁会議が行われまして、私と白川総裁で出席させていただきました。
 G7については、昨日もお話させて頂いたとおりでございまして、私からは特に3月18日の協調介入に協力を頂いたことに感謝を申し上げ、引き続き、市場を注視しながら適切な協力をしていくことを呼びかけさせて頂きました。
 G20では、世界経済、フレームワーク、国際通貨システム、一次産品、金融規制等、従来からG20として取り組んできた課題について議論をいたしました。
 日本の震災については、世界経済を議論した昨晩のディナーにおいて、私から、要約を申し上げますと、困難な状況にもかかわらず日本社会は一体感を維持していること、経済への影響について現時点で確定的なことをいうことは困難ですが、短期的には経済が落ち込み、その後、復興に向けた動きが本格化するにつれて経済活動も回復に転じると見込まれること、原子力発電所の問題、電力の供給不足、グローバル・サプライ・チェーンを通じた影響、の3つの不確実性に留意する必要があること、日本からの輸出品に関する風評被害に関して、各国には、科学的事実に基づいた冷静な対応をお願いしたこと、を申し上げ、最後に、日本が必ず再生し、復活し、これまで以上に素晴らしい国になるという決意をお伝えしました。
 日本の震災に関して、今回のコミュニケにおいては、日本の人々との連帯意識、必要とされる如何なる協力も提供する用意があること、日本の経済と金融セクターの強靭さへの信任をG20として表明することとしました。また、経済面での不確実性を増加させた要因として、中東・北アフリカ諸国と並んで、日本の出来事が挙げられています。
 G20の詳細な結果は、コミュニケにまとめられたとおりですが、フレームワークについて、今回の会合までに作成することが目標とされていた、「参考となるガイドライン」に合意いたしました。今後は、対外的な持続可能性を推進するために、不均衡の性質や調整の障害となっている原因をより詳細に評価する、第二段階の議論を進めていくこととなります。私からは以上です。
白川総裁)  今回のG20では、世界経済の回復は拡がりをみせており、民間需要が力強さを増す中で、より自律的なものになっているとの認識で一致しました。もっとも、世界経済の先行きを巡る下方リスクは依然残っており、各国は、景気回復を強固にし、リスクを軽減するために必要な措置を講じていくことについて確認しました。中東・北アフリカ情勢や日本の震災が、実体経済の不確実性とエネルギー価格の不安定な動きに繋がっているという認識も示されました。
 私からは、震災の影響を始め、わが国の金融・経済情勢を中心に説明を行いました。まず、わが国の金融システムや金融資本市場が、震災後も高い頑健性を維持していることについて説明しました。そのうえで、日本経済は、当面、生産面を中心に下押し圧力が強い状態が続くものの、政府・民間における復旧・復興に向けた取り組みが進み、供給面での制約が和らいでいくにつれて、緩やかな回復経路に復していくとみられることも説明しました。
 金融政策面では、日本銀行が、震災後、金融市場の安定に向けた潤沢な資金供給や金融緩和の強化、さらには被災地金融機関への支援措置といった様々な措置を講じてきており、今後とも、日本の金融市場と実体経済を強力に支援していく方針であることを申し上げました。
 このほか、日本銀行の中曽理事が議長を務める「コモディティに関するスタディ・グループ」について、これまでの議論の内容を報告するとともに、引き続き、7月の最終報告に向けて、関係者の間で作業が進められていることを説明しました。
 なお、コミュニケの冒頭にもあるとおり、今回の会合、あるいは、会合外での意見交換も含めて、G20各国から、震災により様々な困難に直面している日本の人々との連帯意識や、必要な支援を提供する用意があること、さらには、日本の経済や金融システムの強靭さに対する信認が表明されました。こうした各国の支援と理解に対し、私自身、深く感謝するとともに非常に勇気づけられたことを最後に付け加えたいと思います。
【質疑応答】
問)  今回の会議の2日間を振り返ってご自身でどのように評価されているか、特に大臣については、「今回、日本経済に関して信任を得るために来た」と仰られていたが、それについて信任を得ることが出来たとお考えかどうかというのをお聞かせ下さい。
野田大臣)  今回は、3月11日に大震災が発生をして以来、国際社会の中で今までの我が国の取り組みを説明しながら、これから我々が頑張っていくことについて、各国の協力を取り付けながら、そして基本的には、世界経済に復活して貢献できる日本というイメージを持って頂けるかどうかということが最大のポイントだったと思います。これについては、G7でもG20でも私と総裁からきちっとご説明申しあげて、基本的にはご理解を頂いたと思っております。これからも日本の動きを注目しながら、必要があれば何でも協力するというお言葉を各国の代表から頂いておりますので、基本的には、最初の、初期の目的ということは達成できたのではないかと思います。
白川総裁)  初期の目的を基本的に達成したという、ただ今の大臣のご発言と全く同じ感想です。今回G20あるいはG7に先立ち、非常に慌しい日程でしたが、ニューヨークで外交評議会(Council on Foreign Relations)という会合に出席し、そこでも震災後の日本経済の状況や日本の取り組みについて説明しました。そうした一連の会合・意見交換を通じての私の印象について申し上げます。
 日本銀行に近い世界からお話しすると、まず、こうした危機、震災の直後として一番大事なことは、金融、決済のインフラがしっかり維持されるということですが、こうした点について、日本の強さを評価する声が多かったと感じました。
 それから、経済についても、現在直面している厳しい供給制約を、状況としてはもちろん認識する一方で、その供給制約が和らぐにつれて経済が緩やかな回復軌道に復していくという日本の説明に対しては、大筋理解が得られていると感じました。ひとつひとつの論点について議論するわけではありませんが、全体としての経済の道筋について、認識の共有が図れたと思っています。
 そうしたことにも増して、会合に出席された方々から、日本の取り組み、あるいは日本の社会の強靭さ、復活力ともいうべきものについて、非常にご理解をいただいたと感じました。それだけに、我々としてはしっかりと復旧・復興に取り組んでいく必要があることを改めて感じました。
問)  初期の目的を果たされた、信任を得られたということですが、改めて、コミュニケの中に日本の大震災に対して、各国で一丸となってその支援をしていくという姿勢が示されたというのはある意味異例なことだと思うのですけれども、こうした文言がコミュニケに入ったことに対してどう思われるでしょうか。それから、日本の製品に対する風評被害に冷静な対応をお願いしたいということをおっしゃっていましたけれども、それを各国に伝えてご自身としての感触はいかがだったか、また今後風評被害を食い止めて行くためにどういうことをしていくべきだと思われているのか教えてください。
野田大臣)  今回、コミュニケの特に冒頭のところに日本への連帯と、そしてこれからもしっかりサポートしていく、協力していくというような文言が盛り込まれました。これについては、もちろん日本経済が世界経済の中でもともと存在感があるということであって、それを踏まえて世界も日本の復興に向けて協力しなければならないという基本認識があるということが大前提だというふうに思いますけれども、それに加えて総裁とともに今取り組んでいることについて、風評被害のお話もございましたけれども、日本経済にとっての不確実性として、やはり原発の問題で企業や個人のセンチメントの問題、そして風評被害を含めての問題、サプライチェーンの問題、電力供給の問題等々、問題点も率直に挙げながらご説明を申し上げました。そういうことに対してご理解が進んだということが、こういうコミュニケという形になって共感していただけたのではないかと思います。ということは、これからもきちんと我々の持っている情報については、迅速かつ正確に世界に向けても発信をするということが、逆に世界から協力をいただくために必要不可欠な条件ではないかということを改めて体感したというふうに思っています。
問)  G20各国の力強い支援が今回のコミュニケでも載りましたけれども、こうなると日本経済をしっかり立て直していかなければいけないということになると思います。改めてこういう形でG20の連帯とか支持を得られたということで、復興に向けた意欲といいますか決意、改めてお聞かせ願えますか。
野田大臣)  今回、G7、G20それぞれにお礼申し上げましたけれども、実は日本に対する支援の申し込み、あるいは具体的なご支援というのは世界の130カ国以上の多くの国際機関からこういうご支援をいただいております。こういう皆さんのご期待に、ご支援に応えるためにはしっかりと復活、復興を果たして、そして今まで以上に世界経済に貢献できる日本を造っていくということが最大の返礼だと思っています。ということを、今回のG20を通じて胸に刻んで、これから復旧のための予算、復興のための予算というものを作ってご期待に応えていきたいと思います。
問)  各国の理解を得られたということだと思いますけれども、今日のガイトナー長官との会談の際には原発のリスクのことを聞かれて大臣はお答えになっていますし、昨日ラガルド大臣は会見で日本に震災対応、原発がどうなっているのか聞きたいという話をおっしゃっていて、今日の会見でラガルド大臣にきちんと聞きたかったことを情報が得られたのかと聞いたところ、それに対する答えはありませんでした。各国の中に、まだ特に原発に対する問題などでやはり不信感というのが残っていて、そういった部分に漂う懸念というのはぬぐえなかったと思うのですけれども、大臣としてはその辺どのようにお感じになって、何をすべきだと思われているでしょうか。
 総裁、IMFは、この間発表した世界の経済見通しで、2011年の日本の経済成長率を0.2%ポイント引き下げて1.4%にしています。この比較的小幅の修正は、日本における電力の供給不足と原発の問題があと2〜3か月ぐらいで解決する、との前提に基づいています。しかし、電力供給についてもまだ先が見えない感じがしていますし、原発も2〜3か月で問題が解決されるとは多くの人は思っていないのではないかと思います。世界の見ている日本経済のリスクと、今日本が抱えているリスクには少し落差があるのではないでしょうか。
 同じ点で大臣にお聞きしたいのですけれども、電力供給対応、同時に原発のリスク対応、そこにはやはり日本にはかなり遅れがあって、そこの努力がまだ足りないという面はないでしょうか。
野田大臣)  随分否定的なご質問だったというふうに思います。原発に対する不安というのは、我が国民も持っています。というのは、まだ事態が収束していませんから心配な気持ちがあると思います。それは各国のリーダーもそうだろうと思います。だけどその中で、今どういう取り組みをやっているのか、これからはきちんと正確に、そして迅速に情報提供して皆さんと共有していきたい、その上でご協力をお願いしますということの、基本姿勢についてラガルド大臣からもガイトナー長官からも、さらに質問とか反論とか異論があったわけではありません。ということは、現時点での取り組みは大変だろうけれども頑張ってねという想いは逆に伝わってきていますので、今回のそういう意味での初期の目的は達成できているというふうに思います。
問)  情報提供に遅れは今までなかったのでしょうか。
野田大臣)  情報提供、これから迅速かつ正確にやっていくということをお約束したということですから、これまでそうでなかった部分もあったのかも知れません。そういう説明をさせていただきました。電力の供給についても、今の政府の中で決めたこと、供給面での積み増しであるとか、あるいは大口需要家、小口需要家、家計によって役割分担で、夏が一番大変ですけれども、それに対応するべく計画停電という形はもうやめて乗り越えようとする取り組みについてはご説明させていただきました。
白川総裁)  IMFの見通しに限らず、経済見通しというものは、結果的に上にも下にも乖離し得るものです。振り返ると、2010年の日本経済の成長率は、IMFの年初の見通しに比べ、結果的には大幅に上振れました。見通しにあたって大事なことは、ある一本の数字について考えるのではなくて、様々な不確実性を意識して、そのうえで経済がどのように展開していくかを点検していくことであり、そのための出発点として数字があるということだと思います。
 そう考えた場合、不確実性の発生する原因として、サプライチェーン、あるいは電力、原子力発電所の状況を意識したうえで経済の先行きについて見通しを立てていくという点においては、IMFも、日本における民間の見通しも、それほど大きな違いがあるとは思いません。いずれにせよ、数字の小さな違いを議論するよりは、大きな経済の流れをみていくことが大事だと思います。
問)  今回のコミュニケの中に先程大臣も総裁もおっしゃっていらっしゃいましたけれども、経済の不確実性とかエネルギー価格の高騰について日本、JAPANという言葉がコミュニケの中に入ったということに関してのもう少し詳しい説明と、お二人のご感想をいただけますでしょうか。
野田大臣)  中東・北アフリカ諸国と日本での出来事は、経済面での不確実性というところで、不確実性という表現にはなっています。それは確かに未曾有の大震災ですし、そのことがどれだけ日本経済、世界経済に影響があるか、まだ確定的に評価できる段階にはございませんので、不確実性という言葉が出ることは、これはやむを得ないというふうに思います。このエネルギー価格の緊張と日本の問題は直接関係はないと思います。
白川総裁)  私も今の野田大臣のお答えとまったく同じ感想でありますので、あえて繰り返しは避けたいと思います。
問)  当面、復旧・復興に全力を挙げることをお考えかと思いますが、一方で大臣おっしゃられたように、財政健全化の道筋を辿らなければいけない、これを踏み外すわけにはいかないと。6月の税・社会保障の一体改革、これはなかなか当面、復旧・復興に全力という中ではスケジュール的にかなり厳しいと思いますが、財政再建の道筋、中期的な財政戦略というのを世界に向けて、G20各国に向けてお示しできる時期、これは少なくともやはり年内ぐらいにそういったものがお示しできるものなのか、その辺どういった決意で臨まれたのかお話をお聞かせください。
野田大臣)  まず最優先で取り組むべきことは、仮設住宅設置であるとか、膨大な瓦礫の山をどうやって撤去するか、そのための復旧のための予算をこの4月中に国会に提出すること、これにまず専念したいと思います。その後、復興に向けた予算を作っていくという作業に入ります。復興に向けた予算を作る際には、財源をどうするのかという議論に当然なります。最初の復旧の予算については、国債発行はしないつもりであります。復興に向けた予算作りはそれ相当な規模の財源確保が必要になってきますので、これをどうするのかという議論は与野党で真摯に向き合ってやっていかなければいけません。その議論で決着をつけるときに、財政規律からいわゆる外れているのか外れていないのかということを気にする人たちも相当いるだろうと思いますので、年内というお話がございましたけれども、復興の予算は復旧予算を作った後に速やかに着手をしていくわけでありますので、そこで一定の結論が出るときには、中期的に日本が財政の健全化への道筋を歩んで行くのかどうかということをセットで出さなければいけないというふうに思っていますので、年内よりもっと早いと思います。しかも、財政運営戦略、向こう10年のものを作っていますが中期財政フレーム、これは3年分です。毎年、その目標を達成するために年央に見直しをすることになっていますので、時期的にもその頃に符合するだろうと思います。
問)  多方面な質問が各国から一連の会議で寄せられたと思うのですけれども、その中で各国の日本経済の不確実性に対する興味の対象というか、どの辺に一番関心があったとお感じになりましたか。
野田大臣)  不確実性というのは、震災の影響がどう出るというのがまだ確定的にいえない部分がまだあるということです。一方で、各国がどの国も評価していただいたのは、日本の経済・金融システムの強靭性ということであります。不確実性はありますけれども日本の底力はきちんとしているという評価は逆にいただいているというふうに思いますので、不確実性のあるものを取り除いていくことによって、日本は力を発揮していくという期待感を持っていただけたものと確信しています。
 

(以上)

財務省の政策
予算・決算
税制
関税制度
国債
財政投融資

国庫

通貨

国有財産

たばこ塩


国際政策
政策金融・金融危機管理
財務総合政策研究所