野田財務大臣、白川日本銀行総裁共同記者会見の概要(2月19日(土曜日))
| 野田財務大臣、白川日本銀行総裁共同記者会見の概要 | |
| (平成23年2月19日(土曜日)) | |
| 於:フランス・パリ | |
| 【冒頭発言】 | |
| 野田大臣) | 昨日夕方から先程まで、G20財務大臣・中央銀行総裁会議が行われまして私ども出席させていただきました。会合の詳細な成果は、もうお配りされていると思いますが、コミュニケにまとめられているとおりであります。私から簡単にポイントを紹介させていただきたいと思います。 今回の会議は、フランスが議長国となって初めてのG20の会議でございました。議論の結果、11月のカンヌでのG20サミットに向けて良いキックオフができたのではないかと思います。 具体的には、まずフレームワークについてでありますけれども、統合された二段階のプロセスを通じて、政策措置を必要とするような継続した大規模な対外不均衡に焦点を当てることを可能にする一連の項目として、(i)公的債務と財政赤字、民間貯蓄率と民間債務、(ii)貿易収支、投資所得及び対外移転のネットフローから構成される対外バランス、とすることで合意をいたしました。今後は4月の次回会合に向けて、これらの項目を評価するための「参考となるガイドライン」の内容を検討していくこととなります。 国際通貨システム改革については、@資本フローへの対応についての一貫した手法や措置、A資金セーフティ・ネットを通じたショックの予防や対処能力の強化、等の議論を通じて、その機能を強化していく作業計画に合意をいたしました。 一次産品価格の変動については、国際機関と協働しつつ、価格変動の要因や、消費国・生産国双方への影響について検討を深めることとしました。 今回の合意事項について議論を進展させることで、G20として着実に成果を上げていくことが国際社会にとって重要であり、私ども日本も積極的に貢献していきたいと考えています。以上です。 |
| 白川総裁) | 今回のG20では、世界経済の回復は強固なものになりつつあるが、先進国と新興国の間で回復ペースは一様でなく、下方リスクは残っているという認識が共有されました。そのうえで、強固で持続可能かつ均衡ある成長を達成するため、各国が協調した政策措置に取り組むことを再確認するとともに、政策措置を必要とする継続した大規模な不均衡に焦点を当てることを可能にする一連の項目に合意しました。 この間、商品市況の上昇に関しては、その背景や価格の上昇がマクロ経済・金融面に与える影響を分析し、G20に報告するためのスタディ・グループを立ち上げることが決まりました。その議長は、日本銀行の中曽理事が務めることとなりました。 私からは、わが国の最近の金融経済情勢のほか、日本経済が抱える中長期的な課題として、他国より一足早く急速な高齢化が進展するもとで、成長力の引き上げが重要な課題になっていることなどを説明しました 国際商品価格の上昇を巡っては、商品市場の健全な発展が重要であることを指摘しつつ、対応について検討を進めるためには、まずは、最近の市場の動向に関する理解を深めることが大前提であり、スタディ・グループの設置を評価する旨を述べました。 さらに、国際的に活動するシステミックに重要な金融機関─いわゆるG-SIFI─に係る規制については、次の2点を主張しました。第1は、追加的な自己資本の賦課だけに偏らず、実効的な監督や破綻処理の枠組みの整備を含む、包括的な対応策を用意する必要があることです。第2に、追加的に賦課する自己資本の規模は、当該銀行が金融システムに与えるリスクの大小に応じて定める必要があることを指摘しました。 |
| 【質疑応答】 | |
| 問) | 貿易不均衡の話ですけれども、採用された指標についてお話を伺いしたいのですが、どういう経緯でこれが選ばれたのか、また事前に挙げられていた4つの指標とずれていると思うのですけれども、その中でどのような議論が行われたのかご紹介いただけますでしょうか。 |
| 野田大臣) | ずれてないんです。表現の問題です。中身は、例えば先程申し上げた貿易収支、投資所得及び対外移転のネットフローから構成される対外バランスという言い方をしましたけれども、要はこれは貿易サービス収支、所得収支、経常移転収支を個別に列挙しているわけで経常収支そのものです。ということと、為替レートが抜け落ちていると思われると思いますけれども、これも表現のところの為替・財政・金融・その他の政策を十分に考慮しつつという項目、為替も十分に考慮するという中で、広く4項目の中の前から出ていたいわゆる作業部会で出ていた議論は入っているということで、事実上入っているとご理解いただいて結構だと思います。 |
| 問) | 関連してですが、各国が前日までの会議では、昨日のワーキングディナーの段階で様々な意見が出ていたわけで、その点についてまったく落ち着かなかったという議論があったかと思うのですけれども、その辺の話を少し紹介していただけますでしょうか。 |
| 野田大臣) | 昨日の段階のワーキングディナーで、いわゆるこのフレームワーク、特に参考となるガイドラインについて、それぞれの立場での意見表明について大体昨日で出尽くしていたと思います。共通していることは、それでもやはりソウルサミットで決めたスケジュール感の中で着実に前進をさせていきたいねという気持ちはどの国にもあったというふうに思います。そこでこの項目については色々と意見がありましたけれども、最終的に今日はお昼ぐらいまでのぎりぎりの調整をしながら表現を工夫しながらおさめたということであって、この項目について合意できたということは次の4月においてはまさに参考となるガイドラインの詰めの議論にもっていけると思いますので、いわゆる去年からの議論の中での行程表というかスケジュール感は守られたのではないかなと思います。それは大変よかったと思っています。 |
| 問) | 指標の関係で、外貨準備について当初入っていたかと思うのですが、これはどのように反映されたと見ればいいのでしょうか。 |
| 野田大臣) | 広い意味での為替という中で入るということだと思います。その辺をよく考慮しながらと。 |
| 問) | 中国が経常収支ではなく貿易収支ということにこだわっていたという話があったのですが、そこはどのように押し込まれたのか。 |
| 野田大臣) | だから、いわゆる経常収支の内訳のところを列挙しています。それはそういう配慮です。どこの国がというより、こだわった国があったのでそういう配慮をしたということです。 |
| 問) | 経常収支という概念があったことに対して、反発する国というのはなかったのでしょうか。 |
| 野田大臣) | 最終的には皆さんでコミュニケを全部読んで、ひとつひとつの段落ごとに確認をしながらそれについて異論は出ませんでした。 |
| 問) | 今回の列挙された指標について、日本としてはどのような影響なり考え方、今後のことについてどうなるのでしょうか。 |
| 野田大臣) | 今回の指標と次の4月で参考となるガイドラインの詰めが行われます。その後は、いわゆる対外不均衡の色々な分析をする中で国を特定していくこととなります。特定した後に、ではどうやって政策を改善していくのかといういわゆる原因の分析と評価につながっていく、それが2段階です、後半の。それについては恐らく日本も含めて、いわゆるシステム上重要な国といわれるところは皆特定されていくだろうと思います。だけどそれはあまり気にすることはなくて、日本の場合はそれによってどうのということはまずないだろうと思います。今回は、指標は幅広く皆さん合意できるものを選んでいったということでございますので、特に日本は何かのターゲットになることはないと思います。 |
| 問) | 商品市況に関してスタディ・グループが立ち上げられたとの説明がありましたが、スタディ・グループが立ち上げられたということと、そのトップに日銀の幹部が就くということ、これについてはどのような意見をお持ちでしょうか。 |
| 野田大臣) | 昨日も今日も、この一次産品の問題は色々議論がありました。その原因も色々な議論がありました。まず、整理しなければいけないのは、財務相・中央銀行総裁会合の議論のプロセスというのは、それぞれの例えば石油だとか農産物とか等のマーケットの透明化とかあるいは公開とかというところに主眼を置いていくことではないかなと。一次産品の問題は色々な角度から議論しなければいけないと思いますが、食糧安全保障であれば農水相プロセスだと思います。農産物の問題で、特に高騰などしたときに困るのは低所得国だと思います。それに対する影響は外務省プロセスだと思います。色々な観点からの議論が必要だと思いますが、特にこの市場に関することについては今回は日銀の中曽理事が作業グループのリーダーになってとりまとめ役ということで、国際的な大きな問題について日本がまさに主導的に作業グループのリーダーになってやるということは、その意義は大変あると思いますし重たい責任を果たしていただければと思います。 |
| 白川総裁) | 今回の経緯ですが、G20会合に先立ち、議長国のフランスより、中曽理事にスタディ・グループの議長に就任して欲しいとの要請がありました。わが国がG20の議論に貢献するためにも、議長を務めることが重要であると判断し、この要請を受けることとしたものです。 野田大臣からもご説明がありましたように、今の国際商品市況の上昇を考えていくうえでは、実需の増加という要因、供給面の制約という要因、金融面の要因の3つをバランスよく考えていく必要があります。日本銀行は、必ずしも個々の商品市場の専門家ではありませんが、そうしたマクロ的な要素、金融的な要素を考えた場合に、市場に近い立場にある中央銀行として貢献していくことが非常に大事であると思いました。 |
| 問) | 不均衡是正の目標、ガイドライン作成、指標作りに関してですけれども、前回の慶州で突然アメリカのほうから経常収支の目標提案があって、割と前回の会議はなかなか厳しいもので提案したけど決まらなかった会議だったと思うのですけれども、今回もある程度合意が各国できた、次のプロセスに進んだということで、何が前回と一番違って今回議論が多少進んだということになったのでしょうか。 |
| 野田大臣) | 前回はちょっといきなり数値の話も出てきましたので、戸惑われた国が多かったのだろうと思います。今回もう少し項目から丁寧な議論で整理をしていこうということでしたし、やはり順を追ってしっかりと前進するというG20でありたいという想いが、先進国も新興国も両方共通してその想いがあったと思います。だからこういう合意ができたのではないかと思います |
| 問) | 特に指標の話では色々な議論があったということですが、これも含めて今回の会議全体の成果というのはどのようにお感じでしょうか。 |
| 野田大臣) | 何よりも冒頭申し上げたとおり、フランスが議長国としての最初の会議で、特にフレームワークは従来から議論がありましたけれども、国際通貨システムとか一次産品の話が本格的に議論されるまさに今回がキックオフだったと思います。その意味では、キックオフとしてはいい議論ができたと思いますので、2011年のスタートダッシュはG20にとってはよかったと思います。 |
| 問) | 不均衡是正についてですが、今回決まった手法について今後かなり不均衡を是正するために有効な手立てとなり得るとお感じになっているのか、それと有効な手立てにしていくためにはどういった点が大事なのかということを今どうお感じになっているでしょうか。 |
| 野田大臣) | 有効な手立てにしていかなければいけない。現実に対外不均衡というのは起こっているわけで、しかもそれが段々大きくなっていくという傾向がある中で、まさに国際会議の中でも最も重要なプロセスになっているG20が手をこまねいている状況では、世界経済にとってマイナスです。知恵を出しながら項目で合意をし、次なるガイドラインをしっかり合意をし、その後具体的な評価の作業と、そして政策の手直しまでもっていくようなことを丁寧にやりながらしっかりと結論を出して、そして結果が出るということをしていかなければいけない。まさに有効にしなければいけないというふうに思っています。 |
| 問) | 昨日お話されていた経常収支という言葉が、最後に声明から抜けた理由というのはどういったものでしょうか |
| 野田大臣) | 経常収支という言葉を使いたくないなという人がいたと。内訳としては網羅されています、概念としては。ただ、経常収支という言葉は使いたくないなと、そういう国があったのでそこを慮って表現の工夫をしたということです。 |
| 問) | それはどこの国なのでしょうか。 |
| 野田大臣) | まあ、いいではないですか。 |
| 問) | それは複数の国。 |
| 野田大臣) | 大体想像がついているなら聞かないでください。 |
| 問) | 今回の会議を通して、新興国の中のいくつかの国との違いとか隔たり、インディケーターを決めていく上でそういうものを考えるのと、あともうひとつエクスターナルインバランスをなおすというひとつの目的があって、合意することが目的なのか、元々の目的に合意するのか、どちらが重要なのかというところで限界みたいなものを感じたりはしなかったでしょうか。 |
| 野田大臣) | あくまで、何回もそれぞれの国の人も確認的に言っていましたけれども、対外不均衡是正が目的であると。そのための議論であるということは、お互いに再確認をしながら進んだつもりです。指標のところだと、うっかりすると対外不均衡是正というのを忘れてしまう。例えば、国内の不均衡だけが注目を浴びるような指標にもなりかねないので、何のために指標を使うのかということは行きつ戻りつ対外不均衡是正のためのだという議論はできたと思います。 |
| 問) | 指標の関連で経常収支とかあるいは外貨準備、実質為替レートという言葉は4月のガイドラインを決める段階では、ガイドラインの中に言葉として入ってくる可能性は十分にあるということなのでしょうか。 |
| 野田大臣) | いや、指標はここで合意したわけです。いわゆるガイドラインの詰め方ではどういう議論をするかはまさに4月までの作業部会ですが、ベースラインはこの指標でいこうということになっています。その応用動作をどうするかということは、まだこれからの議論だというふうに思います。 |
| 問) | 会議が始まる前に、大臣は先進国と新興国の議論の間に立って冷静にバランスをとっていきたいということをおっしゃっていましたが、実際に会議が終わってみてそういった立場がとれたかどうかということと、新興国側には大所高所に立った判断をしてもらいたいというふうにもおっしゃっていましたが、実際新興国はそうした判断に立って会議に参加できているというふうにお思いでしょうか。 |
| 野田大臣) | ひとつひとつの指標は、それぞれの国の立場で本当はきついなというのがあるはずです、それは。そこだけ注目するとわが国にももちろんあります。でも、そういうことを皆乗り越えて前進しようという空気は先進国、新興国ともにあったのではないかなと。その結果、こういう合意形成につながったというふうに思います。そういう意味では、それぞれが自分たちの国の立場もあるけれど、大所高所に立った判断には立っていただいたというふうに思います。 |
| 問) | 日本としては冷静にバランスをとるという役目は果たせたのでしょうか。 |
| 野田大臣) | 議論のまさに勘所みたいなところで日本の立場は申し上げながら、しかも公式の会議以外でも戸惑っている国との議論をやったりとか、自分たちなりのベストは尽くしたつもりであります。 |
| (以上) | |
