10月23日 野田財務大臣、白川日本銀行総裁共同記者会見の概要
野田財務大臣、白川日本銀行総裁共同記者会見の概要 | |
(平成22年10月23日(土曜日)) | |
於:韓国・慶州 | |
| 【冒頭発言】 | |
| 野田大臣) | 2日間にわたりましてお付き合いいただきありがとうございました。昨日、今日とG20財務大臣・中央銀行総裁会議が行われました。詳細な結果はコミュニケとしてまとめられておりますので、お手元に配られていると思いますが、私のほうからは簡単にポイントをご紹介させていただきたいと思います。 今回の会議というのは世界経済が下方リスクを抱えている中で、いかに強固で安定した国際金融システムを作っていくかという問題意識の中で、世界的不均衡の是正であるとかあるいはIMF改革などについての活発な意見交換が行われました。 これまで、随分と重要な会議がG20では続いてきたと思います。特に危機回復に向けてG20は一定の役割はあったと思います。これまで強固且つしかもサステナブルでバランスの取れた成長を図るとか、あるいは公的債務の削減に向けてのコミットメント等々、それぞれ重要な場面で重要な決定をしてまいりました。それに匹敵するぐらいの今回は大変注目されるG20だったと思いますし、参加国も皆緊迫感を持って会議に臨みました。その中で色々と議論はございましたけれども、まず為替の関連ではコミュニケにも書いてあるとおり、経済のファンダメンタルズを反映し、市場で決定される為替レートシステムに移行し、通貨の競争的な切り下げを回避すること。準備通貨を持つ国々、つまりドル・ユーロ・円を中心に考えているわけでありますが、これらの国々は、為替レートの過度の変動や無秩序な動きを監視すること。これまで過度な変動や無秩序な動きは、悪影響を及ぼすという認識で留まっておりましたけれども、監視をすることということでございますので、すなわちマーケットの動向を注視しながら適切な協力を行っていくということで、より能動的な意味があると思うし、ドル・円・ユーロの関係がより安定するというふうに解釈できると思います。 また、過度な不均衡を削減し、経常収支を持続可能な水準で維持するために、あらゆる政策を追求すること。2015年だとか4%とか若干数字が先行した議論がございましたが最終的にまとまったのは、今後合意される参考となるガイドラインに照らして、大規模な不均衡が継続すると評価された場合には、不均衡の性質や調整の障害となっている原因を評価することということで、これは合意させていただきました。 また、これらの合意を踏まえましてソウルサミットに向けて、近付いておりますけれども、更に具体的な行動計画が策定されることになっております。 また、IMF改革については、各国の複雑な利害関係がありましたけれども長い議論を経た結果、今日は大変野心的な改革案に合意がございました。内容としては、IMFの資金基盤であるクォータを倍増させるとともに、経済力の向上している新興国・途上国のIMFにおけるクォータ・シェアや理事の議席数が、それに見合っていないという問題を是正するという画期的なものでございます。特にEUと新興国と色々な議論がございましたけれども、G20で方向性が確認されましたことによって、IMFの理事会・総会等で、この方向で最終的には決定に至るだろうというふうに思っております。これはIMFへの正当性、信頼性がより高まることになるのではないかというふうに思っております。 そのほか金融規制の問題等々色々な議論がございました。その点はむしろ総裁のほうがご専門でございますので、今のテーマも含めてでありますが、補足があればお願いしたいと思います。 |
| 白川総裁) | 今回のG20では、世界経済は回復を続けているものの、脆弱で回復テンポは国によって異なっており、下振れリスクも残っているという認識が共有されました。そのうえで、強固で持続可能かつ均衡ある成長を達成するためには、マクロ経済政策や規制・構造改革など様々な分野において、引き続き、国際的に協調的な対応が必要であることが確認されました。保護主義の回避や、より市場で決定される為替制度への移行と通貨の競争的な切り下げの回避が重要であるという点も改めて認識が共有されました。 私からは、経済や金融市場のグローバル化が進むもとで、各国の 政策運営が相互に影響を及ぼす程度が高まっており、各国の政策運営が世界経済や国際金融市場にどのように作用し、その結果、自国の経済・物価の見通しやリスクにどのような影響を与えるかも考慮する必要があることを述べました。 金融規制・監督に関しては、金融安定理事会(FSB)とバーゼル銀行監督委員会のこれまでの成果と今後取り組んでいく課題について説明がありました。私からは、金融システム上重要な金融機関への対応策については、こうした金融機関への扱いを厳格化することに伴って銀行システムの外にリスクが移転してしまい、かえってリスクが見えにくくなってしまう可能性があることも考慮しつつ、慎重に検討を続けていく必要があることを指摘しました。 |
| 【質疑応答】 | |
| 問) | 先程ご紹介のあった中の為替の問題で、マーケットの動きを注視して適切な行動を行う、これまでは好ましくないという認識だったけれどもより能動的な文言が盛り込まれたというお話でした。大臣常々為替の過度な変動は好ましくないということを今次円高局面でおっしゃってきたわけですが、そうしたことがG20の声明に盛り込まれたことの評価を今一度お伺いしたいのと、依然円高水準は続いていますが、週明け以降の為替相場に今回の声明がどういう影響を与えると期待していらっしゃるかも含めてお伺いできればと思います。 |
| 野田大臣) | これまでもデフレが進行している中で、経済情勢が厳しい中、円高が定着・長期化するということはまさによくないという認識はお示ししてきました。その中で水準については、これはずっとコメントしておりませんけれども、過度な変動、無秩序な動きは悪影響を及ぼす、そうした中で過度な変動を抑制する観点から前回は介入を行いました。依然としてこれは、必要なときには適切な対応を行う、断固たる措置をとる、この姿勢は変わりありません。そういう問題意識を過度な変動、悪影響を及ぼすということではなくて、今回は主要先進国がまさに監視をするという言葉になりました。監視をするということは、マーケットの動向を見ながら必要なときには適切な協力を行うという意味だというふうに思いますので、その問題意識を共有できたということは非常に一定の前進になっていると思います。週明け以降のマーケットの動き、これは何とも言えませんけれども、先程申し上げたように引き続き注視をしていきたいというふうに思っていますし、為替の問題やあるいは対外不均衡の問題について、何もG20でコミットメントしないということだったら色々影響があったと思いますが、一定のこういう合意形成ができたということはマーケットにも評価してほしいなというふうに思います。 |
| 問) | 大臣も例の国際収支の不均衡是正の問題で数字が先行した面もあったがというお話でしたが、結果として大臣が認識を示されていたような参考値のような話になりました。これの評価と、時期的なものがちょっと見えにくくなっているのですが、これから合意されるであろうこういった仕組みは、ソウルの首脳会議に向けて提出される行動計画、この中にもこういう話を盛り込んだうえでするのか、そうではなくてまだ続く議論であるのかというのが一つ。それと、関連して各国からどんな意見が出たのか知りたいのですが。 |
| 野田大臣) | 経常収支、黒字にしろ赤字にしろ対GDP比で一定の範囲内に収めるということについて、まず直感的なことは先日申し上げたとおりであって、経常収支というのは政府もありますけれども民間セクター含めて様々な経済活動と結果、いわゆる経済活動のお尻として出てくるわけです。だから、財政収支だったら政府のコントロールが効きますけれども、経常収支となると色々な要因があるので数値目標として掲げることは、特に厳格な数値目標として掲げることはいかがなものかというのが第一印象でございました。さはさりながら、対外不均衡を是正するために何らかの参考値は必要かもしれないという中で、経常収支も一つのアイデアとして受け止めることがG20の合意形成に資するならばと、G20で何もまとまらないということは私にとってはマーケットに不測な動きが起こる原因になりかねないと思っていましたので、参考値としてならばということも併せて申し上げましたけれども、結果的には参考となるガイドラインという表現になりました。その先の将来の合意形成の問題ですが、これは次のソウルサミットまでということではございません。経常収支の問題も色々な観点、例えば日本だと昨日も申し上げましたとおり、どちらかというと経常収支のうち所得収支の比重が圧倒的に多いとか、色々と国によって赤字や黒字の事情が違うわけですから、そういうことをよく調べなければいけないし、経常収支以外にも例えば人口動態など色々な指標があるかもしれません。そういうことも含めて、それはソウルサミットまででということではございません。 各国からどういう意見が出たかということは、様々な意見が出ました。どの国がどう言ったということまでコメントはしませんけれども様々なご意見がございました。 |
| 問) | 経済の落ち込みの二番底を避けるための為替政策について、各国と協調したことはありますか。また大臣は、日韓中関係の持続可能な発展のためにどうすればよいとお考えか。 |
| 野田大臣) | 経済の二番底を避けるための経済対策は、もちろん日本はやっています。でもそれは直接為替政策イコールではございません。経済対策はちゃんと予算を組んでやっています。為替の色々な動きについての情報交換は、それはやはり当局同士で色々な意見交換はやらせていただいております。韓国と中国、日本との連携ですが、これはやはりお互い近隣の国としてそれぞれがアジアの中での需要をともに共有しながら、共々Win-Winの関係で発展することが望ましいと思っていますし、これは日韓、日中あるいは日韓中かもしれませんがFTA、EPAということの可能性もあるのではないでしょうか。そういう意味で、中国とは戦略的互恵関係の中で経済関係を深めるということが必要ですし、日韓はまさにお隣の国同士ですから先程のFTAも含めて緊密な連携が必要だろうというふうに思います。 |
| 問) | 大臣が経常収支はお尻というような表現を使っていらっしゃいますが、これまで日本とアメリカとの間で特に貿易の不均衡等について話し合いが続けられてきました。経常収支のバランスについてはなかなか思うような方向に進まなかったという節があるのですけれども、今回経常収支の是正の方針が出たことについて、こういうような形で、全体の合意の中で、全体で合意した貿易不均衡の是正というのがなされ得ると楽観視されていますでしょうか。それに関して、最終的に数値目標が見送りになった経緯についてお話できることがあればお伺いしたいと思います。 |
| 野田大臣) | 厳格な数値目標にしてしまうと、過去の経緯のお話もございましたけれども、ある種管理貿易的にやっていけるかどうかという問題に突き当たります。そもそも私は、参考値として、例えばそれぞれ赤字が大きい黒字が大きいということが何なのかという、一つの分析をしながら評価をするという、きっかけにする一つの参考値だったらいいということが昨日から申し上げていることでございまして、厳格な数値目標だと色々と問題があると思っていました。という意味で日本の立場としてそういう意見を言っていたということであります。当然そういう考えを持つ国もあったと思いますし、例えば4%を超える国にとっては特にどうしたらいいのかという反応もありました。ということで最終的には数字が落ちて、でもある程度参考となるガイドラインを基にしながら、本当に対外不均衡というのは変えていかなければいけないわけですから、それは共に一緒にやっていこうという定性的な表現でむしろそれは強まっていると思いますので、問題意識がお互いに共有できて何らかの参考値みたいのは、やはり共に作っていこうかなというところで合意できたことはよかったのではないかと思います。 |
| 問) | 実現の可能性についてはどのようにご覧なっているでしょうか。 |
| 野田大臣) | こういう形で、コミュニケでまとめたということは、これまでのいわゆる強固で持続的でそしてバランスの取れた成長であるとか、あるいは財政再建の目標とか、それぞれ掲げてきました。これ全部実践の話です。ここで今日まとめたコミュニケも基本的にはそれぞれG20の参加国がしっかりと実践していくということです。そのために、IMFの機能強化の話も色々と出ましたが、こうした国際機関なんかが随時モニターしていく、そのモニターしたものを我々がどうやって評価していくか、それぞれの国の取組みを評価していくという段取りを経ていくわけですから、実践をするという前提での合意事項ということであります。 |
| 問) | 先程過度な為替の変動を抑制する観点で、必要なときには国際的な協力を行っていくという問題意識を共有できたというお話だったのですが、その協力というのは協調介入も含まれているのか、協調というのはどういったことが考えられるのか大臣のイメージを教えてください。それから、いつ頃までにこういったことを具体的に検討していくのかそのタイムスケジュール感についても教えてください。 |
| 野田大臣) | 具体の手段はその場その場で協議して決めることですから、適切に協力をしていくということに尽きると思います。 |
| 問) | 今後、いつ頃までにというのは。 |
| 野田大臣) | いつ頃というかこうやって決めたわけですから、決めた以上は適切に必要があるときには協力していくということです。 |
| 問) | 協調介入というのも含まれるのでしょうか。 |
| 野田大臣) | 介入ばかりこだわっていますけれども、必要なときに協力するというのは色々なことが含まれています。 |
| 問) | まず大臣に、G20の間では、日本のように自国通貨がかなり割高になっていることを複数年受け入れてきて、デフレ状態にある中から脱するためにやむなく介入するという場合と、そうではなくて性格の違った介入をしている国があるわけですけれども、そういった違いというのは各国とも認識されているのでしょうか。 それから総裁にお尋ねしますが、総裁はかねてからリスクの経路として、先進国からの資本がエマージング諸国に流入、それがオーバーヒートし、またバブルが崩壊して、世界経済がおかしくなることを懸念されていますが、そうしたリスクは皆さんが色々な国際会議で話されることによって下がってきているのでしょうか、それともまだ注意しなければならないのでしょうか。 |
| 野田大臣) | 9月15日の為替の介入は、過度な変動を抑制する観点から実施したということであって、それは長期に大規模に一定の水準を目指して行った介入ではないということはこれまでもG7等でご説明してまいりましたので、日本の為替への対応についてはその説明でご理解をいただいているというふうに思います。各国それぞれ色々な為替政策を行っています。個別の評価は避けたいと思いますけれども、それぞれ違いはあるだろうと思います。それぞれ違いを認識しているだろうと思います。 |
| 白川総裁) | 先進国の金融緩和政策が新興国への資本流入となり、それがバブルの発生にも繋がり、最終的にはまた先進国に戻ってくるという可能性に関する認識は、今回のG20に限らず多くの国際会議の場で示されていると思います。同時に、先進国から新興国への波及だけではなく、新興国から先進国への波及もあります。仮に為替相場制度が伸縮性を欠いている場合には、経済の歪みが先進国に影響し、最終的にはまた新興国にも戻ってくるわけです。そういう意味で、先進国、新興国、それぞれが自国の採っている政策が自らにどのように影響するかも考えながら、しかし最終的には各国が自国の経済・金融の安定をしっかり実現していくように政策を行っていくことが大切だと思います。今回の相互作用についての議論は、世界経済全体の発展を考えていくという認識に繋がっていっていると思います。 |
| 問) | 総裁が指摘するリスクへの認識がさらに高まっているのか、それとも減ってきているのか、或いは変わっていないのでしょうか。 |
| 白川総裁) | 私自身はこういう問題意識を随分前から指摘していますが、こうしたリスク自体は日々変わるものではなく、お話したような認識を持って各国がしっかり政策運営を行っていくことが大事だと思います。そうした認識自体は、今回の議論でも随分表明されたと思います。 |
| 問) | IMF改革についての評価をお伺いしたいのと、今後新興国のIMF内での役割が増えてくると、IMFの役割が今後どのように変わるのかを含めてお話ください。 |
| 野田大臣) | 本当にそれぞれ利害錯綜する中で、よくまとめることができたなというふうに思います。ストラス・カーン専務理事、あるいは議長国の韓国、本当に骨を折って頑張られたなというふうに思います。その意味では歴史的なIMF改革の第一歩だと思います。我々日本も、もともと過大代表国から過小代表、あるいは新興国等にきちんと配分していくように、しかも経済力に見合った形でということを主張してまいりました。基本的にはその流れだと思います。経済力に見合った比率を獲得して、そしてその相応の責任を果たすというのがIMFの正当性に繋がると思いますので、そういう流れになっているということは非常に評価できるというふうに思います。ちなみに日本は変わりません。第2位という状況であります。 |
| 問) | 先程9月の介入の説明については、G7での説明については理解を得られたのではないかということでしたが、改めての質問で恐縮ですが、今後も必要があれば介入も含めて断固たる措置をとるという姿勢についても、今回のG20、もしくはG7で支持を得られることができたと思われますか。 |
| 野田大臣) | 個別国の為替政策とか通貨の話は今回していません。もっとマクロに立ってどういう形で政策協調するかというのがG20の場で、日本がどうとか中国はどうのという議論はしていませんので、そういう質問は今日の段階ではお答えできません。ただ、日本の姿勢というのは変わらないということです。 |
| (以上) | |
