この度、平成25年6月28日付で財務総合政策研究所長を拝命いたしました中原広です。所長就任に際して、一言ご挨拶申し上げます。
財務総合政策研究所は、財務省のシンクタンクとして、財政経済に関する調査・研究のほか、開発途上国に対する知的支援、海外の研究機関との研究交流、財政史の編纂、財務省の業務統計の収集・整理、図書館の運営、法人企業統計等の統計調査、財務省職員の研修等を行っています。
当研究所は、昭和60年5月に財政金融研究所としてスタートし、平成12年に財務省の発足に伴い現在の名称に変更しました。また、平成22年からは、研究所職員がデザインした「財務総合政策研究所ロゴマーク」を使用しています。
わが国の景気は、個人消費や生産の持ち直しに加え、輸出が上向いてきており、企業収益や雇用・所得環境にも改善がみられるなど、着実に持ち直しています。当研究所で実施しております「法人企業景気予測調査」でも企業マインドの改善がみられます。また、いわゆるアベノミクスの三本の矢、すなわち、「大胆な金融政策」、「機動的な財政政策」、「民間投資を喚起する成長戦略」によって、デフレから反転する兆しが現れています。他方で、巨額な国の歳入歳出ギャップや公債残高の累増、他の先進国に先駆けて最速のスピードで進む少子高齢化など、財政や社会保障を巡る課題への取り組みも重要です。国民生活の安定と持続的な経済発展に向けて、財政の健全化を進めるとともに、経済のグローバル化や諸般の政策課題に的確に応える経済・財政政策を企画・立案していく必要があります。このためには、内外経済情勢や政策手段に対する幅広い視点からの調査・研究が不可欠です。
研究所では、こうした現状に基づく政策部局の問題意識も踏まえ、中長期的な視点に立った内外の財政経済に関する研究活動を行っています。これまで財政・経済、金融・資本市場、国際経済・各国経済等の研究を行っており、その成果を「フィナンシャル・レビュー」や研究会の報告書等として刊行するとともにホームページにおいても公表しています。
こういった財政、経済に関する知見を活かしつつ、研究所は知的支援と研究交流にも力を入れています。
知的支援は、わが国と繋がりの深いアジア諸国等を中心に、相手国の求めに応じて、日本の財政・経済政策等に関する研修・セミナーを実施しております。最近では、ミャンマーやラオス等に対する法令策定等の技術協力や企業融資の審査手法の向上、人材育成のための個別支援プロジェクトも実施しております。
研究交流は、外国研究機関等との共同研究や、ワークショップ等の開催、研究員の受入れ等を行い、相手国・研究機関との間で知識や経験の交流を図るものです。
以上の国際交流活動についても、研究所のホームページに幅広く公表していますのでご覧いただければと思います。
地に足のついた研究を進めるためには、現在の経済状況と過去の政策についての認識が前提となります。
研究所では、二つの統計調査を実施しています。「法人企業統計調査」は、約3万6千社を対象として法人の活動実態を把握するものです。また、「法人企業景気予測調査」は、約1万6千社を対象として企業の景況感を調査します。いずれもマスコミや市場関係者、有識者等が注目する政府統計となっており、公表時においては研究所のホームページに多くのアクセスが寄せられます。
他方、過去の財務行政については、これまで「明治財政史」から「昭和財政史」まで、6シリーズ105巻を刊行し、財務行政の企画立案と学術研究等の用に供してきました。現在は7シリーズ目となる「平成財政史」の編纂に取り組んでいます。
上に挙げた研究成果を活かし、財務省職員に専門的な知識や技能を習得させるため、研究所は、財務本省及び財務局職員に対する総合的な研修を行っています。平成24年度は、328コースの研修を実施し、延べ13,600余名が参加しました。研修運営においては、行政を取り巻く環境の変化に応じて、内容の充実・強化を図っています。
研究所では、行政官だけではなく専門的な知識を有する研究者を公募するなど多様なスタッフを揃える努力をしております。さらに大学や民間研究機関等の研究者とも相互に連携した研究を実施しているところです。今後も霞が関の殻に閉じこもることなく、財務省の研究所としての蓄積を基に、調査・研究、国際交流活動、長期的視点に立った人材育成に研究所の各部局が連携して積極的に取り組んでいきたいと考えています。皆様方のご理解と暖かいご支援を引き続きよろしくお願い申し上げます。
平成25年7月 財務省 財務総合政策研究所長 中原 広