財務総合政策研究所は、財務省のシンクタンクとして、財政経済に関する調査・研究のほか、開発途上国に対する知的支援、海外の研究機関との研究交流、財政史の編纂、財務省の業務統計の収集・整理、図書館の運営、法人企業統計等の統計調査、財務省職員の研修等を行っています。
当研究所は、昭和60年5月に財政金融研究所としてスタートし、平成12年に財務省の発足に伴い現在の名称に変更しました。また、平成22年からは、研究所職員がデザインした「財総研ロゴマーク」を使用しています。
研究所の中心的な活動は、中長期的な視点に立った財政経済に関する研究活動です。これまで財政・経済、金融・資本市場、国際経済・各国経済等の研究を行っており、その成果を「フィナンシャル・レビュー」や研究会の報告書等として刊行するとともにホームページにおいても公表しています。
わが国経済は、リーマンショック後の世界景気の低迷や東日本大震災による国内輸出機能の一時的な低下等により、平成23年の貿易収支が31年ぶりに赤字に転じました。また、巨額な国の歳入歳出ギャップ、他の先進国に先駆けて最速のスピードで進む少子高齢化、新興諸国の台頭やグローバル化の一層の進展、日本企業のアジアを中心とする海外進出の更なる展開など、多くの構造的な課題に直面しています。こうした中で国民生活の安定と持続的な経済発展に向けて、財政の健全化を進めるとともに、諸般の政策課題に的確に応える経済・財政政策を推進していく必要があります。このためには、内外経済の深度ある分析や政策手段に対する幅広い視点からの評価・検討が不可欠です。
研究所では、このような問題意識に基づき、今後も研究会の開催や独自の研究活動を行っていきます。さらに、財政経済に関するマクロ計量モデルの構築とその運用にも力を入れていきます。
こういった財政、経済に関する知見を活かしつつ、研究所は知的支援と研究交流にも力を入れています。
知的支援は、わが国と繋がりの深いアジア諸国等を中心に、相手国の求めに応じて、財政・経済政策や税・関税の執行等についての研修やセミナーを実施し、日本の制度・政策・経験を共有することによって、自立的な行政能力の構築や人材育成を支援するものです。
研究交流は、外国研究機関等との共同研究や、ワークショップ等の開催、研究員の受入れ等を行い、相手国・研究機関との間で知識や経験の交流を図るものです。
以上の国際交流活動についても、研究所のホームページに幅広く公表していますのでご覧いただければと思います。
地に足のついた研究を進めるためには、現在の経済状況と過去の政策についての認識が前提となります。
研究所では、二つの統計調査を実施しています。「法人企業統計調査」は、約3万6千社を対象として法人の活動実態を把握するものです。また、「法人企業景気予測調査」は、約1万6千社を対象として企業の景況感を調査します。いずれもマスコミや市場関係者、有識者等が注目する政府統計となっており、公表時においては研究所のホームページに多くのアクセスが寄せられます。
他方、過去の財務行政については、これまで「明治財政史」から「昭和財政史」まで、財政史を105巻刊行し、財務行政の企画立案と学術研究等の用に供してきました。現在は「平成財政史」の編纂に取り組んでいます。
上に挙げた研究成果を活かし、財務省職員に専門的な知識や技能を習得させるため、研究所は、財務本省及び財務局職員に対する総合的な研修を行っています。平成23年度は、323コースの研修を実施し、延べ12,600余名が参加しました。研修運営においては、行政を取り巻く環境の変化に応じて、内容の充実・強化を図っています。
今後とも、財務省の研究所としての蓄積を基に、政策部局の問題意識を踏まえた調査研究、国際的な活動や他機関とのネットワークの強化、長期的視点に立った人材育成に、研究所の各部局が連携して取り組んでいきたいと考えています。皆様方のご理解と暖かいご支援を引き続きよろしくお願い申し上げます。
平成24年8月17日 財務省 財務総合政策研究所長 林 信光