| 議事要旨 | ||
|---|---|---|
| ◆研究会 | の | 問題意識 |
| 報告者 | : | 大西靖 財務省財務総合政策研究所研究部長 |
| 報告資料[1.52mb,PDF] | ||
| ◆報告 | : | 「若年雇用問題の論点」 |
| 報告者 | : | 太田聰一 慶應義塾大学経済学部教授 |
| 報告資料[320kb,PDF] | ||
| ◆報告 | : | 「新規大卒者の就職実態と課題への対応策〜大学現場でのキャリア支援を通じて〜」 |
| 報告者 | : | 角方正幸 株式会社リアセック キャリア総合研究所所長 |
| 報告資料[891kb,PDF] | ||
大西靖 財務省財務総合政策研究所研究部長
| ・ | (男性の)就業率は全年齢層で低下。特に若年層では低下傾向が顕著である。世代毎の非正規雇用割合を見ても、後世代になるほど同じ年齢期に非正規割合が高い。 |
|---|---|
| ・ | 卒業時に就職ができない者や就職後3年以内の早期離職などにより、大学卒業生のうち約半分がうまく学校から職場へ移行できていない。 |
| ・ | 新規大卒就職者の3年以内の早期離職は約30%と高水準が継続している。転職を考える者へのアンケートでは、入社前の会社情報の不足や入社後の企業による研修が不十分との声があり、こうした点に改善の余地があると考えられる。 |
| ・ | 求人数と就職希望者数を業種別に見ると、製造業や流通業では求人数が上回る一方、金融業やサービス・情報業では就職希望者数が上回る。従業員数の規模別に見ると、大企業には就職希望者が殺到する一方で、中小企業には現在でも3倍を超える求人倍率があり、雇用のミスマッチが生じている。また、大学の属性別に未就職率を見ると、国公立大学や偏差値の高い私立大学では改善が見られる一方、偏差値の比較的低位の私立大学では、未就職率は同水準か或いは悪化している。 |
| ・ | 若年者がフリーターになるとその約半数は5年後もフリーターのままであり、正規雇用者とフリーターでは生涯収入が大きく異なる。当然ながら支払う社会保険料や税金に大きな差異が生じる。また、結婚についてもフリーターは正規雇用者に比して未婚率が高いなど、経済的、財政的、社会的なコストが高いことがわかる。 |
| ・ | 職業教育の重要性が叫ばれ、特にインターンシップが強調されてインターンシップ経験者はこのところ増加しているが、大学・短大に限ると未だ1割以下の水準に留まっている。また、インターンシップの実施期間に関しても理想と現実の間に大きな乖離がある。 |
| ・ | 生活保護受給者数はここ2、3年の間に20歳代で急増しており、一端被保護者となると、その後の自立が極めて困難であるとの指標が出ている。 |
| ・ | これまで若年者雇用対策として種々の政策が実施されてきたが、その効果は曖昧であり、真に効果的な対応策が検討されるべきではないか。 |
| ・ | 以上の現状を踏まえ、この研究会では、職場への移行が困難となっている大学生・大卒者に焦点を当て、大学・企業・地域の自主的な取り組みと協力することで効果的な対策が考えられないかといった点について検討したい。 |
太田聰一 慶應義塾大学経済学部教授
| ・ | 長期の不況や国際競争の激化により、企業の将来見通しが悪化したことから正社員の採用が縮小してきた。日本では若年者の採用は投資であるという側面が強く意識されており、投資環境が整わなければ若年者採用の停滞につながる。データからも、新卒採用は、企業の過去の業績だけではなく、業績見通しが影響を与えることがわかる。したがって成長や国際的競争力の見通しが、若年採用、特に正社員採用を左右するといえる。長期にわたる不況期に若年採用を抑制する傾向は大企業でより強い。しかしながら、社員の年齢構成が崩れた場合にこれを取り戻そうと若年採用を柔軟に行う傾向も大企業にはある。 現在、景気が軟調であるにも関わらず、新卒者の就職後の離職率は上昇している。背景には若年者のコミュニケーション能力の低下や忍耐力の欠如が関連している可能性があるが、企業にとっては新規採用者の資質の低下は訓練コストの上昇をもたらす要因となる。せっかく採用・訓練しても短期に転職する状況は、企業が中途採用を増やす可能性を高める。 |
|---|---|
| ・ | 高齢者雇用も若年者雇用に影響を及ぼしている。データは、特に15-29歳の女性の労働力が高齢者の労働力と代替関係があることを示している。高齢者雇用の促進とともに、男性、女性を含む若年者全体の雇用機会の拡充に注力することが望ましい。 |
| ・ | 求職と求人の不適合について、大企業には求職者が殺到する一方、中小企業への求職者が少ないことの背景には、学生の大企業志向と企業の有名大学志向の存在が挙げられるだけでなく、大学の、特に文系の学部における就職支援が充分とはいえないことが挙げられる。また、インターネットの普及によりエントリーが簡便になったこと、従来は大学へ進学していなかった水準の学力の者が大学へ進学し、大卒者対象の職に就くことを希望するようになったことが、「非銘柄大学」の就職希望者がなかなか仕事を見つけることができない一因であると考えられる。 |
| ・ | 日本企業では未だ新卒一括採用が根強いことから、職を得る「チャンスは一度」であるともいえ、仕事の内容に人を当てはめるというよりも人に仕事を与えるという傾向にある。新卒者が徴用され新卒者に求人が集中すればするほど、「チャンス」を逃したり離職したりした者にとって再就職が困難となる。学卒後3年以内の既卒者を新卒扱いとすることとされているものの、企業が既卒者を「新卒段階で就職できなかった者」と消極的に捉えている可能性は拭えない。 |
角方正幸 株式会社リアセック キャリア総合研究所所長
| ・ | 従業員数1000人以上の企業の求人数は15万人程度である。求人数は近年変動していないが、60万人程度の学生の中で企業が採用を望むのはそのうちの20%程度であり、それ以外の80%程度の学生の就職を支援する仕組みが必要である。 |
|---|---|
| ・ | 各大学が独自に持っている求人の数とインターネット等の求人サイトの求人の数の割合比は4:6或いは5:5である。大学が持つ求人は小規模な地元の中小企業が多い。地元の中小企業の求人の状況は地域により異なるものの、現在の学生は地元志向で、可能な限り自宅からの通勤が可能な企業で働くことを望む者も多く、通勤時間に時間がかかったり、一人暮らしを敬遠する傾向が強い。また、就職活動の期間が進むにつれ、企業規模が大きい企業ほど募集が終了する割合が高く、各大学が独自に持つ企業の求人は募集が終了しないものが多い。こうした企業には学生が就職先として考慮せず、実際、就職もしていないことがわかる。 |
| ・ | インターンシップは、特に偏差値40〜50程度の大学の学生の基礎力を高める効果が高い。また、企業が評価する人材と大学での成績との間には乖離が存在し、大学で良い成績を修めることが就職に結び付かないという矛盾がある。現在、人材育成は就職後に企業が職業教育・訓練を行う形で企業にその多くが任せられているが、企業・大学は職業教育・訓練の内容について一層連携し、例えば大学の授業にインターンシップを組み込む仕組みを設定する必要がある。但し、地域の中小企業の中には新卒採用を毎年行わない企業もあり、そうした企業では、人材を育成する余裕や育成プログラムを有さず、職業教育・訓練の態勢が整備されていない企業も少なくない。大学での職業教育・訓練と就職後の職業教育・訓練を一貫して支援する人材を養成し、確保することが必要である。以前は、企業が仕事を覚えさせ育て、大学が学術教育を行うというよう役割分担がなされていたが、若年者を企業と大学が連携を一層強化して育成しなければ、若年者の生きる場は喪失されてしまう。 |
| ・ | 企業、特に中小企業に採用の動機付けを与えるためには、一層企業に採用枠の拡大を慫慂し、これに補助金を与えることでは不十分である。 |
| ・ | 学生の就業力や基礎力を醸成するためには、高等学校・大学が一層連携することが不可欠である。大学4年間のみでキャリア支援をするには限界があり、現在、企業の採用余地にも限界があることから、大学独自に求人を開拓することが望まれる。イギリスでは、大学の就職支援室(「キャリア・センター」等)が、ビジネスを創造し、学生を試験的に雇用・訓練し、訓練後に就職させるという取り組みを行っている。 |
| ・ | 最近の学生は打たれ弱くナイーブであることから、各人で就職活動をさせるのではなく、学生をグループ化し、仲間意識を醸成して就職活動をさせることにより脱落者を出さないような仕組みも必要である。 |
| ・ | 企業に対しては、どの大学から何名採用したかといった情報や3年以内の早期離職率など採用実態の情報の公開を義務化することが必要である。また、倫理綱領や就職協定といった一斉主義にとらわれない、各企業が独自に採用活動を行うことが必要である。そうすることで学生の各企業に対する求職意識にも変化が起こる可能性がある。 |
| ・ | イギリスには、若者の人材育成に力を入れる企業を表彰するという仕組み(「インベスターズ・イン・ピープル」)がある。早期離職を縮減する仕組みを構築することが望まれる。 |
| ・ | 足下、大企業に就職できる学生は少数であることをより積極的に広める取り組みや、合同企業説明会には中小企業の社長が自ら参加するというような地域での様々な取り組みが奏効し、学生の中小企業への就職が除々に増加し、ミスマッチが縮小しつつある。離職者の再就職には多額の費用を要することに鑑みても、無業や失業を事前に防止することは重要である。 |
|---|---|
| ・ | ここ2、3年はハローワークにおける就職件数が増加してきているようである。 |
| ・ | 景気が軟調な時期には学生の求職先は中小企業に向く。中小企業就業のミスマッチが縮小しつつあるのは、求職者の能力の水準に適した相応な情報提供と手厚い支援というような、近年の様々な努力により、学生の求職先を中小企業に向けさせることができている結果だと考えられる。 |
(以上)