| 議事要旨 | ||
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| ◆発表 | : | 「グローバリゼーションと広範な中間層人材の育成・活用」 |
| 発表者 | : | 岩田 克彦 前独立行政法人雇用・能力開発機構職業能力開発総合大学校教授 現国立社会保障・人口問題研究所特任研究官 |
| 発表資料[2.60mb,PDF] | ||
| ◆発表 | : | 「グローバル化の下での我が国の人材育成の課題―非グローバル人材に着目して―」 |
| 発表者 | : | 小杉 礼子 独立行政法人労働政策研究・研修機構労働政策研究所 人材育成部門統括研究員 |
| 発表資料[1.0mb,PDF] | ||
岩田克彦 前独立行政法人雇用・能力開発機構職業能力開発総合大学校教授
現国立社会保障・人口問題研究所特任研究官
| ・ | 日本における職業能力開発は、長期雇用を前提として、企業による職業教育・訓練、自己啓発支援に大きく依存してきた。学校教育に対する企業の期待は低く、公的な職業訓練も、企業・個人による職業教育・訓練機会が不十分になりがちな若年層、離職者等を対象とした補完的な役割を担っていた。グローバル化の進展による非正規雇用者の急増や急速な高齢化への対応等、経済社会環境が変化する中、柔軟な就労(フレクシビリティ)と積極的な教育・訓練及び社会保障の充実に基づく安定的な雇用の保障(セキュリティ)を同時に達成する日本型の「フレクシキュリティ」を構築する必要がある。そのためには、広範な中間層人材の育成に焦点を当てた職業教育・訓練の機会の提供が急務である。 |
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| ・ | 以下に対応策を示す。 @ 生涯就業・学習戦略の構築と実行 職業教育・訓練の拡充、能力評価制度の確立、職業教育・訓練と連動した失業保険・失業扶助制度の策定が必要である。 また、若者、女性や高齢者の就業を促進するため、生涯就業・学習戦略とリンクした社会保障プランの構築が不可欠である。 A 教育・訓練分野の本格連携の推進 教育機関と訓練機関間での相互進学・編入、職業教員・指導員の免許統合と共同育成等により連携を強化することが必要である。 B デュアル教育・訓練の本格実施 厚生労働、文部科学の省壁を越えた本格連携により、カリキュラム改訂による大学レベルも含めた職業教育訓練全体での企業実習訓練を大幅に拡大する必要がある。 C 職業教育訓練を包括的に担う「ナショナル・センター」の設立 職業教育訓練分野全体の調査研究、政策提言等を担う機関を設立することが必要である。 D 職業教育訓練に対する労使特に労働組合の関与 労使は、資格の枠組み構築や訓練カリキュラムの作成に積極的に関与する必要がある。 E 諸制度見直しの起爆剤としてのJQF(日本版資格枠組み)の策定 日本においても、教育・職業分野の各資格(学位や職業能力評価基準等を含む広義の資格)レベルを比較可能にする「資格のものさし」策定に早期に取り組む必要がある。 |
小杉礼子 独立行政法人労働政策研究・研修機構労働政策研究所人材育成部門
統括研究員
| ・ | 経済のグローバル化が進展すると、グローバル経済を牽引するような高度人材が必要となり、そうした人材が育成される。しかし、これと同時にこうした経済社会から取り残される人材も発生する。こうした「非グローバル人材」には、若年層・非正規雇用者層・低学歴層がなりやすく、所謂「リーマン・ショック」のような経済の変動により雇用面で影響を受け易い。 |
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| ・ | 日本における人材育成は新規学卒者を一括で採用し企業が職業教育・訓練を行うことが中心となっており、学校での職業教育や公的職業訓練は手薄になっている。未就職卒業者・非正規雇用者のような新卒採用・育成の仕組みに組み入れられない層が増大している。企業による職業教育・訓練に恵まれないと、職業能力開発の機会を得られないまま労働市場に放置されがちである。 |
| ・ | 景気の先行きが軟調である時期には企業は採用人数を縮減し、就職の叶わない新卒者は増大する。卒業の時期によって新卒者の就職可能性が影響を受けてしまうという構造を日本は元来持っており、グローバル化の進展に伴いその影響は顕著になっている。 |
| ・ | 高等学校卒業者の場合、学校が組織的に就職を斡旋しており、未就職者が発生し難い構造があるが、大学では自由応募が基本で、近年ではインターネットの活用等により独りで就職活動を行うことが多くなっている。こうした中で大学による就職指導が学生に届かず、学生の孤立化が進んでいる。国公立大学や入学難易度の高い私立大学は大学による就職指導の関与の度合いに関係なく就職内定率が高水準にあるが、中堅以下の私立大学は大学による就職指導の関与の度合いが就職に大きな影響を持つ。 |
| ・ | 企業がインターネットを介して採用情報を公表することは採用情報へのアクセスの点では機会の均等化が進んだといえる。他方で、応募者過多により、企業は応募者全員への面接を行うことが不可能であることから、「ウェブ・テスト」や採用予定とする大学を絞ることを実施している。こうした新卒一括採用市場の大規模化は学生にとっても企業を把握できないという弊害を惹起している。この対策として、大学で一次面接を行う「オン・キャンパス・リクルート」の促進や大学と企業との連携による情報提供の強化が有効である。 |
| ・ | 新卒時の未就職者や、中途退学者の雇用機会の拡大のためには、ドイツの取り組みのように、こうした者を先ず非正規雇用の「訓練生」として企業に受け入れてもらい、一定の訓練後に正規雇用として採用してもらうというような仕組みを拡充することが考えられる。 |
| ・ | 雇用市場がグローバル化した結果として、労働市場において求められる技能が高水準であるために就職が叶わない「ニート」に対しては、韓国で制度化されているような社会的企業による中間的な就業のしくみも整備すべきである。 |
| ・ | 大学では卒業時に未就職となることを見越して4年生が自主的に1年間留年し、就職活動をもう1年行うといったケースがあり、これを認める大学がある。 |
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| ・ | 日本全体の就職率について2つの議論がある。1つは、職業教育・訓練を充実させたとしても採用枠の総数は変わらないため、職業教育・訓練とは無関係に採用枠の総数を増加させなければならないというものである。もう1つは、職業教育・訓練による能力開発の推進により生産力が上昇し、労働力の需要量・供給量がともに拡大して採用枠の総数も増加するというものである。採用枠の総数の拡大と職業教育・訓練による能力開発の促進に基づく労働需要・供給の拡大について如何に考えればよいか。 |
| ・ | 職業能力の適切な開発が経済発展のために重要であるが、今後、成長が見込まれる産業・職業分野及びそこで必要とされるスキルニーズの予測体制を強化し、その分野での就労に必要な職業教育訓練を重点的に実施することで職業能力開発を経済発展に繋げることができると考える。 |
| ・ | 景気悪化時期に非正規雇用として採用された学卒者を正規雇用へ転換するためには、非正規雇用というマイナス評価を変えるべく就労実績の形成が必要である。例えば「ジョブ・カード制度」は非常に有用である。同制度には、各企業が有期雇用した「訓練生」に公的な能力評価基準に基づく訓練プログラムを企業現場で実施する「有期実習型訓練」があるが、導入企業からの評価は高い。 |
(以上)