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「PRE戦略検討会」(第2回)における有識者ヒアリング 議事要旨

「PRE戦略検討会」(第2回)における有識者ヒアリング
「議事要旨」

1.日 時:平成22年10月21日(木)14:00〜15:40

2.場 所:財務省第三特別会議室

3.出席者

〔有識者〕

小松幸夫氏 早稲田大学理工学術院 創造理工学部建築学科教授
原田昌平氏 新日本有限責任監査法人 不動産セクター日本エリアリーダー
野城智也氏 東京大学 生産技術研究所所長

〔財務省〕

吉田泉 財務大臣政務官
中村明雄 理財局長ほか

4. 概要

  • ○ 冒頭、吉田財務大臣政務官より、概要以下のとおり挨拶。

    • ・ 本年6月にとりまとめた「新成長戦略における国有財産の有効活用について」を受けて、庁舎・宿舎を含む国有財産についての「PRE戦略」の考え方を踏まえた検討等を行うため、専門家である皆様からのご提案を伺いたい。本日は、不動産の保有コストの把握と低減などをテーマとし、忌憚のないご提案を賜わりたい。

  • ○ 財務省事務局より、資料に沿って説明。

  • ○ 原田氏より、資料「効率的な不動産管理のための管理会計」に沿って、概要以下の通り説明。

    • ・ PRE戦略では、フレームワークの設計、全体予算との調整、戦略の策定と行った組織上位レベルでの活動に議論がフォーカスされやすいが、公的不動産に関わる日常の運用・管理業務といった下位レベルでの不断の改善活動が大切であり、これを戦略等にフィードバックすることが重要。

    • ・ 管理会計は、組織における戦略の策定とその実効を支援するためのものであり、CRE戦略の推進に必要な情報を提供。

    • ・ 管理会計は、経営計画等のための管理会計と、経営意思決定のための管理会計に大別。前者では、組織における管理責任単位ごとの予算割当、業績管理に加え、共通費の配賦のためのもの。後者では、種々のプロジェクトにおける個別意思決定を実施。

  • ○ 野城氏より、資料「ストックマネジメントについて」に沿って、概要以下の通り説明。

    • ・ PRE戦略には、いわゆるファシリティマネジメント(FM)の考え方を導入すべき。FMの実施には、個々の既存施設の評価を行うことが必要であり、そのために必要となる評価指標は、政策意思に依存する。

    • ・ ライフサイクルコスト(LCC)に占める建設費の割合はわずかであり、維持管理や施設運用は重要な要素。しかし、LCCに係る勘定費目や支払い組織が異なっているため、LCCの把握がなされず、施設運用にフィードバックや改善策の提示がなされていないのではないか。また、建物の運用を改善し、例えば光熱水費を低減するだけでも、LCCの改善はかなり期待される。

    • ・ 改修工事に際し、工事着手後に余儀なくされる設計変更の工程を「手戻り」という。「手戻り」は、改修費用に大きな影響があるが、建物の現状を把握するための基本情報(図面や改修履歴など)があれば、その発生頻度は減少し、改修費用も低減する。

    • ・ SI(スケルトン・インフィル)方式による建物は、内装を交換することにより、用途変換が容易となるため、不動産に係る戦略的意思決定の選択肢となりうる。

    • ・ FMを実行するためには、財務と技術を一体化し、統一的効率的意思決定を行うことが必要。国有財産建築ストックに係る勘定費目や情報の一元化や、理財局と官庁営繕部の更なる連携強化は必須。

  • ○ 小松氏より、資料「建物は何年もつか」に沿って、概要以下の通り説明。

    • ・ 建物寿命に関連して、サイクル年数(総建物ストック数/新規建築件数)で見ると、日本30年、米国103年、英国141年であり、戸建住宅の平均寿命(残存率が50%となる年数)は、日本40年程度、米国100年程度である。一般に日本の建物ストックは欧米に比較すると短命。

    • ・ 建物の寿命は、税法上の耐用年数や、固定資産税評価基準の経年減点補正などの影響もあるのか、日本ではRCで50年程度と認識されていることが一般的。しかし、建築の観点からは、この認識が合理的かどうかには疑問が残り、実際の寿命はそれよりも長いと考えられる。

    • ・ 日本では、建物が自然に倒壊することは稀であり、建物を壊すのは、むしろ使用者や所有者である。「建物の価値はいずれなくなる」という観念から、「メンテナンスをしない」ことにつながり、結果的に経年建物の価値が低下するという、ネガティブサイクルが出来ているのではないか。発想を転換し、建物の経年減価は必然ではなく、適切なメンテナンスを行えば、経年建物も、新築相当の価値があると考えるべき。

    • ・ 安全性や快適性を維持できるような躯体性能を向上させることや、「レトロフィットシステム」の構築(昔のものを現在にあわせて上手に使う)が重要。

    • ・ 長寿命化を進めることによって、1年当たりのLCCの低減効果が期待される。

  • ○ 意見交換における、各有識者の発言の概要は以下のとおり。

    • (原田氏)

      • ・ 管理会計においても、部局間の勘定費目の統一は必須。また、修繕履歴などのデータの蓄積は、不動産管理にとって重要な要素。

      • ・ 不動産の評価軸の設定には、これといったものはないのが実情であるが、まずは不動産の管理部署の一元化を進めることが重要。

    • (野城氏)

      • ・ スケルトン住宅について、例えば民法上は内装だけの所有権を主張できないなどの点はあるが、徐々に実施可能性は高まっていると考えている。

      • ・ PREとFMの関係については、それぞれが重なり合う概念と考えるべき。

    • (小松氏)

      • ・ 日本の建物寿命について、日本でも寿命を100年程度に延ばすことは可能。歴史的には、戦後の物不足の時期に、ゆとりのないギリギリの設計を行ったことが短寿命の要因と考えられる。また、昔の建物が、高度成長を経て激変した生活スタイルにあわなくなったことや、容積率の問題など、物理的な寿命とは違う事情から、建物が壊されている。

      • ・ 日本におけるFMの解釈は特殊で広すぎるのではないか。基本的にPREがFMの上位概念とみるべき。

      • ・ 不動産のパフォーマンスの評価軸を設定するためには、その前提となる政策の目標をたてる必要がある。公務員宿舎であれば、必要性から始まって、その在り方を検討した上で、現在保有している宿舎の取扱いを考えていくべき。

      • ・ LCCの把握の前提となる建物寿命について、維持管理を適切にすれば、物理的には100年でも保つと考えている。ただ、LCCを算定する場合の期間については、実務的には、30年から60年の間で設定し、例えば10年ごとに見直しを行っていくのが現実的ではないか。

  • ○向井理財局次長より、以下の通り閉会の挨拶。

    • ・ 不動産の保有コストや戦略的維持管理に関して、貴重なご提案を頂いた。

    • ・ 厳しい財政状況の中、国有財産に係るコストを極力低減することを目指し、「PRE戦略」によって、より効率的な国有財産行政を推進していく所存。