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「PRE戦略検討会」(第1回)における有識者ヒアリング 議事要旨

「PRE戦略検討会」(第1回)における有識者ヒアリング
「議事要旨」

1.日 時:平成22年9月7日(火)14:00〜15:30

2.場 所:財務省第三特別会議室

3.出席者

〔有識者〕

山内弘隆氏 一橋大学大学院 商学研究科教授
山本康友氏 首都大学東京 都市環境学部特任教授
久木野良樹氏 みずほ信託銀行 不動産コンサルティング部長
星野拓美氏 みずほ信託銀行 不動産コンサルティング部次長

〔財務省〕

池田元久 財務副大臣
古本伸一郎 財務大臣政務官
中村明雄 理財局長ほか

4. 概要

  • ○ 冒頭、池田財務副大臣より、概要以下のとおり挨拶。

    • ・ 本年6月にとりまとめた「新成長戦略における国有財産の有効活用について」において、庁舎・宿舎を含む国有財産について、「PRE戦略」の考え方等を踏まえた検討を行うこととした。

    • ・ 国有財産における不動産の最適化戦略の考え方を踏まえた検討、及び併せて行うこととしている公務員宿舎の在り方の検討を行うに際し、専門家である皆様からのご提案を伺いたい。

  • ○ 財務省事務局より、資料に沿って説明。

  • ○ 山内氏より、資料「PREの必要性と留意点」に沿って、概要以下の通り説明。

    • ・ 国の財政が逼迫している中、既存のストックである国有財産を活用することは重要。不要な不動産についても、売却するだけでなく、長期的・政策的な視点も持つことも必要。

    • ・ 国有財産の効率化を進めるにあたっては、3段階で検討することが重要。第一に、物理的効率性のため、ストックの必要量を切り詰めること。第二に、経済的効率性のため、投資価値を貨幣で表示するなどして真の価値を把握すること。第三に、社会的効率性のため、行政が国有財産をうまく使い、社会全体のプラスとすることや、庁舎や宿舎を都市の政策の中でどう活かしていくか、将来的にどう位置づけるか等の視点を持つこと。

    • ・ 機能劣化に対応する必要。その際、すべてのストックに一様に対応するのではなく、経済的・社会的効率性を勘案し、効果を把握して対応。

    • ・ シャドープライスの捉え方を踏まえ、経済的効率性の観点から、財産の価値を機会費用的に捉える。

    • ・ 民間に蓄積されているノウハウを活用し、例えば、投資価値分析、コスト分析、売却収入と賃貸収入の比較などを行うべき。分析する際には、必要な情報を把握することがポイントであり、また、政策的観点も重要。

    • ・ PRE戦略では、社会資本ほど明確に外部効果をベネフィットに取り込んで考える必要はないが、ある程度の政策的寄与は考慮するべき。

    • ・ 国有財産の規模や多様性を考えると、業務的な難しさがあるのではないか。財産の種類などによって部分最適を進め、その後、全体最適に結びつけることが重要。

    • ・ ライフサイクルコストの把握と投資選択の最適化を行う必要があるが、その際、適切な割引率を選択することが重要。

  • ○ みずほ信託銀行久木野氏及び星野氏より、「PRE戦略における資産分類の考え方」に沿って、概要以下の通り説明。

    • ・ PRE戦略推進上の情報の集約・分析にあたり、特に組織が大きい場合は、不動産を、用途別・エリア別等でグループ化して実施することが重要。

    • ・ どの資産を残すかとの観点からは貢献度分析を、どの資産を市場で処分するのかとの観点からは市場性分析を用い、再編計画を検討すると効果的。

    • ・ 投資価値分析は、内部価値の定量評価が困難な国有地には適さない手法。

    • ・ コスト分析を行い、保有コストと賃借コストを比較する際、機会費用等のキャッシュフローに現れない潜在的なコストがあることに留意が必要。

      本社・庁舎などの必要な不動産については、余剰している床面積について、機会費用を見込むなどの工夫が必要。

  • ○ 山本氏より、資料「PRE(Public Real Estate)戦略 −公共建築資産への戦略的投資−」に沿って、概要以下の通り説明。

    • ・ 公共資産に対しては、事業として有効に活用されているもの、街づくりに役立つもの、財源となるもの等の視点があるが、その他に、「将来、役立つ用地で、今後、入手不可能なもの」という視点も重要。

    • ・ 主に地方自治体における公共建築課題として、施設データが統一されていないこと、老朽化・耐震対応の必要性があること、建替え・大規模改修・設備更新が集中すること等があげられる。

    • ・ 公共施設に係るライフサイクルコストは、建築から年月が経過するにつれて、維持管理費用の割合が増えて建設費の割合が減る。築37年のある庁舎の例では,建設費の割合は9%に過ぎない。

    • ・ 国と地方自治体の公共施設は総合的に捉えて最適化に結びつける必要がある。

    • ・ 公共施設における今後のPREの方向性として、導入時の文書規定整備、導入効果の検証、所有不動産の把握、最適保有量の算出、地域連携の可能性の検証、行政も収入を得る仕組み作り、環境保全に係る負担計算について検討することが考えられる。また、仕組みは状況変化に応じてすぐに直せるシステムにすることが重要。

  • ○ 上記説明に続いて意見交換が行われたところ、古本財務大臣政務官より、以下のような発言があった。

    • (古本政務官)

      • ・ 少子高齢化社会に入り、人口減少、地価下落が進み、高度経済成長時の土地神話は崩れ、不動産を購入することは負の効果となる場合もある。そこで、既存のストックを活用することが重要。

      • ・ 都心の一等地など、国家として持てるツールを最大限有効活用することも重要。税外収入によって国民負担を余計に課さないようにすることも可能。

      • ・ 国と地方公共団体が不動産を相互に活用することも重要。国有地を地方公共団体に貸し出せば、地方公共団体は事業に必要な土地の購入費用が節約でき、それをストックマネジメントに充てることもできる。

  • ○ 意見交換における、各有識者の発言の概要は以下のとおり。

    • (久木野氏)

      • ・ 現在保有している不動産を有効活用し、長期で運用することは、国にとっても有効な手段。

      • ・ 民間は、リスクを取りながら開発メリットを得ようとするものであり、土地購入ではなく、国からの借地を活用するのであれば、投下資本を少なくできる。

    • (山内氏)

      • ・ 国有財産を、法律上の分類もさることながら、経済的視点から捉えて分類していくことも重要。

      • ・ コスト分析等を行うにあたり、リスクの把握を行い、評価・分析を進めることも重要。

    • (山本氏)

      • ・ 建築物は、修繕を行わなければ、劣化が激しく進むもの。マンションの修繕積立金のようなことを行い、減価償却費程度の積立を行うことも考えられる。

  • ○中村理財局長より、以下の通り閉会の挨拶。

    • ・ 「新成長戦略」の施策を踏まえ、国有財産行政が新たな展開を図っていく中、今後の国有財産行政の在り方を考える際の、大変重要な示唆を得ることができた。

    • ・ 皆様からのご提案をもとに、より一層充実した国有財産行政を実施していく所存。