| ○冒頭、野田財務副大臣より、挨拶として、概要以下のとおり発言。 ・菅大臣の指示により、新成長戦略において国有財産を政策ツールとして活用を図る案を理財局に検討させてきた。 ・これまでのヒアリングでは、有効活用における貸付の活用などについて、たいへん示唆に富み、新鮮なご意見も頂いた。今回も忌憚のないご意見をお願いしたい。 ○財務省事務局より、「新成長戦略」における国有財産の有効活用の在り方に関する検討状況について、資料(“「新成長戦略」における国有財産(未利用国有地等)の活用について(素案)”、“未利用国有地の管理処分の現状と問題点”)に沿って説明。 ○田中氏より、資料(“「新成長戦略」における国有財産の有効活用”)に沿って、概要以下のとおり説明。 ・新成長戦略は財政再建とともに市場が注目している重要な課題である。 ・国有財産の有効活用においては、民間部門も含めた国富の増大を目標として戦略を作成し、それに沿った効率的な活用を行うべき。国有不動産については民間目線で洗い出し、政策性及び事業性の観点から検討、事後検証することが必要。 ・活用に当たっては普通財産、未利用国有地約4,000億円では不十分であり、行政財産も視野に入れ、貸付を含めた活用を考えるべき。 ・貸付の場合には、単なる売却と異なり、長期の事業収益に依存することになるため、事業性評価が重要となる。貸付における事業性の評価においては、事業としての存立基盤及びキャッシュフローの2つの観点から見ることが重要。資料の羽田空港国際線旅客ターミナルPFI事業の例は事業として優れた例である。ただし長期にわたる事業の評価は難しく、地方への大学進出などでは、その後の法制の変更や需要の変化などで上手くいかなかった例も多い。 ・キャッシュフローについては、キャッシュフローが生まれれば持続的な事業運営が可能となり、中長期的には国の税収増にもつながる。 ・国有財産を貸し付ける場合、何にでも貸し付けるのではなく、新成長戦略で挙げられた政策分野を対象とすることが理解を得られやすい。特にこうした分野での事業は必ずしも直ちにキャッシュフローが得られないケースも想定されるので、政策性による判断並びに支援措置が重要である。 ・国有財産の利活用にあたっては、単に貸付による地代を得るだけでなく、空中権やネーミングライツも検討すべき。空中権により余った容積を周辺地域に移転させることにより、地域の活性化や街作りに貢献できる。またネーミングライツは地方自治体での活用も多く、国でも活用することは考慮に値する。 ○佐々木氏より、資料(“国有財産のバリューアップ戦略”)に沿って、概要以下のとおり説明。 ・新成長戦略においてはグリーンニューディールが一つの柱となっているが、特に地方公共団体には老朽化した公共施設が大量にあり、積極的な環境対応型の更新投資を行っていくことが必要となっている。 ・地方自治体の公共施設の大半は学校。老朽化により改築・改修が必要となっており、維持管理コストの増大が問題となっている。自治体によっては施設の一部を廃止しなければ維持できないようなところも出てくるかもしれない。実際、公共施設の殆どは赤字。 ・公共施設の有効活用のためには、人件費や減価償却費などのトータルコストを用いてコストパフォーマンスを分析することが必要であるが、これまで特にこうしたコスト情報が住民に十分に開示されてこなかったことが、有効活用が進まない大きな要因となっている。 ・これまでは地方自治体間や各省庁間で物量的な施設の整備状況が競われてきたが、これからはコストパフォーマンスの比較が重要となる。健全性などの財務諸表からの判断だけでは、有効活用に結びつかない。 ・さらに、地域にとっては、コストパフォーマンスを重視しながらも、コミュニティとして学校などの維持が必要な場合もあり、施設の集約化と多機能化がこれからのキーワードとなってくる。 ・国有財産についても同じような考え方で維持管理費の圧縮に努めながら、必要な資産は維持し、その更新費用に充てるという考え方が必要になってくる。 ○野城氏より、資料(“国有財産の利活用について−我が国の持続的発展のために”)に沿って、概要以下のとおり説明。 ・国有財産の利活用を考えるに当たっては、まず1点目として、ファシリティマネジメントの体制を構築し運用すべき。ハコモノといわれる公共施設・建物は行政サービスを提供する手段として、そのサービサビリティを考えるべき。その上で現在あるストックの客観的な状況と潜在的な需要も含めた行政需要との差違を埋めるために、施設・建物の要否・活用可能性を判断していく必要がある。 ・現況用途で使用継続とされた場合でも、一定期間ごとにそのサービサビリティを評価し直すことが必要。使用継続する場合には、大事に資産を使う観点から、入居官署等の使用者に応分の維持保全費用を負担してもらうべき。現状では、必ずしも修繕費が負担されず、劣化・陳腐化している施設も少なくないと見受けられる。一方で保全・修繕費の合理化も重要。 ・「遊休」財産は民間の叡智を結集して利活用を考えるべき。 ・国有財産において、ファシリティマネジメントを有効に実施していくには、国有財産にかかる情報の一元管理、評価と経営判断の独立性確保、技術的判断と財務的意志決定の一体化が不可欠であり、組織的起源を共有している、財務省理財局(国有財産担当部局)と国土交通省官庁営繕部の一体化も検討すべき。 ・2点目として、次世代の裁量権の保全の観点を取り入れるべき。資料のかつての環状緑地帯構想の顛末にかかわる教訓の例からも分かるように、国有財産については長期的な構想に立って、我々の世代の都合だけで考えずに次世代に決定権を残すという配慮も必要。 ・3点目として、「遊休」国有財産をイノベーション誘発地点としての活用を考えるべき。イノベーションとして普通想定されるのは「科学主導型」だが、今の日本で必要とされるのは「潜在型・顕在的必要性索引型」のような、まずニーズがあって、それにあわせて従来の産業や企業の枠組みを超えて新しいビジネスモデルなり仕組みなりを作っていこうというイノベーションのあり方や、さらに進んで「繰り返しフィードバック型」というより高度な主体間の融合を伴うあり方で、都市における知識集約と出会い機会の高さが重要となってくる。「遊休」国有財産の中には立地、規模等の面からこうした知識集約、出会い機会の拠点として活用しうるものが少なくないと思われる。例えばこれをベンチャー系などの拠点として意図的に整備していくことができるのでないか。千代田区、世田谷区、長岡市などでの事例が参考となりうる。 ○新藤氏より、資料(“未利用国有地の有効活用方法について”)に沿って、概要以下のとおり説明。 ・未利用国有地を定期借地権による貸付で活用することは、地方自治体等からのニーズに対応できるという点からも期待できる。 ・定期借地権の経済優位性の考え方としては、本ヒアリングの第1回目でも紹介があったが、「逓増年金現価率の式」により説明できるもので、「貸付期間における毎期の純地代収入の現在価値の合計」と「貸付期間満了時に復帰する土地価格の現在価値」を加算したものと「現時点の土地価格」を比べる。本来ならばこれはイコールになるはずだが、現実にはそうならない。地代は2、3年毎に見直される習慣がある一方、土地価格はマクロ経済状況に大きく左右されるなど、地代の市場と土地の市場が異なった変動の仕方をするためである。 ・貸付の優位性を判断する場合はこの式の右辺がプラスになればよいということになる。3つの主要因があり、 純地代利回りが高く、 割引率が低く、 地価上昇が高く見込めるほど優位になる。 ・利回りとしては、住宅向け(分譲マンション)の一般定期借地権の場合、平均1.8%。住宅以外の一般定期借地権の場合、2.1%〜2.7%の水準。事業用定期借地権の場合、2.0〜4.5%のレンジで平均は3.8%。 ・割引率については、リスクプレミアムがマクロ的なインフレ率だけでなく、契約の仕方、用途、相手先、業種によって変わってくることに注意が必要。 ・土地価格については、六大都市(特に商業地)の変動が大きかったが、最近は下落率も縮小してきている。他方、地方都市は依然として同じような下落率を示している。 ・このことから、貸付が優位となるのは地価の上昇が期待できる大都市の物件になると考えられる。これに対して地方では貸付が優位とはなりにくいが、地方自治体や民間の力を借り、地域の特性を活かすという観点からアイデアを出せば、必ずしも悲観的なことにならないと考えられる。 ○大和ハウス工業より、資料(“国有地の有効活用について”)に沿って、概要以下のとおり説明。 ・定期借地権による貸付と売却等の他の活用方法を比較すると、一般的に定期借地権での貸付の実質地代利回りは低いため、事業の収益性はそれ程高くないといえる。 ・デベロッパーの立場での定期借地権のメリットは、投資が不要で減損リスクがなく長期使用が可能ということ。デメリットは売却その他の処分の制限、担保価値の制約などだが、昨今は処分解体費も上がっているので原状回復費用が必要という点も重要。 ・商業系については、20年未満でロードサイド店舗等への貸付が中心となっている。当社でも大きな柱として積極的に展開している。地主サイドにとっても短期で土地が帰ってくる点がメリット。 ・住居系は、商業系ほど普及していないが、賃貸住宅については平成14年にURに新しい制度ができたことを機に活用してきている。 ・業務系も物流関係では一般的である。新成長戦略で検討している医療・福祉分野での活用は、事業用定借では法律上「居住用を除く」と規定されていることから、長期利用者等をどう解釈するかの問題があり、頻度は少ない。 ・資料で紹介した豊洲の例は、地域コミュニティの活性化と子育てに貢献するということで、収益性は低いものの、賑わい施設として暫定利用することで街全体が活性化し、街のバリューアップによる価値の向上を期待している。 ・賃貸マンションの例はURの制度を利用したもので、入居率も高く好評を博している。 ・定期借地権の課題としては、公共施設の帰属の問題、担保設定の制限による金融機関からの融資の制約などがある。 ・国有財産での有効活用を検討する際には、土地利用に関する行政サイドでの事前調整、土壌汚染や地下埋設物についての事前処理が望まれるとともに、国有地を含む周辺地域で区画整理などの面的開発が行われることで価値の向上に繋がることもあるので、検討することをお願いしたい。 ○上記説明に続いて意見交換が行われたところ、古本財務大臣政務官、大串財務大臣政務官より、以下のような点について各有識者の方々のご意見を伺いたいとの発言があった。 (古本政務官) ・未利用国有地の売却を促進してきた結果、都心の一等地にある国有地は少なくなってしまったものの、その他の地方の国有地などで介護や福祉のために貸付を活用できるのではと考えているが、こうした点についてアイデアを聞かせて頂きたい。 ・例えば保育所には住宅地に近い駅前の土地が適しているが、こういう土地が国にない場合、他の土地との交換で手にいれるということは考えられるか。財務省が不動産業のようなことまでやるべきではないとの考えがある一方、人々が困っている分野には政府ができるだけのことをすべきとの考え方もある。 (大串政務官) ・国有財産の情報公開について、国以外の公的財産も含めて情報公開を進めるべきとの意見もあった。地域の実情に適した活用を検討するという観点からも詳細な情報提供が必要と考えるが、国有財産の情報公開についてどう考えるか。 ○上記発言も踏まえて、各有識者より発言があったところ概要以下のとおり。 (大和ハウス) ・デベロッパーとしては福祉分野でも積極的に展開していきたいと考えているが、現実には運営する者が少ないという点が問題。豊洲の例でもベンチャー事業者が参加してくれたが、実施に当たっては当社からの信用補完が必要となった。 ・地方中核都市でも駅前の優良地は少ないので、国有地で活用できるようなものがあれば是非定期借地権を利用した活用を実施して頂きたい。暫定利用、買取オプションなども含めて検討して頂くと流動化が進むと期待できる。 ・国有地に関する情報をできるだけ開示し、その活用にあたっては幅広く提案を募集して頂くと、地方の起業家が立ち上がると期待できる。その際には懸賞をつけると面白いアイデアも来るのではないか。 (野城氏) ・福祉事業においては経験に富むオペレーターが不足している点が問題。事例を重ねノウハウを蓄積することにより、必要な支援が得られるようにしていくべき。また、更地化して新築しなくても遊休施設の転用により低いコストで、福祉事業者が参入できる場合もあるので、こうした可能性も考慮に入れるべき。立地、経験に富むオペレーターの存在、既存施設の転用可能性がポイントと考える。 ・街作りの基本として、街区・住区ごとに自己充足性があるべきとの観点からは、まずその土地にあった活用方法を考えることが必要となる。街区・住区の整備に当たっては、所管にとらわれずに全体を俯瞰し構想できる主体があれば、使える土地が出てきた時に有効に活用できる。 ・情報開示の問題点としては、起業家、地域のNPOなどに必要な情報が伝わっていないこと。GIS(地図情報システム)に、各公的セクターが管理する資産にかかわる情報をリンクさせるなどの工夫もしながら、公的部門全体の資産についてできるだけの多くの情報が一元的に閲覧でき、社会全体で共有されるような工夫があるべき。 (新藤氏) ・建築基準法や都市計画法においては環境やCO2削減に配慮した建物に容積率を緩和するといった優遇措置があるように、福祉に貢献するような活用についても何らかの優遇措置を取ることで民間に参入のインセンティブを与えることができるのではないか。 ・地元の人々にとっては、保育施設などは、都心の職場付近の立地になくても必要な場合もある。そうした場合に、例えば、貸付の交換など、地元ならではのアイデアを活かした解決方法があるのではないか。地元地域から上手くアイデアを引き出す仕組みが必要。 (田中氏) ・土地には地域性、個別性があるので、均一の財を前提とした金利・為替スワップマーケットと異なり、活用できない土地と出来る土地をバルクで交換するのは、通常は現実的に難しいだろう。その土地にあった最適有効利用を促していくことが基本。その様な認識の下で、必要な場合には何らかの政策誘導を行っていくべき。現に持っている土地を活かすという観点からは、活用できない土地は売り、必要な土地は手当てするというのが素直な考え方であろう。 ・国有地の有効活用については、最適有効利用でできるだけ収益を上げるか、政策目的の実現に使うかという選択肢がある。環境・介護・保育施設など、これからの日本に必要な産業分野を育成していく産業政策の観点が重要であり、その政策目的に沿った活用を行うべきである。その様な政策目的の場合、育成の目的達成のためには何らかのインセンティブを与えることも考慮すべき。国有地の場合、固定資産税がない分、比較的廉価で貸せること自体がインセンティブになりうると言える。 (佐々木氏) ・地方分権改革の第3次勧告に保育園に関する規制緩和があり、これを受けて、さいたま市が条例で園庭の要件を緩和し、駅前に保育所を開設した例があったが、こうした例も参考になるのではないか。 ・同じ自治体内でも資産に関する情報が共有されていないことがあり、「施設白書」の作成を提案したことがある。実際に作ってみると、厳しい現実が市民に伝わり前向きな意見が出るようになった。公的部門が一元的にまとめた情報を開示していくことは極めて重要。 ○大串財務大臣政務官より、閉会の挨拶として、概要以下の通り発言。 ・できるだけ前向きな観点、新しい発想で国有財産の活用方針を作っていきたいと考えている。皆様のような外部の方々から意見を頂くことは極めて重要。 ・今後ともご意見を賜っていきたいので、ご協力をお願いしたい。 |