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「新成長戦略」における国有財産の有効活用の在り方に関する民間有識者等からのヒアリング(第1回)議事要旨

「新成長戦略」における国有財産の有効活用の在り方に関する
民間有識者等からのヒアリング(第1回)
[議事要旨]
 
 
1  .  日 時:5月12日(水)16:30〜18:00
     
.  場 所:財務省第三特別会議室
     
.  出席者
     〔有識者〕
   

 川口有一郎氏  早稲田大学大学院ファイナンス研究科教授
 奥田かつ枝氏  株式会社緒方不動産鑑定事務所取締役
 角倉英司氏   みずほ信託銀行常務執行役員
 久木野良樹氏  みずほ信託銀行不動産コンサルティング部長
 星野拓美氏   みずほ信託銀行不動産コンサルティング部次長

〔財務省〕 野田佳彦  財務副大臣
      大串博志  財務大臣政務官
      川北 力  理財局長
概要
   

○冒頭、野田財務副大臣より、挨拶として、概要以下のとおり発言。
 ・昨年の政権交代以来、国有財産について有効活用を図るよう事務方に指示してきたところ、菅大臣の指示も踏まえ、「新成長戦略」での活用を検討することになった。
 ・この検討に当たって専門家の方々からのご提案を伺うために今回のヒアリングを開催させて頂いた。

○財務省事務局より、「新成長戦略」における国有財産の有効活用の在り方に関する検討状況について、資料(“「新成長戦略」における国有財産(未利用国有地等)の活用について(素案)”、“未利用国有地の管理処分の現状と問題点”)に沿って説明。

○川口氏より、資料(“「新成長戦略」における国有財産の有効活用(案)”)に沿って、概要以下のとおり説明。
 ・「新成長戦略(基本方針)」においては、その6つの軸をどのようにマクロ経済の成長の3要素、「資本」、「労働」、「生産性」の増加に結びつけていくかが課題。その中で、環境・耐震性に配慮した庁舎・宿舎の整備、病院保育所などの併設、地域と連携した街作りなどを通じ、国有財産の活用が具体的に寄与するものにできると考えられる。
 ・全社会的な取り組みとして環境配慮型の不動産の経済価値がプラスに評価されるような取り組みが必要だが、国有財産の有効活用策においては、そうした取組みを国が先導していくことも期待できる。
 ・国有財産の活用を「新成長戦略」において新しい切り口で考えるにあたっては、「売却」に加えて「貸付」による活用も検討する必要があり、その判断にあたっては、費用基準、収益性基準、政策基準の3つの基準が考えられる。
 ・日本では土地に関する私権の制限が世界でも例がないほど緩い。今後は、外国人を含めた民間の土地利用については、底地を国が保有したまま利用権を与える方法も考えるべき。その観点からも国有地の「貸付」を進めることは有益。
 ・国有地の貸付においては、定期借地権の利用を基本に考えるべき。

○奥田氏より、資料“国有地有効活用への提案”に沿って、概要以下のとおり説明。
 ・土地の有効活用にあたっては、まずは個々の土地が有する特性を確認することが必要。
 ・
さらに国有地については、監査という形で国有財産の洗い出しを行うことからスタートし、どれほど実際に活用できる土地があるか確認することが必要。
 ・また、国有地の場合には、その公共公益性から、収益による経済性の観点だけでなく、国民のニーズに応えるといった政策的観点により判断することも必要。
 ・国有地の有効活用を考える場合には貸付による活用策が考えられる。
 ・国が建てた建物も含めて土地を貸す場合、建築コストの回収、賃貸事業のリスク、効率的運営といった観点も必要になるが、こうした点は既に民間にノウハウがあるので民間に任せ、国が貸付を行う場合は土地のみの貸付にすべき。
 ・国が土地の貸付を行う場合は定期借地権の利用が望ましい。土地の特性から、長期的に一定利回り以上の安定収益が確保できる場合は経済性の観点から貸付(定期借地)を選択することが合理的と判断できる。
 ・純地代の現在価値の合計と将来返還される際の土地の価値の合計が売却収入を上まわっていれば、貸付に経済的優位性が認められる。国の場合、期待収益率としては国債利回りが想定されるので、地代の収益が国債金利を上回れば保有(貸付)が有益となるが、土地価格が下落しないことが前提となる。
 ・貸付の経済的な優位性が期待できない地方や郊外の土地であっても、政策的観点から貸付を選択すべき場合もありうる。地元住民のニーズを的確に把握し、そのニーズに応える公共施設を作る場合に、投下資本を抑えることができる貸付は有用。
 ・政策的観点からの貸付においては、建物の用途変更や増改築への柔軟な対応が可能となるような法律等の仕組みも必要。 

○みずほ信託銀行より、資料“国公有地の有効活用手法について”に沿って、概要以下のとおり説明。
 ・国や地方自治体の土地信託案件においては、当初は、建物建設による収益確保という単純な形での信託活用が多かったが、最近では街作りへの貢献といった複合目的での事例も増えて来ている。
 ・信託の活用事例の分類としては、売却/貸付、土地貸付/建物貸付、収益目的/公共施設整備目的などの類型に分類できる。
 ・国公有地の有効活用の具体的な事例は資料の2ページから9ページのとおり。
 ・定期借地事業については、住居系の場合、地価の高い大都市圏では需要もあり、貸し主にとっても売却価格より権利金・地代等の総和の現在価値が上回る場合があるが、地方では一般に地価が低いため需要は少ないと思われる。業務商業系の場合、ロードサイド店舗などで高い売上げが見込めるような土地の場合は収益性が見込まれ、需要もある。都心のオフィスビルなどは需要が見込めるが、今のところ実例は少ない。

○上記説明に続いて意見交換が行われたところ、大串財務省政務官より以下のような点について各有識者の方々のご意見を伺いたいとの発言があった。
 ・国が土地の貸付を行う場合の収益性のメルクマールとしては、国債金利以上の地代利回りがあれば合理性があるということになるが、一方で過剰な政府介入、官の肥大化は避けるべきとの考え方もある。どういう仕切り方で考えるべきか。
 ・収益性の判断については、市場が完璧であれば売却も貸付も同等になるはずだが、実際にはそのぶれが大きい。その要因についてどう考えるか。
 ・
土地の特性にあった活用が必要だが、国有財産として行政が管理処分を行う場合に、どの程度、柔軟な対応ができると考えられるか。
 ・国有財産の活用については、菅財務大臣とも議論し、行政内部だけで考えるのではなく、外部の方々に精査して頂き民間のイニシアティブを活用していくべきとの考えから、今回ホームページでの提案募集やヒアリングなどを実施した。こうした趣旨を踏まえ意見聴取の在り方についてもご提案はないか。

○上記発言も踏まえて、各有識者より発言があったところ概要以下のとおり。

(川口氏)
 ・現在の国有財産全体の残高は
GDP比の20%程度で世界的に見てもそれ程大きなものではなく、現有資産の活用のため貸付を行うというのであれば、「大きな政府」との懸念はないのではないか。
 ・国民の間にある日本の財政への無用な不安を無くすためにも、国有財産の活用方法について、どのような方向で財政安定化と結びつけていくのか、国民にとって分かり易い規律を作り、その方針を示すべき。
・将来成長の期待や不動産サイクルの影響で、不動産の取引価格は収益還元価格と一致せず、ぶれが大きいため、売却か貸付か、政策として合理的に判断するのは難しい。
・地方の売れない土地を貸付で活用するためにも、
PRE(Public Real Estate)戦略のような形での資産整理を取り入れるとともに、柔軟な対応のための法令等のルールの変更が必要。
・有効活用のための意見を集めるには、地方公共団体に加えて関係者のネットワークを利用し情報提供していくことが必要。具体的なモデルを示さないと分かりにくいので、これまでの有効活用の事例についても公表していくべき。

(奥田氏)
 ・民間でできることは民間のノウハウを活用すべき。ただし不動産市場が低調な時期に、国が政策的に必要な不動産を取得し公共のニーズに寄与していくことは、選択肢となり得る。
 ・収益性からは、将来、土地価格が上がれば貸付の方が優位性があることになるが、近年、土地価格が下がり続けてきたことからすると、過去の国有地の売却も間違ったものではなかった。逆に、今後、新成長戦略により不動産価格が上昇していくという前提であれば、保有することが経済的に有益ということになる。
 ・現在、国有地の貸付については相当制約があるようなので、地元のニーズに応じた活用をしていくには、現行の法令上の制約を変えていくことも必要。
 ・どのような未利用国有地があるのか、財務省のホームページで公表されてはいるものの、一般の人々にはどう使っていいか分かりづらいところがある。
 ・国有財産の活用について幅広く意見募集することも必要だが、住民ニーズを把握している地方公共団体からの意見も聴取すべき。逆に、今回説明のあった定期借地権の利用のような土地活用のアイディアを地公体に紹介するのも良いのではないか。

(みずほ信託銀行)
 ・貸付を導入するにあたり、国が新たに取得してまで不動産業のようなことまで行うのは疑問であるが、国が現在保有している資産を有効に活用するため貸付を行うということであれば、問題ないのではないか。
 ・住宅地は比較的、土地価格と権利金・地代等の貸付条件との関連性が高いが、ロードサイド店舗用地などは、期待売上高から諸経費を差し引き支払い可能な地代が算出されるので、必ずしも地価には連動しない。収益性の判断には個々の土地の特性が大きく影響する。
 ・民間では保有資産の活用を検討する場合には、
CRE(Corporate Real Estate)戦略として、個々の資産の特性を分析し、本業で活用すべきもの、処分すべきものなどを色分けする。国有財産についても、PRE(Public Real Estate)の考え方を導入し、監査等を利用し、こうした色分けを実施する必要がある。
 ・国有財産の活用を検討していくにあたっては、地方公共団体も含めて、行政としてどういうことをしたいか、その目的に優先順位をつけ、その上でその目的に沿って活用できる土地がどれくらいあるのか、個別の精査を行うべき。そうすると、例えば活用も難しく、管理コストだけがかかるような土地などもあるだろうから、そのような土地は活用というよりは、どのように処分するか、バルクで売却することなども検討すべき。
 

○大串財務大臣政務官より、閉会の挨拶として、概要以下の通り発言。
 ・今回の「新成長戦略」における国有財産の有効活用の検討においては、どのやり方が国や国民にとって経済的に合理的かを情緒的にならずに議論し、かつ行政内部だけでは知恵が及ばない部分を取り入れるため外部の方の意見を聞くこととし、このような方法で行わせていただいた。
 ・当面は、「新成長戦略」での取りまとめのための検討を行っていくが、今後更に法制度の見直しを含めた議論を行っていく必要もある。今後ともご意見を賜っていきたい。