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為替制度




外国為替市場


 外国との貨物の輸出入取引や資本取引では、代金決済のため自国通貨と外国通貨を交換する必要がありますが、この異なる通貨どうしを交換することを外国為替といいます。そして自国通貨と外国通貨や外国通貨と外国通貨を交換(売買)する場を外国為替市場といいます。しかし、市場とはいっても、物理的な取引所があるわけではなく、実際は電話等の通信手段を通じて取引が行われています。

 また、ある通貨と他の通貨の交換比率を外国為替相場といいます。為替相場は、各国経済の基礎的条件(経常収支、物価、成長率、金利水準等、様々なものが考えられます)や、国際政治経済情勢等に対する思惑などにより変動します。為替相場は、輸出入物価等を通じて様々な国内経済活動に影響を与えるため、あまりに急激な変動が起こると、経済の持続的な成長を阻害するおそれもあります。財務省は、各国通貨当局と緊密に連携を図りつつ、相場の乱高下防止に努めています。

(1)

 外為法の目的
 外国為替及び外国貿易法(以下「外為法」という。)は、第1条において、「外国為替、外国貿易その他の対外取引が自由に行われることを基本とし、対外取引に対し必要最小限の管理又は調整を行うことにより、対外取引の正常な発展並びに我が国又は国際社会の平和及び安全の維持を期し、もって国際収支の均衡及び通貨の安定を図るとともに我が国経済の健全な発展に寄与することを目的とする。」と規定しています。

(2)

 外為法の変遷
 外為法は、1949年(昭和24年)に、「外国為替及び外国貿易管理法」として制定されましたが、当時の我が国経済を取り巻く環境を反映して、「対外取引原則禁止」の建前となっていました。
 その後、1980年(昭和55年)の改正において、対外取引を原則自由とする法体系に改められ、1998年(平成10年)の改正では、事前の許可・届出制度を原則として廃止するとともに、外国為替公認銀行制度、両替商制度を廃止する等、自由で迅速な内外取引が行えるよう、欧米先進諸国並みの対外取引環境の整備が図られました。この時の改正では、国際約束を履行するため必要があると認めるときに加えて、国際平和のための国際的な努力に寄与するため特に必要があると認めるときにも経済制裁等の措置を講ずることが可能となりました。
 2001年9月の米国における同時多発テロ事件の発生以後、国際社会においてテロ資金対策が重大な課題となり、これを受けて2002年(平成14年)5月には、金融機関等による顧客本人確認を義務化する等の改正が行われました。【外為法改正の概要(2002年)
 また、2004年(平成16年)2月には、近年における我が国を取り巻く国際情勢にかんがみ、我が国の平和及び安全の維持のため特に必要があるときは、閣議において対応措置を講ずべきことを決定することができることとし、閣議決定が行われたときは、主務大臣が支払等について許可等を受ける義務を課することができるようにする等の改正が行われました。【外為法改正の概要(2004年)
 このように、外為法は、国内の規制緩和の流れ、国際金融のグローバル化、国際情勢の変化等を背景とした累次にわたる改正を経て現在に至っています。
(参考)我が国の為替管理政策の変遷

(3)

 外為法の内容
 外為法は、外国為替、外国貿易その他の対外取引を総合的に対象とする法律であり、我が国の対外取引の基本法となっています。

 

1.

 内外資本取引
  企業や個人は自由に海外の企業や個人と資本取引、決済等を行うことができます。

 
例えば・・・

海外に預金口座を開設し、その口座を通じて海外での取引の決済を行ったり、通信販売の代金を払うこと

海外との資金の貸付・借入

居住者間の外貨建て取引(企業間でのドル建て決済等) 等

 

2.

 外国為替業務
 1998年(平成10年)4月以降、外国為替銀行制度、指定証券会社制度、両替商制度が廃止され、外国為替業務に着目した規制が撤廃されました。したがって、銀行以外の者でも自由に外貨の売買を業務として行うことが可能です。ただし、為替取引、預金の受入れ等の業務を行うことについては、別途銀行法等の適用があります。

 
例えば・・・
海外出張で持ち帰った外国通貨を個人間で交換
一般商店店頭で外貨両替、トラベラーズチェックを販売 等
 

3.

 事後報告制度
 1998年(平成10年)の外為法改正により、内外資本取引等に係る事前の許可・届出制度が原則として廃止され、代わって事後報告制度が法運用上の重要な柱の一つとして位置付けられています。
 具体的には、一定金額以上の支払等、資本取引、外国為替業務に関する事項について事後報告の提出を求め、国際収支統計の作成や市場動向の把握等に利用しています。
外為法の報告書提出等に関するご案内(日本銀行ホームページ)

 

4.

 国際的な要請への対応(経済制裁措置等)
 外為法は、対外取引が自由に行われることを基本としていますが、「国際約束を誠実に履行するため必要があると認めるとき」、「国際平和のための国際的な努力に我が国として寄与するため特に必要があると認めるとき」又は「我が国の平和及び安全の維持のため特に必要があるとして対応措置を講ずべき旨の閣議決定が行われたとき」、主務大臣(財務大臣及び経済産業大臣)は、所要の経済制裁措置を発動することができることとなっています。現在、こうした経済制裁措置として、イラク前政権の機関等及びイラク前政権の高官又はその関係者等、タリバーン関係者等やテロリスト等、ミロシェヴィッチ前ユーゴースラヴィア大統領等リベリア前政権の高官又はその関係者等コンゴ民主共和国に対する武器禁輸措置等に違反した者等コートジボワールにおける和平等に対する脅威を構成する者等スーダンにおけるダルフール和平阻害関与者等北朝鮮のミサイル又は大量破壊兵器計画に関連する者等イランの核活動等に関与する者等並びにソマリアに対する武器禁輸措置等に違反した者等に対する資産凍結措置等が実施されています。
我が国のテロ資金対策

    
タリバーン関係者等・テロリスト等に対する資産凍結等の措置

 2001年9月の米国における同時多発テロ事件の発生以降、国際社会においてテロ資金対策が重大な課題となる中、タリバーン関係者やテロリスト等に対する遅滞なき資産凍結等の措置などを求める国連安保理決議(1267号、1333号、1373号及び1390号)を受け、我が国は、外為法に基づいてタリバーン関係者等やテロリスト等に対し、G7による同時凍結も含めて累次の措置を実施してきています。
 具体的には、資産凍結等の措置の対象となる個人・団体(2010年6月25日現在、527個人・団体)を指定し、当該個人・団体向け支払と、当該個人・団体との間の資本取引(預金契約、信託契約及び金銭の貸付契約)等を許可制とし、それらの取引

を不許可処分にすることにより資産凍結等の措置を実施しています。
テロリスト等に対する資産凍結等

●申請手続の概要(平成21年11月1日現在)
支払等の許可申請
資本取引の許可申請
    役務取引の許可申請
支払手段等の輸出入の許可申請
貴金属の輸出の許可申請
●資産凍結等の措置関係条文(平成22年8月3日現在)
支払等の許可制関係条文
資本取引の許可制関係条文
    役務取引の許可制関係条文
    支払手段等の輸出入の許可制関係条文
貴金属の輸出の許可制関係条文
対内直接投資の届出制関係条文
 
●現在実施中の外為法に基づく資産凍結等の措置(平成22年8月3日現在)
送金規制等の対象 実施時期 実施根拠 対象者数
ミロシェビッチ前ユーゴスラビア大統領及び関係者 平成13年2月〜 EU決議2488号 10個人
タリバーン関係者等 平成13年9月〜 国連安保理決議1267号1333号1390号 527個人・団体
テロリスト等 平成13年12月〜 国連安保理決議1373号
イラク前政権の機関等・イラク前政権の高官又はその関係者等 平成15年5月〜 国連安保理決議1483号 297個人・団体
リベリア前政権の高官又はその関係者等 平成16年8月〜 国連安保理決議1532号 53個人・団体
コンゴ民主共和国に対する武器禁輸措置等に違反した者等 平成17年11月〜 国連安保理決議1596号 26個人・団体
コートジボワールにおける和平等に対する脅威を構成する者等 平成18年3月〜 国連安保理決議1572号 3個人
スーダンにおけるダルフール和平阻害関与者等 平成18年6月〜 国連安保理決議1591号 4個人
北朝鮮のミサイル又は大量破壊兵器計画に関連する者 平成18年9月〜 国連安保理決議1695号国連安保理決議1718号国連安保理決議1874号 26
個人

団体
北朝鮮の核関連、その他の大量破壊兵器関連及び弾道ミサイル関連計画に関与する者 平成21年5月〜
北朝鮮の核関連、弾道ミサイル関連又はその他の大量破壊兵器関連の計画又は活動に貢献し得る活動 平成21年7月〜
イランの核活動等に関与する者 平成19年2月〜 国連安保理決議1737号
国連安保理決議1747号
国連安保理決議1803号
国連安保理決議1929号
116個人・団体
イランの核活動等に関連する活動
核技術等に関連するイランによる投資を禁止する業種  平成22年8月〜
イランへの大型通常兵器等の供給に関連する活動
ソマリアに対する武器禁輸措置等に違反した者等  平成22年6月〜 国連安保理決議1844号 9個人・団体
資産凍結等対象者一覧(Excel 形式)
    ●報道発表資料(平成22年8月3日現在)
    ミロシェビッチ前ユーゴスラビア大統領及び関係者に対する措置
    タリバーン関係者等に対する措置
    テロリスト等に対する措置
    イラク前政権の高官又はその関係者等に対する措置
    リベリア前政権の高官又はその関係者等に対する措置
    コンゴ民主共和国に対する武器禁輸措置等に違反した者等に対する措置
    コートジボワールにおける和平等に対する脅威を構成する者等に対する措置
    スーダンにおけるダルフール和平阻害関与者等に対する措置
    北朝鮮のミサイル又は大量破壊兵器計画に関連する者等に対する措置
    イランの拡散上機微な核活動及び核兵器運搬手段の開発に関連する資金の移転の防止及び貨物の輸入の禁止等の措置
    ソマリアに対する武器禁輸措置等に違反した者等に対する措置
     
 

5.

 一定額を超える現金等の携帯輸出入の届出
 一定額を超える現金等を携帯して出国・入国する場合には、事前に税関への届出が必要です。届出が必要とされるのは、次のような場合です。
1.携帯する次のものの合計額が100万円(北朝鮮を仕向地として輸出しようとする場合については10万円)相当額を超える場合
   現金(外国通貨を含む)
   小切手(旅行小切手を含む)
   約束手形
   有価証券
2.携帯する金の地金(純度90%以上)の重量が1キログラムを超える場合
(注)関税法第67条の規定により、支払手段等の輸出又は輸入について書面により申告を行い、その許可を受けているときは、上記届出はすでになされたものと取り扱われます。

     
 

6.

 外貨両替業務に関する報告制度
 1か月の取引合計額が100万円相当額を超える両替業者は事後報告が必要です。
 報告いただく事項は、外国通貨又は旅行小切手の売却・買い入れの取引件数・金額の合計及び200万円相当額超の取引件数です。



(参考)我が国の為替管理政策の変遷

内 容
1931 金輸出再禁止(金本位制停止)、金兌換停止
1932 資本逃避防止法制定
1933 外国為替管理法制定(「外国為替銀行制度」)の導入)
1936 大蔵省令により貿易為替管理を開始
1941 外国為替管理法改正(戦時体制へ移行)
1945 GHQの全面管理
1947 民間貿易の一部再開
1949 単一為替レートの設定 1ドル=360円
「外国為替及び外国貿易管理法」(外為法)並びに「外資に関する法律」(外資法))の制定
1952 IMF(国際通貨基金)、世界銀行へ加盟
外国為替管理委員会の廃止、外国為替等審議会の設置
1954 外国為替銀行法の制定に伴い、外国為替銀行を外国為替公認銀行に改正
1964 外国為替予算制度の廃止、IMF8条国へ移行、OECDに加盟
1971 為替レートの変更 1ドル=308円
1972 外貨集中制度の廃止
1973 変動相場制へ移行、対内直接投資につき、例外業種を除き原則自由化の閣議決定
1980 外為法を原則自由の法体系に改正、外資法廃止
1984 先物外国為替取引に関する実需原則撤廃
1986 オフショア勘定の創設に伴う外為法の一部改正
1987 ココム規制違反行為に係る罰則・制裁の強化に伴う外為法の一部改正
1992 対内直接投資等につき、事前届出制から原則事後報告制への移行に伴う外為法の一部改正
1998 内外資本取引等の自由化、外国為替業務の完全自由化への移行に伴う外為法の一部改正(題名から「管理」を削除し、外国為替及び外国貿易法となる)
2002 米国同時多発テロ事件を受け、テロ資金対策強化のために、本人確認に係る努力規定の義務化等(2003年1月6日施行)、関係省庁等による情報提供等の根拠となる規定の整備等(2002年5月7日施行)からなる外為法の一部改正
2004 我が国の平和及び安全の維持のため特に必要があるときは、閣議決定に基づき、支払、資本取引、役務取引、貨物の輸出入取引などに対する規制の発動を可能とする外為法の一部改正(2004年2月26日施行)


最近の外為法改正の概要
2002年(平成14年)改正

.改正の目的

 

 

 2001年9月の米国同時多発テロ事件の発生以降、国際社会においてはテロ対策の更なる推進が喫緊の課題となり、テロ資金供与防止条約及び国連安保理決議第1373号で、テロリスト等に対する効果的かつ遅滞なき資産凍結等が求められました。
 このような状況に鑑み、外国為替取引においてテロリスト等の資産凍結等を迅速かつ有効に実施するために、外為法の一部を改正し、必要な規定を整備しました。

.改正の概要

 

(1

)資産凍結等の対象となるテロリスト等を迅速かつ適切に指定
 国連安保理決議第1373号は、各国がそれぞれテロリスト等を指定して資産凍結等の措置を講ずることを求めています。この指定に当たっては国際的なテロリスト等に関する情報を有する省庁の協力が不可欠であり、関係省庁(外務省、法務省、警察庁等)による情報提供等の根拠となる規定を整備しました。

 

(2

)金融機関等による顧客本人確認を義務化
 資産凍結措置等の実効性を確保するため、これまでの外為法では努力規定であった送金等に係る顧客等の本人確認を義務規定とし、あわせてその対象取引を非居住者預金その他の資本取引を加える等の規定を整備しました。
 これに伴い、200万円相当額を超える海外送金、両替、外貨預金等を行おうとする者は、銀行等の金融機関において、顧客の本人特定事項を確認するために、運転免許証や保険証等の提示が求められます。

 

2004年(平成16年)改正

.改正の目的

 

 

 近年における我が国を取り巻く国際情勢にかんがみ、我が国の平和及び安全の維持のため、特に必要があるときは、閣議において対応措置を講ずべきことを決定できることとし、閣議決定が行われたときは主務大臣が支払等について許可等を受ける義務を課することができるようにするために、必要な規定を整備しました(この改正は、議員立法によるものです)。

.改正の概要

 

(1

)目的の改正
 この法律の目的において、我が国又は国際社会の平和及び安全の維持の観点を明示しました。

 

(2

)我が国の平和及び安全の維持のための措置等

 

a.
 

 我が国の平和及び安全の維持のため特に必要があるときは、閣議において、対応措置(閣議決定に基づき主務大臣により行われるbからdまでによる措置をいう。)を講ずべきことを決定することができることとしました。

 


 

 イの閣議決定に基づき対応措置を講じた場合には、当該対応措置を講じた日から20日以内に国会に付議し、当該対応措置を講じたことについて国会の承認を求めなければならないこととしました。ただし、国会が閉会中の場合又は衆議院が解散されている場合は、その後最初に召集される国会において、速やかに、その承認を求めなければならないこととしました。

 

 政府は、ロの場合において不承認の議決があったときには、速やかに、当該対応措置を終了させなければならないこととしました。

 

b.

 主務大臣が、支払等、資本取引、特定資本取引及び役務取引等について許可を受ける義務を課することができる場合として、aイの閣議決定が行われた場合を加えました。

 

c.

 財務大臣が、対外直接投資の内容の変更又は中止を勧告することができる場合として、aイの閣議決定が行われた場合を加えました。

 

d.

 貨物の輸出及び輸入について、我が国が締結した条約その他の国際約束を誠実に履行するため、国際平和のための国際的な努力に我が国として寄与するため、又はaイの閣議決定を実施するため、承認を受ける義務を課せられることがある旨を明記しました。

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