国債に関する税制面での最近の取組
国債の大量発行が続く中、金融機関等に偏っている国債の保有構造を是正し、国債の保有者層の多様化を進める政策の一環として、近年、国債の保有等に係る税制の見直しが行われてきました。
これまでの税制改正を概観すると以下のようになります。
平成11年度
- 非居住者等(非居住者又は外国法人)が国債振替決済制度参加者の国内の営業所等に開設された口座に直接寄託した利付国債の利子について非課税化
- 外国法人が国債振替決済制度参加者の国内の営業所等に開設された口座に直接寄託した割引短期国債・政府短期証券(現在の国庫短期証券)の償還差益に係る源泉徴収を免除
平成12年度
- 国債をリオープンした場合に、国に払い戻す経過利子について非課税化
平成13年度
- 非居住者等が保有する利付国債の利子について、従来の非課税措置に加え、適格外国仲介業者を通じて保有する利付国債の利子についても非課税化
平成14年度
- 利付国債の利子に係る非課税措置を、法人格のない海外の投資信託のうち、公募でかつ国内で募集が行われていないものに拡充
- 国債を用いた債券現先取引について、外国金融機関等が受け取る利子を一定の要件の下に非課税化(平成16年3月31日まで)
- 分離元本振替国債・分離利息振替国債の保有を法人に限定するという条件の下、ストリップス債に係る税制を整備
- 新振替決済制度への移行に伴う諸々の税制上の措置を手当て
平成15年度
- 資本又は出資の金額が1億円以上の事業法人が支払を受ける利付国債の利子について源泉徴収を免除
- 清算機関が保有する利付国債の利子について源泉徴収を免除
平成16年度
- 外国法人が保有する割引短期国債・政府短期証券(現在の国庫短期証券)の償還差益に係る源泉徴収の免除について、適格外国仲介業者を通じて保有する場合にも拡充
- 国債を用いた債券現先取引について、外国金融機関等が受け取る利子に係る非課税措置の適用期限を2年延長(平成18年3月31日まで)
平成17年度
- 物価連動国債について、譲渡対象者に、国債の利子につき所得税が課されない外国法人等を追加
- 非居住者等の国債保有に係る税制優遇措置について、非居住者等が適格外国仲介業者から振替記載等を受ける場合における適格外国仲介業者から国内の国債振替決済制度参加者への通知手続の簡素化や、割引短期国債・政府短期証券(現在の国庫短期証券)に係る特例の適用を受けている者が利付国債の利子に係る特例を受ける場合の適用手続について、一定の要件の下で不要とする等、その適用にあたって必要となる諸手続を簡素化
平成18年度
- 国債を用いた債券現先取引について、外国金融機関等が受け取る利子に係る非課税措置の適用期限を2年延長(平成20年3月31日まで)
平成20年度
- 国債を用いた債券現先取引について、外国金融機関等が受け取る利子に係る非課税措置の適用期限を撤廃
平成22年度
- 国内の国債振替決済制度参加者が作成している各人別帳簿の作成義務を一定要件の下で免除
- 適格外国証券投資信託の範囲拡充
平成23年度
- 振替国債の利子の非課税措置について、外国年金信託並びに組合及び受益者等課税信託に適用するための手続を整備
- 国債を用いた証券貸借取引についても、債券現先取引同様、外国金融機関等が受け取る利子等についての非課税措置を適用
平成24年度
- 受益者等課税信託の信託財産に属する振替国債の利子等に係る非課税適用申告書の提出等を当該信託の受託者が行えるよう措置
平成25年度
- 平成28年1月以降、公社債等に対する課税方式を申告分離課税に変更し、その上で、金融商品に係る所得課税の損益通算ができる範囲を公社債等にまで拡大(金融所得課税の一体化)
平成26年度
- 平成28年1月から施行される金融所得課税の一体化に関連し、割引債の範囲の見直し等について手当て
平成29年度
- 国債を用いた債券現先取引について外国金融機関等に加え、特定外国法人が受け取る利子等についても、非課税措置を適用(平成31年3月31日まで)
令和元年度
- 国債を用いた債券現先取引について、特定外国法人が受け取る利子等に係る非課税措置の適用期限を2年延長(令和3年3月31日まで)
令和3年度
- 国債を用いた債券現先取引について、特定外国法人が受け取る利子等に係る非課税措置の適用期限を2年延長(令和5年3月31日まで)
- クロスボーダー取引に係る振替国債の利子の課税の特例等における非課税適用申告書等の電子提出が行えるよう措置
令和5年度
- 国債を用いた債券現先取引について、特定外国法人が受け取る利子等に係る非課税措置の適用期限を3年延長(令和8年3月31日まで)