MDBsパンフレット(2011年版)
CONTENTS: 表紙 | はじめに | MDBsと日本 | 地域開発金融機関の域内加盟国分布図 | 世界銀行グループ | アジア開発銀行 | 米州開発銀行 | アフリカ開発銀行 | 欧州復興開発銀行 | 国際開発金融機関の一覧表 | MDBsで活躍する日本人職員 | MDBsでのキャリアを志す皆さんへ | 問い合わせ
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| 昨今の経済・金融危機や気候変動などグローバルな課題への対応が求められるなか、MDBsの果たす役割はますます重要性を増しています。しかしながらMDBsで働く日本人職員数は、我が国の資金面での貢献と比較して十分とはいえず、我が国は、より多くの熱意ある日本人職員の採用を各MDBsに強く働きかけています。各MDBsもリクルート・ミッションの我が国への派遣等、その声に応えているところであり、例えば世界銀行では、世銀職員になるための若手専門職員養成プログラムであるヤング・プロフェッショナル・プログラム(YPP)や将来の正規職員となるために必要な知識・経験を積む機会を提供するジュニア・プロフェッショナル・オフィサー(JPO)等様々な採用窓口を設けています。 |
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〔執筆者の役職については2011年12月現在のもの〕
世界銀行
中央アジア担当局長
小西 基夫
世界銀行にヤング・プロフェッショナル(YPP)として入行してから、既に30年の月日が経ちました。開発経済を専攻し途上国支援の仕事を目指したのは、貧しい国の子供たちが自分達の未来を切り開いていけるよう、その機会を与える手助けをしたかったからです。それは私自身が、若い時期からアメリカで教育を受け、世銀に入行することができたことに感謝しているからかもしれません。
私の世銀でのキャリアは農業分野のプロジェクト・エコノミストから始まりましたが、その後は主に交通セクターの専門家として世界各国を担当しました。地域としてはヨーロッパ・中央アジア地域が比較的長く、水道セクター・マネージャー、交通セクター・マネージャーなどを務めました。現在は、中央アジア5か国を担当する局長として、カザフスタンの世界銀行アルマティ事務所に勤務しています。
アジアを初めとする新興国が急成長する今日、開発援助の世界で世銀が担う役割も大きく変わりました。中進国のクライアントが世銀に求めるものは、もはや資金や技術ではありません。例えば交通セクターであれば、単なる道路建設の技術ではなく、官民パートナーシップ(PPP)を活用し、先端技術を駆使した都市整備や交通管理のノウハウといった、自国の国際競争力を高めるような知識が求められています。世界が急速に変化を遂げる今日、世銀が開発に貢献し続けるためには、常に最先端の技術や知識に目を向け、学び、それをクライアントへと伝える努力が必要です。このように業務の変革が求められる中、世界銀行の職員に求められる資質も、高い専門性のみならず、自分の専門以外の分野でも柔軟に対応できる能力や広範な知識が益々重要となってきています。
開発を取り巻く環境は変わっても、貧困と戦い貧しい人々の生活の向上を目指す、という世界銀行の使命は不変です。30 年経った今も、この使命に対する私の気持ちは変わっていません。
アジア開発銀行(ADB)
民間部門局インフラ課
深谷 久留美
ADBというと世銀のように政府向け支援を専らとするイメージが強いのではないかと思いますが、世銀グループの国際金融公社(IFC)に習い、ADBでも80年代から民間プロジェクトを支援してきました。ADB内でIFCに相当するのが、民間部門局です。局内には、電力、交通、水道などの民活インフラ案件に投融資を行うインフラ課と、現地金融機関やファンドを通じて中小企業への支援を行う資本市場課とがあります。
私がADBに入行した2000年の時点で、ADBの総業務における民間部門のシェアはほんの3%ほどでした。それが2006年に年次承諾額が10億ドルを突破し、現在では新規貸付額の13%を占めるまでになりました。2008年に採択された長期戦略枠組みの中で、民間セクター関連業務が初めて最優先事項に設定され、2020年までにADBの投融資業務の50%を民間セクター関連活動に充てることが謳われています。
これにあわせ、民間部門局の人員も大幅に増員する予定ですので、金融機関などで投融資の経験のある方は、ぜひ応募してみてください。アジアと欧米の企業文化を併せ持つADBは、日本人にとって心地よい職場であると思います。日本人の強みである堅実な仕事振りやチームワーク力はADBでも高く評価されています。ADB職員も多文化多様なら、お客様である多国籍企業や現地企業、そして協調融資をする各国の金融機関も多種多様で、会議で色々な訛りの英語が飛び交うさまは楽しいものです。
もちろん、開発機関ならではのチャレンジもあります。民間企業のように営利追及という判り易い目的がないせいか、時として評論家の巣窟の様相を呈することもあります。貧困撲滅、経済発展という大目標を共有してはいても、様々なステークホルダーが様々な要求をADBに突きつけるため、みなを納得させるのは難しいものです。それでも、自分の担当したインフラ設備が人々の暮らしを向上させているさまを見ると、次へのやる気が湧いてくるというものです。
米州開発銀行(IDB)
社会セクター局長
川端 けい
私は米国で学士及び修士課程を修了しましたが、その間、ラテンアメリカの国々を訪問し日本人移民について研究を行う機会に恵まれたことから、開発問題に関心を持ちました。その後、国連開発計画(UNDP)に6年間、世界銀行で23年間勤務し、2008年からIDBの社会セクター局長として、教育、保健、労働、ジェンダー、多様性等について担当しています。
IDBが支援の対象とするラテンアメリカ・カリブ地域は、その多くの国々が中所得国に分類されるものの、所得格差は世界で最も大きい地域となっています。また、最近の世界金融危機により、これらの国々に対し教育や訓練などを通じて人的資源への投資をさらに強化していくことの必要性が明らかになりました。
今日、IDBが抱える優先課題の一つに、2010年1月に起きたハイチ地震の復興支援があります。震災後、同国への最大ドナーであるIDBとしてどのように支援を行うか検討するためハイチを訪問しました。被害状況は想像を超えるものでしたが、誇りを失うことなく復興に取り組む人々の姿には胸を打たれました。ハイチ政府は、政府機関の建物のほとんどが崩壊し、職員の多くが家族や住居を失っている状況の中、復興業務に全力を挙げています。復興には、公共・民間セクターの両方を再生・自立させる必要があります。住居や学校、医療機関などすべてをゼロから再建することは大きな挑戦ですが、他方でこの震災をより強固で公平な社会・経済の実現を目指すための機会として捉えれば、ハイチの将来にとって大きな希望となるでしょう。
MDBsは非常にやり甲斐のある職場です。MDBsで働きたいと思っておられる方は、国際関係に関する知識だけでなく、是非特定分野(経済、教育、工学等)の専門性を高めて頂きたいと思います。また、支援対象国で実際に勤務経験を積むこと、さらにIDBの場合にはスペイン語を習得することが望ましいと思います。
アフリカ開発銀行(AfDB)
ヤングプロフェッショナル、教育部署
武居 桂子
私は、2009年の8月よりYoung Professional Program: YPP(専門:Education specialist)としてチュニスにある(本部はアビジャンですが、政情不安のため、2003 年以来暫定的にチュニジアに移っています)、アフリカ開発銀行でアフリカ各国の教育に関する仕事に携わっております。
途上国の教育開発支援に興味を持ち始めたのは高校時代。大学時代は教育開発関係のNGOやユネスコでのインターンを行ないました。大学卒業と同時に初等教員免許を取得。その後、アメリカの大学院で開発行政学を学び、修士号を取得後、アメリカで小学校教師、英語教師をした後に、世界銀行本部(ワシントンDC)で教育コンサルタント、Junior Professional Associate(JPA)として、教育開発に携わる仕事を3年間行いました。
世界銀行での仕事を機に、現在、国際教育に関する博士号の勉強をイギリスで始めておりますが、途上国現地での仕事の経験の必要性を感じ、昨年、アフリカ開発銀行のYPPの選考に応募し、幸運にも、2009年のYPP24人の内の一人に選ばれ、現在は途上国開発に熱意を持つ世界各国の若者と一緒に現地での仕事に励んでおります。
アフリカ開発銀行でのYPPの任期は3年で、私達は専門分野に応じて配属され、一年ごとに部署を変わる予定になっております。アフリカ開発銀行のYPPの魅力は、開発銀行の必要な基礎・応用知識に関するトレーニングを受けつつ、日々、現地に密着しながら、開発銀行の仕組み、マネージメントに関する知識等を得ることが出来る点です。
現在、私は教育部署に所属しておりますが、主に、教育分野におけるアフリカの科学技術革新(Science Technology Innovation:STI)に携っております。プロジェクトマネジャーとして任命され、多くの責任ある仕事を担うと同時に、現地調査員として、アフリカ各国への出張も多く、各国の文部省等の方達との会議・面談や、現地の学校調査なども頻繁に行なっております。
加えて、アフリカの科学技術における日本政府とのパートナーシップの推進も担当しており、今後、日本政府とアフリカ開発銀行との大きな共同プロジェクト組成の架け橋になれればと思っております。
アフリカ開発銀行での仕事は、私が今まで学び、経験してきた事が活かされ、大変やりがいのある仕事です。また、多くの人々の熱意と力が発揮できる場でもあります。現在、日本人専門職員は6人ですが、今後とも、多くの日本人の方々の応募を期待しております。
欧州復興開発銀行(EBRD)
シニアリスクマネジャー・リスクマネジメント局
藤井 佐知子
EBRDは支援国の市場経済への体制移行支援をマンデートとしているため、インフラなどが全くない国を対象とするのではなく、それがある程度整備された旧社会主義経済を別のシステム(市場経済システム) が機能する国になるよう支援をするところに特徴があります。
より効果的に移行を支援するため民間投融資(主に市場経済型の金融システムの整備)を軸に業務を行っており、融資基準は民間金融機関に準じた「サウンド・バンキング」が徹底されています。そして、これを可能にするのがEBRDの信用力です。
西側諸国からの出資による信用と貸付・出資残高比率の低さから、1991年の設立よりEBRDは最高格付けを維持しています。これにより低コストで資本市場から長期的かつ安定した資金調達が可能になり、民間金融機関に馴染みが薄い融資対象国のリスクを取ることが出来ます。
リスクマネジメント局では、相対の財務部門が行うトレーディングやALM管理、資金調達などから生じるリスクを分析し、EBRDの高い信用力を維持すること、安定的な資金調達を実現すること、調達した資金が円滑に支援国のプロジェクトに流れるようすることを柱に銀行資産のリスク管理を行っています。刻一刻と変化する高度な金融リスクを分析し管理していくには、民間金融機関と同じかそれ以上のレベルが要求されるため、リスクマネージャーは積極的に民間金融機関から採用しています。
私自身、学部は法学部、修士は経営学、前職は民間金融機関ですので開発や国際機関とはまるで縁のないキャリアを積んできました。EBRDには民間での経験が必要とされる部門が沢山あります。開発関連のキャリアのある方もない方も、国際機関に興味があってやる気のある方は将来の仕事のオプションとして検討されてはいかがでしょうか。柔軟な若い方の挑戦をお待ちしています。


